今回はクリスマス映画の定番「ホーム・アローン」のご紹介です。
家族旅行に1人置き去りにされた8歳の末っ子ケビンが、さまざまな罠や作戦を駆使して、やってきた泥棒達を撃退するコメディ映画です。
公開は1990年(日本では91年)ですが、とても人気が高く、同シリーズは現在5作目まで作られています。(4作目からは映画ではなく、テレビ映画として作成されています)
それではご紹介しましょう。
Contents
あらすじ(ネタバレあり)
明日のパリへの旅行のため、荷造りでドタバタしているマカリスター一家、末っ子のケビンは母ケイトにちょっかいを出しますが、相手にされません。
それどころか年上の兄弟たちからも相手にされず、兄のバズに一緒に寝ようとお願いしますが、あっさり拒否されてしまいます。
その時、バズが窓の外の老人に気づき、彼が「殺人鬼」と噂されている人物だと教えてケビンを怖がらせます。
出前のピザが届けられました。ピザの取り合いで喧嘩になり、叱られたケビンは母親のケイトに屋根裏に連れていかれます。その中でケビンは「家族なんか要らないよ。こんな最低な家族」と呟きます。
そのまま屋根裏部屋で夜を過ごし、悶々とした気分を抱えたまま眠りにつきます。
翌朝、一家全員で寝坊してしまい、大慌てで空港へ向かいます。なんとか間に合い搭乗するものの両親は“何か”を忘れていることに気づきます。屋根裏部屋にケビンを置いてきてしまったのです。
出発前に点呼を取ったはずなのですが、子供の数が多すぎて彼がいないことに気づかなかったようです。ケビンの件が発覚したのはすでに飛行機が出た後でした。
ようやく空港に到着すると大慌てで自宅に電話をしますが、強風の影響で電柱が倒れており、電話線が繋がらない状態でした。
一方、置いてきぼりのケビンは家族がいなくなって大喜びです。前日の「家族なんかいらない」が叶ったことにはしゃぎ、家族の心配もつゆ知らず1人を満喫。兄の私物を勝手に持ち出して遊んだ後、おやつを行儀悪く食べながら映画を見ています。
空港では家族があらゆるところへ電話をかけますが、近所の家も皆揃って留守。警察へ国際電話もかけましたが、事の重大さが伝わらず適当な応対をされます。
窓口ではアメリカ行きの便は2日後まで満席と言われたため、キャンセル待ちとなってしまいます。
変わらず1人を満喫するケビン。その頃、2人組の泥棒ハリーとマーヴが近所の家に侵入していました。この時にマカリスター一家の留守も知られてしまいます。
その後、街へ買い物に行ったケビンは帰り道2人の運転する車にひかれそうになります。光る金歯に見覚えがあり、ハリーもまた彼の顔を覚えていました。マカリスター宅にはケビン1人ということがばれてしまいます。
その夜、再びマカリスター家にやって来た2人の泥棒、人はいないと思っていましたが、盛大にパーティーをしている様子です。ケビンは2人が来るのを予想して、人形をたくさん並べていたのです。
たくましくなった彼も、だんだんと1人でいることに寂しさを覚え始めていました。眠る前に家族写真を見つめ、1人でベッドに入ります。苦手な洗濯もできるようになりましたが、家族の大切さをいなくなったことによってはじめて知ることになります。
そして翌日。泥棒コンビはまだ諦めておらず「この家はガキ1人だ。今夜9時に決行するぞ」と家の前で話し合っています。それを聞いたケビンは覚悟を決めます。
ケイトは空港で困り果てていました。それを見かねた売れないバンドの1人ガスが「ぼくらはあきらめて、ミルウォーキーまで車で行く予定なんだ。よかったら、シカゴまで乗せていくよ」と声を掛けてくれます。彼女は車で自宅まで帰ることにしました。
夜9時の戦いを控えたケビンは、1人で教会に来ていました。そこであの恐ろしいマーリーと出会います。
マーリー老人は噂が嘘であること、昔の喧嘩が原因で息子には嫌われており、孫に会うためにここに来ていることを話し始めます。
すべてを聞いたケビンは昨日の騒動のことを思い出し、これからはもっと話し合うよう努力することを心に留め、教会を後にします。
帰宅するとすぐに、家中に罠を仕掛けていきます。泥棒たちは予定通りやってきて、裏口からサンタクロースのフリでドアを開けさせようとしますが、ケビンはエアガンでまず、ハリーの股間に一撃を喰らわせます。
次に、マーブが様子を確かめようと郵便受けに顔を突っ込んでくると、今度は額を撃ちます。
泥棒たちはケビンを追いかけますが、表玄関ではハリーが凍っている階段から滑って登ることができません。
