ウェブデザイン技能検定について

ウェブデザイン技能検定について

Web関係の資格というとかなりの数がありますが、民間資格がほとんどです。
しかし、今回紹介する「ウェブデザイン技能検定」はWeb業界で唯一の国家資格で、試験ではWebデザイナーに必要な知識や技術が問われます。
Webデザインに関する一定の知識を身につけている証明にもなり、Webデザイナー志望の方には必須ともいえる資格でしょう。
今回は「ウェブデザイン技能検定」という資格についてお伝えします。

適用する仕事

WebデザイナーWebディレクターなど、将来Web制作の領域で活躍したい方にとっては有効です。
Webサイトのデザインや、ユーザーが直感的に利用できるようなアーキテクチャ(構成)など、わかりやすいサイト作りなどに関する知識が問われるためです。

その他にもこのような方々におすすめです。

Webエンジニアの方
Webエンジニアとして働いている方にとっては、業務のランクアップが狙えます。
Webエンジニアが業務する上で、ユーザーが直観的に理解できるデザインを構築する知識は、必ずと言っていいほど必要になってくるからです。
この検定試験を勉強する際にデザインに関する知識が身につき、本業への知識にも役立ちます。
Webサイト運営などをしたい方
副業でブログ開設をしたり、独立してWebサイトを作ったりしたい方にもオススメです。
今やワードプレスなどのフレームワークで簡単にWebサイトを構築できますが、サイトに訪れるユーザーが求める情報にスムーズにアクセスできるデザインを知っておくと、運営する側にもWebサイトの目的が到達しやすくなるでしょう。

おおよその年収とキャリアパス

先に挙げたWebデザイナーやWebディレクターの場合を見ていきます。

Webデザイナー

2021年6月までの統計で、Webデザイナーの仕事の平均年収は約449万円となっています。
日本の平均年収と比較すると高めといえるでしょう。
月給で換算すると37万円、初任給は22万円程度の相場となっています。
派遣社員やアルバイト・パートでは、派遣社員が時給1,800円、パート・アルバイトが985円のようです。

Webデザイナーのキャリアパスは数多くあります。

UIデザイナー

UIとはWebサイトなどの「ユーザーインターフェイス(User Interface)」を指しており、それを設計する仕事です。
UIを設計するにはビジュアルデザインはもちろん、分かりやすさや操作性に関する要件も満たさなければなりません。
見やすさ・操作しやすさを備えた設計が重要となってきます。

Webサイトの他にもスマートフォン向けアプリ、ハードウェア製品の操作パネルなどのUIデザインも含まれます。

アートディレクター

Webデザイナーやグラフィックデザイナー、カメラマンやコピーライターなどを統括する職業です。
デザインの方向性がずれないようにチームをリードをしながら、クライアントに求められるデザインの完成をスケジュールとともに管理するのが主な業務です。
創作に関するスキルやセンスが必要な仕事で、Webデザインの経験や知識は必須です。

フロントエンドエンジニア

Webデザイナーのプランを元に、HTML・CSS・JavaScriptなどを駆使して、WordPressなどCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の設計・実装・カスタマイズを行う職業です。
Webデザイナーとしてのスキルを活用し、デザインからサイトの実装までを全て管理するといったこともできます。

Webデザイナーとして独立

会社から独立してフリーランスという形もあります。
しかし、独立して年収アップを叶えるためにはWebデザイン以外の営業活動なども必要になってきます。
営業活動に費やす時間が長いという方も多いので、この辺は留意しておかなければなりません。

Webディレクター

Webディレクターとは、ウェブサイトの制作現場における進行管理者のことを指します。
クライアントの意向を確実にヒアリングし、編集・ライター・デザイナーなどのスタッフの作業を監修し、スムーズな進行を促します。

Webディレクターの平均年収は2021年6月までの統計で約500万円となっています。
こちらも日本の平均年収と比較すると高い金額です。
月給で換算する42万円、初任給は24万円程度が相場のようです。
派遣社員やアルバイト・パートでは、派遣社員が時給1,793円、パート・アルバイトが1,196円のようです。