一方、地下室に行こうとしたマーブも凍った階段で足を踏み外し、転げ落ちます。そして、ようやくたどり着いた地下室の中をうろつくマーブに今度はアイロンが直撃します。
同じ頃、別のドアへ向かったハリーは中に入ろうとした瞬間、ガスバーナーが頭を直撃、帽子と髪の毛が燃えてしまいます。何とか家に侵入するも、2人とも既にボロボロになっています。
泥棒たちを苦しめ、家を脱出したケビンでしたが、ついに泥棒たちに捕まってしまいます。その時、マーリー老人が現れて泥棒2人をシャベルで殴り、ケビンを助けます。そして、泥棒コンビは警察に逮捕されます。
翌朝、ケイトと同じ時に、移動手段が間に合った他の家族も帰宅し、ケビンは再会を喜びます。なにか変なことはあったかと問う父に、特に何もなかったと答えます。
窓の外では息子夫婦と和解したマーリーが孫娘を抱いているのが見えます。マーリーはケビンに手を振っています。ケビンも手を振りかえしました。
キャスト(マカリスター家)
ケビン・マカリスター(マコーレー・カルキン)
マカリスター家の末っ子で8歳の男の子。頭の回転が早く悪戯好き。兄や姉と喧嘩や諍いを起こすことが多く、周りからはトラブルメーカー扱いされています。
家族のパリ旅行の前夜、ケンカの罰として屋根裏部屋で寝ることなり、「家族なんて消えてしまえばいい」と思いながら一夜を過ごします。
翌朝、家族に置いて行かれたケビンは誰もいない自宅で目を覚まします。最初は願いが本当に叶ったと大喜びし、楽しい独りでの生活を満喫しますが、次第に寂しさを感じていきます。
その一方で、2人組の泥棒が自宅を狙っていることがわかると、1人で迎え撃つことを決意し、さまざまな仕掛けを作っていきます。
演:マコーレー・カルキン
4歳からYMCAでバレエを習い、兄と共に出演した「バック・ベイビーズ」で舞台デビュー。その後、ライト・オペラなどの舞台やTVCMなどを経験した後、88年に「ジブラルタル号の出帆」で映画デビューしました。
そして、「ホーム・アローン」の大ヒットにより子役として大スターとなります。
ケイト・マカリスター(キャサリン・オハラ)
ケビンの母親です。優しくて大らかな女性ですが、旅行前夜は自分の子供5人に加え、義兄夫婦の子など11人の子供たちの世話でてんやわんやしていました。
旅行先でケビンをひとり残してきたことに気づいた時は気が動転し、一刻も早く家へ戻ろうとします。
翌朝、親切なバンドのおかげで無事自宅に着くと、ケビンの無事を確認し抱きかかえます。
演:キャサリン・オハラ
71年、トロントの即興劇団“セカンド・シティ”に参加。ダン・エイクロイドやジョン・キャンディらと共に「セカンド・シティ・TV」の製作・出演を手掛けて注目されるようになります。
バズ・マカリスター(デヴィン・ラトレイ)
マカリスター家の長男でケビンの兄。年の離れたわがままな末っ子の弟ケビンを、いつもからかったり意地悪したりしています。
宿泊先でケビンが置き去りになったことが判明した後も心配していないように装っていましたが、内心は心配だったようで、パリから帰ってきたケビンにとハイタッチを交わし、再会を喜びます。
演:デヴィン・ラトレイ
9歳の時に「Where are the Children?」で映画デビュー。その後も子役としていくつかの映画、テレビドラマへ出演。「ホーム・アローン」でケビンの意地悪な兄を演じ、同じ役柄で続編「ホーム・アローン2」へも出演しています。
ピーター・マカリスター(ジョン・ハード)
ケビンの父親。ケイトと同じくらいの慌て者です。旅行前夜は慌ただしくて気が回らず、ケビンがバズと喧嘩になったピザ騒動でも、ケビンのみを罰して屋根裏部屋へと追いやります。
パリ行きの飛行機の中でケビンがいないことを思い出し、空港に着いてからは受付に詰め寄りますが、アメリカ行きの便は2日後まで満席と言われてしまいます。
演:ジョン:ハード
「揺れる愛」や「アフター・アワーズ」などでの感情の起伏が激しい役に扮して注目を受け、85年の「バウンティフルへの旅」で見せた気弱な息子役など繊細な演技にも定評があります。
キャスト(そのほか)
ハリー・ライム(ジョー・ペシ)
泥棒コンビの一人で頭髪が薄い中年の小男です。運動神経が鈍く、短気で詰めの甘さが目立ちます。コンビでは自身が指令塔となり、間抜けなマーヴを引っ張る形で行動します。
相棒マーヴと共にクリスマス休暇を利用して家族総出で旅行に行く家を狙い空巣を計画します。偽警官に扮して事前情報の収集を行うなど用意周到でしたが、逆にケビンに正体を疑われるきっかけとなってしまいます。
計画通りマカリスター家に盗みに入ろうとするものの、準備万端に待ち構えていたケビンに撃退されます。