Webディレクターのキャリアパスとして、Webプロデューサーを目指すパターンが多く見られます。
Webプロデューサーはクライアントのビジネスを理解し、Web制作プロジェクトの予算や納期、コストなどを決定する立場です。

その他のキャリアパス
  • Webプランナー
    クライアントからのリクエストを元に制作するWeb全体を企画します。
  • Webマーケター
    Webを用いたマーケティングにより事業拡大に貢献します。
  • Webアナリスト
    アクセス解析などからWebサイトの働きを分析して課題を明確にし、継続的な改善策を提案します。

認可団体

インターネットスキル認定普及協会のロゴ

「ウェブデザイン技能検定」を主催している団体は「特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会」です。
1997年7月16日に設立、NPO法人格を取得したのは2003年7月です。

事業内容の例としては、以下の通りです。

  • インターネットに関する実務技能の普及啓発および人材育成のための検定事業
  • インターネットに関する検定事業に係るテキストの提供事業
  • インターネットに関する検定事業に係るe-ラーニング(オンライン教材)の提供事業
  • インターネットに関する検定事業に係る合格認定証の発行事業
  • インターネットに関する研究開発事業
  • 情報や通信に関する情報収集および提供事業
  • 情報や通信に関する生涯学習の推進のための講座実施支援事業
  • 技能五輪および若年者ものづくり競技大会「ウェブデザイン」職種競技に関わる予選会の実施および運営協力

受験条件

各等級の条件のうち、いずれか一つに該当していれば受験できます。

3級

ウェブの作成や運営に関する業務に従事している者および従事しようとしている者

2級

  • 2年以上の実務経験(ウェブの作成や運営に関する業務に携わった経験)を有する者
  • 職業高校、短大、高専、高校専攻科、専修学校、各種学校卒業又は普通職業訓練修了(※)した者
  • 大学(※)を卒業した者
  • 高度職業訓練(※)を修了した者
  • 3級の技能検定に合格した者

(※)協会が定めたウェブの作成や運営に関する科目などが含まれると協会が認めたものに限る

1級

  • 7年以上の実務経験(※1)を有する者
  • 職業高校、短大、高専、高校専攻科、専修学校、各種学校卒業又は普通職業訓練修了(※2)した後、5年以上の実務経験(※1)を有する者
  • 大学(※2)卒業後、3年以上の実務経験(※1)を有する者
  • 高度職業訓練修了(※2)後、1年以上の実務経験(※1)を有する者
  • 2級の技能検定に合格した者であって、その後2年以上の実務経験(※1)

(※1)ウェブの作成や運営に関する業務に携わった経験
(※2)協会が定めたウェブの作成や運営に関する科目などが含まれると協会が認めたものに限る

合格率

合格率は以下の通りとなっています。

3級 2級 1級
60~70% 30~40% 10~20%

1年当たりの試験実施回数

3級と2級は学科・実技試験を同日に行い、年に4回実施されています。
1級のみ、学科・実技試験がそれぞれ年1回ずつです。
「ウェブデザイン技能検定」の公式サイトにて、日程をよくご確認ください。

試験科目

マークシートに記入する図

試験科目とその範囲は非常に細かく設定されています。
もちろん、等級が上がるほど問われる知識・技術のレベルも上がっていきます。

ここでは試験で問われる大きな単元を紹介していきます。
各等級の試験科目は次の通りです。

3級

【学科試験】

  • インターネット概論
  • ワールドワイドウェブ(WWW)法務
  • ウェブデザイン技術
  • ウェブ標準
  • ウェブビジュアルデザイン
  • ウェブインフォメーションデザイン
  • アクセシビリティ・ユニバーサルデザイン
  • ウェブサイト設計・構築技術
  • ウェブサイト運用・管理技術
  • 安全衛生・作業環境構築

【実技試験】
ウェブサイト構築(ウェブサイトデザイン、ウェブサイト運用管理)

2級

【学科試験】
3級と同じ
【実技試験】
3級と同じ

1級

【学科試験】
2級・3級と同じ
【実技試験】
ウェブサイト構築(ウェブサイト設計・計画、ウェブサイトデザイン、ウェブサイト運用管理)

採点方式と合格基準

採点方式

採点方式については明かされていません。
まずは7割以上の正答率を目指して挑みましょう。

合格基準

  • 学科 100点満点中70点以上
  • 実技 100点満点中70点以上
    (ただし、試験要項に示す各作業分類において配点の60%以上の得点を得ること)
出題形式について
学科試験はマーク方式で、○か×かを選ぶ2択問題・4択から正しいものを選ぶ問題となっています。
実技試験はWebページのコーディングを行うもので、HTMLやCSSを正しく編集する知識・技術が必要です。

取得に必要な勉強などの費用

ウェブデザイン技能検定の勉強方法は独学で勉強する通信講座やスクールで学ぶ方法があります。

独学で勉強する

独学で勉強する場合に必要となるのがテキストや問題集ですね。
「ウェブデザイン技能検定」のテキストを紹介しますので、参考にしてみてください。

ウェブデザイン技能検定3級ガイドブック

ウェブデザイン技能検定3級ガイドブック

  • 出 版 社:ウィネット
  • 商 品 名:ウェブデザイン技能検定3級ガイドブック
  • 価   格:¥1,320(税込)

インターネットスキル認定普及協会主催「ウェブデザイン技能検定」3級の対策テキストです。
3級合格に向けて必要な知識・技能の基礎を学習することができます。
別途、問題集を購入することで学習効果が高まるでしょう。

ウェブデザイン技能検定 過去問題集3級

ウェブデザイン技能検定 過去問題集3級
created by Rinker
  • 出 版 社:FOM出版
  • 商 品 名:ウェブデザイン技能検定 過去問題集3級
  • 価   格:¥3,080(税込)

試験主催団体から刊行されている公式問題集です。
「ウェブデザイン技能検定」において実際に出題された問題の解答と解説が収録されています。

「ウェブデザイン技能検定」の公式サイトにも練習問題が掲載されています。
併せて活用して万全を期して試験に臨みましょう。

通信講座やスクールで学ぶ

ウェブデザインの経験がなく、何から勉強したらいいのか分からない方には最適の勉強法です。
全国各地にウェブデザイン技能検定の講座を設けているところがあります。
また、オンライン講座でも学ぶことができるので活用しましょう。

費用は5~9万円と幅が広いため、実績や口コミなどの情報収集をして受講を決めましょう。

受験料

受験料は等級ごとに異なり、学科・実技試験で別途かかるため注意しましょう。

  • 3級 学科: 5,000円 / 実技: 5,000円 (35歳以上)または3,000円(35歳未満※)
  • 2級 学科: 6,000円 / 実技: 12,500円(35歳以上)または7,000円(35歳未満※)
  • 1級 学科: 7,000円 / 実技: 25,000円 (実技はペーパー実技含む)

※試験実施年度の4月1日において35歳未満の方のことです

受験申込方法

申し込み方法はインターネット受験申請郵送による受験申請があります。

インターネット受験申請

  1. 登録する(事前登録、基本情報登録)
  2. 受験申請する(受験級選択、免除申請、受験資格申請)
  3. 決済方法選択・決済(コンビニ、ゆうちょATM、銀行振込から事務局へ入金確認)
  4. 申請受理

受験申請の登録だけでは申請完了となりません。
あらかじめ受験料を入金する必要があるためご注意ください。

郵送による受験申請

  1. 受験手数料振込
  2. 申請書記入
    申請書は公式HP「受験申請の流れ」の「郵送用受検申請書」からダウンロード・印刷できます。
  3. 申請書送付(簡易書留)
  4. 申請受理

郵送による受験申請の場合、受験料を振り込んでから申請書を送る流れとなります。
振込・利用明細書(コピー可)の貼付、本人確認書類(コピー)の添付を忘れないよう注意しましょう。

まとめ

ガッツポーズする3人の女性社員

「ウェブデザイン技能検定」はウェブデザイン分野における国家資格の試験です。
2級以上になると受験条件も厳しくなりますが、Web制作の領域で活躍したい方にとって、取得しておくと有利に働くことでしょう。

この資格一つでWebデザイナー関連に就職・転職するときに十分なアピール材料になります。
ウェブデザインの分野で活躍したい方は、まずは3級から検討してみてくださいね。

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