演:ジョー・ペシ
75年に映画デビュー。全く売れずにさまざまな職業を転々とします。レストランの支配人をしていた時に、ロバート・デ・ニーロに目をつけられ「レイジング・ブル」に出演。その後「グッドフェローズ」でアカデミー助演男優賞を受賞します。
マーヴ・マーチャント(ダニエル・スターン)
泥棒コンビの1人。長身の若い男でヒゲを生やしています。能天気な性格でかなり間の抜けたところがあります。
相棒ハリーの命令には大人しく従い、運動音痴な相棒に代わって行動的な仕事をします。
自分のトレードマークとして、盗みに入った家の水を出しっぱなしにしていますが、ハリーからは止められています。ケビンの反撃で熱々のアイロンが顔面にクリーンヒット。最後はハリーと共に逮捕されます。
演:ダニエル・スターン
1979年「ヤング・ゼネレーション」で映画デビューし注目を集めます。以降、さまざまなジャンルの作品に出演。「ホーム・アローン」で人気を得ました。また、「がんばれ!ルーキー」で監督業にも挑戦して秀作を残しました。
マーリー(ロバーツ・ブロッサム)
マカリスター家の隣に住む無口な老人。家の前をシャベルで淡々と除雪作業を行っています。バズの作り話によってケビンは「シャベル殺人鬼」と怖れていましたが、本当は心優しい人物です。
クリスマス期間中に1人で教会にいたところ、自分の過ちを悔いて現場にやってきたケビンと会話をします。
そこで、息子家族と喧嘩してクリスマスを1人で過ごしていることを明かし、似た境遇のケビンはマーリーへの誤解を解いて打ち解けます。
ケビンを捕まえた泥棒コンビを背後からシャベルで殴って昏倒させ彼を助けます。
演:ロバーツ・ブロッサム
1960年代に舞台から映画界へ進出し、数々の作品へ出演。70年代にはスティーヴン・スピルバーグが監督した「未知との遭遇」をはじめ、クリント・イーストウッド、ロバート・レッドフォードなど名だたる俳優や監督らと共に仕事を重ね、着実に役者としての地位を築き上げます。
基本情報
ホーム・アローンのここが面白い
ロケ地・シカゴ
シカゴはアメリカ合衆国のイリノイ州にある人口が全米第3位の大都市です。
ケビンが1人で取り残されるマカリスター家があるのは、ウィネッカというシカゴの高級住宅街。住所は「リンカーン通り671」です。
クリスマスの時期には一軒一軒の家々でクリスマスの飾り付けがされ、街中を歩くだけでもとても楽しいそうです。
オークパークにある教会、アイス・リンクなどがシカゴでロケ撮影されています。また、パリ空港となっているのはシカゴ・オヘア空港です。
ローションを顔に塗って絶叫するケビン
両親が大慌てをしている一方で、ケビンは1人となった自由を満喫しています。
朝は1人でシャワーを浴び、大人用のシャンプーを使います。そして、父親が使うローションを顔に塗ると、あまりの刺激に絶叫します。
兄のバズの部屋で壁に据えられた棚の一番上にある箱にお金があると目をつけたケビンは、棚をよじ登ります。しかし、自分の重みで棚は壊れてしまいます。
箱に入ったお金を手に入れることには成功しましたが、棚から落ちた水槽に入れられていたタランチュラも逃げ出してしまいます。
ギャング映画と爆竹でマーヴを驚かせるケビン
留守にしているはずのマカリスター家にケビンがいることに気づいたハリーとマーヴ。他にも人がいるかを確認に裏口に忍び寄ったマーヴに気づいたケビンは、ギャング映画のビデオを再生し、他にも人がいるように見せかけます。
耳をすませるマーヴに、映画内でのマシンガンの発砲に合わせて爆竹を鳴らします。驚いたマーヴは本当にギャングが家にいると思い込みます。
クギを踏むマーヴと手にやけどするハリー
ハリーとマーヴの泥棒2人組が襲ってくることがわかったケビンは、迎え撃つ決意をし、家中にさまざまな罠をしかけます。正面と地下室への階段に水をまいておき、2人を滑って転ばせることに成功します。
地下室に入ったマーヴがぶら下がるヒモを引っ張ると、アイロンが落ちていきます。アイロンの直撃を受けたマーヴの顔にはアイロンの痕がくっきりとつきます。
地下室から1階に上がる階段にはタールが塗られていて、上るマーヴの靴と靴下が脱げます。さらに、階段には大きなクギが立てられており、踏みつけたマーヴは痛みで絶叫します。
正面玄関から中に入ろうとするハリーがドアノブを握るとドアノブは熱せられており、ハリーは熱さで絶叫。雪に手を入れて冷やします。手にはドアノブに描かれていた「M」の文字の痕がついてしまいます。
ケビンが観ていたあの映画は?
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、「ホーム・アローン」でケビンが見ていたギャング映画は実在しません。
家にたったひとりで取り残されたケビンが、ピザのデリバリーの受け取りの時に活用して配達員を怖気づかせたあの映画です。
長い間実在する白黒映画だと思われていたのですが、これは1939年の映画「汚れた顔の天使(Angels With Dirty Faces)」をパロディにしたフェイク映画で、本編の撮影が始まる前に1日で撮られた映像だといわれています。
タイトルもビデオテープがスクリーンに映るという理由だけで、『汚れた魂の天使(Angels With Filthy Souls)』と決められたと米VanityFairが伝えています。
たった1分20秒の尺にもかかわらずインパクト抜群の映像は大反響を受け、結果的にこのフェイク映画は『ホーム・アローン2』にも受け継がれます。
『Angels With Even Filthier Souls(もっと汚れた魂の天使)』という続編映画として、ケビンがホテルの従業員を怖がらせるために使われました。
マコーレー・カルキンのその後は?
「ホーム・アローン」で主人公ケビンを演じて、世界一有名な子役となったマコーレー。
「マイ・ガール」(1991)、「ホーム・アローン2」(92)など出演作が続きましたが、父親からは身体的・精神的な虐待を受けていたようです。
もともと家族全体に虐待はあったが、その矛先が向けられたのが「ホーム・アローン」で成功した自分だったと語り、「父親が人生でやろうとしていた全てのことを、僕は10歳になる前にやってしまった」と冷静に分析しています。
94年には両親が離婚。マコーレーはこれでもう無理やり仕事をさせられることもないとほっとしたといっています。
そして、彼は15歳の頃には親権争いをする両親を訴え、自分の財産を自分で管理する権利を勝ち得ています。
2012年には、激ヤセして老人のようになった姿がパパラッチされ、9年交際した女優ミラ・クニスとの破局から立ち直れずに「重度のヘロイン中毒になって余命半年」だと報じられたこともありました。(後に本人が否定しています)
しかし、2018年12月、「ホーム・アローン」から28年の時を経てGoogle アシスタントのCMで大人になったケビンを演じたことや、ファン投票の結果、新しいミドルネームを「マコーレー・カルキン」にすると発表して大きな話題になりました。
まとめ
今回は「ホーム・アローン」のご紹介でした。いかがでしたか?
慌て者の家族たちに置き去りにされた8歳の少年ケビン。自分が「家族を消して欲しい」と願ったばかりに消えてしまったと思っています。
ケビンが泥棒をやっつけるシーンがとても笑えるので、アメリカらしいコメディ映画という印象が残っていましたが、見返してみると家族の存在に感謝しながら成長していくケビンの姿がしっかりと描かれています。
そして、劇中で流れる美しいクリスマスソング、怖いと思っていたマーリーと孫のサブストーリーも印象に残ります。
クリスマスが近くなると、毎年のようにテレビで再放送されるので、すでに観ている人も多いと思いますが、まだ観ていないという方「ホーム・アローン」はクリスマスではなくてもとっても楽しめる映画ですよ。
監督 クリス・コロンバス
脚本 ジョン・ヒューズ
製作 ジョン・ヒューズ
製作総指揮 マーク・レヴィンソン スコット・ローゼンフェルト ターキン・ゴッチ
出演者 マコーレー・カルキン ジョー・ペシ ダニエル・スターン
音楽 ジョン・ウィリアムズ
撮影 ジュリオ・マカット
編集 ラジャ・ゴズネル
配給 20世紀フォックス
公開 〔アメリカ〕〔カナダ〕1990年11月16日 〔日本〕1991年6月22日
上映時間 103分
製作国 アメリカ
言語 英語
製作費 $18,000,000
興行収入 $476,684,675