「トゥルーマン・ショー」もし、あなたの人生のすべてを全世界に生中継されていたら?

「トゥルーマン・ショー」もし、あなたの人生のすべてを全世界に生中継されていたら?

今回のご紹介は「トゥルーマン・ショー」です。
非常に有名な映画なので、ご存知の方も多いかもしれません。

映画の人気ランキングで軒並み上位にくることで知られるこの映画ですが、タイトルだけは知っていても、実際に見たことはないという人も多いのではないでしょうか。

映画「トゥルーマン・ショー」は、1998年に公開されたアメリカのコメディ映画です。

「離島の町シーヘブンで生まれ育った男トゥルーマン。保険会社で働きながら、しっかり者の妻メリルと平穏な毎日を送る彼には、本人だけが知らない驚きの事実がありました。
彼は人生のすべてをテレビのリアリティショーで生中継されていたのです」

後に、精神疾患のひとつであるトゥルーマン症候群という病名の元になるほどに大きな影響を与えた名作です。

主演はジム・キャリーが務め、大ヒットを記録しました。
今回はその「トゥルーマン・ショー」のあらすじからキャスト、見どころまで詳しくご紹介していきます。

あらすじ(ネタバレあり)

シーヘブン島の保険会社で働くトゥルーマンは、明るい男ですが、一度も島を出たことがありません。嵐で父親を亡くして以来、水に対する恐怖で海を渡ることができないのです。

トゥルーマン

彼の身の周りには不思議なことがたくさん起こります。実は、彼の行動はリアリティ番組として逐一放映されていて、その事実を知らないのはトゥルーマンだけなのでした。

ある日、トゥルーマンは死んだはずの父親に似たホームレスを見つけます。彼は必死に追いかけますが、父親は連れ去られてしまいます。

学生時代、トゥルーマンはローレンという女性に恋をします。ローレンの本名はシルビアという名前でした。シルビアはトゥルーマンに真実を知らせますが、父親と名乗る人間に連れ去られてしまいます。

その後、トゥルーマンはメリルという女性と結婚し,幸せに暮らしていましたが、シルビアのことを忘れられずにいました。

トゥルーマンは、シルビアが連れ去られる時に聞いたフィジーという言葉から、フィジーに行こうとしますが、島を出ようとすると途端に様々なトラブルが起こり、行くのを阻止されます。

ついに、トゥルーマンは周囲の人間を信用できなくなります。友人がトゥルーマンを慰め、亡くなったはずの父親と引き合わせてくれます。

しかし、それも演出でした。トゥルーマンと父親の再会に、テレビの前の観衆は感動で涙します。

シルビアは番組プロデューサーのクリストフにトゥルーマンの人生を売り物にしていることを抗議しますが、相手にされません。

トゥルーマンは番組制作者の裏をかき、外に脱出する計画を立てていました。トゥルーマンを見失った番組製作者は、親友のマーロンを家に向かわせますが、トゥルーマンは家を抜け出していました。

すぐさま、トゥルーマンの捜索が始まります。トゥルーマンが海を渡ろうとしていることを知ったスタッフは、天候を嵐の設定にします。

嵐の中、命がけで海を渡ったトゥルーマンは、ようやくシナリオの世界を脱出することができたのでした。

航海

キャスト

トゥルーマン・バーバンク(ジム・キャリー)

「トゥルーマン・ショー」の主人公。24時間撮影された生活を全世界に放映されていますが、本人はそのことを知りません。

仕事は保険のセールスマン。メリルという妻がいますが、大学生の時に恋に落ちたもののいなくなってしまったローレン(シルビア)への思いを抱き続けており、彼女が連れ去られたと思われるフィジーに行きたいと願っています。

自分を監視するかのような無線、通常と異なった行動を取ると不自然な動きをする町の人々に疑念を抱き、次第に、自分が監視されているような感覚を覚えるようになります。

なんとかして島を出ようとしますがことごとく邪魔されるため、夜中に家を抜け出して、ボートで島から離れます。

番組クリエイターのクリストフによって起こされる大嵐にも負けず、セットの端までたどり着きます。

演:ジム・キャリー
15歳でトロントに赴き舞台の経験を積みます。その後、19歳でロサンジェルスへ移住。

TVシリーズや映画作品の端役を経て、初の主演作品「エース・ベンチェラ」の大ヒットで注目されるようになります。

94年「マスク」によりその人気は不動のものとなり、その後続々と主演作品が製作され、「グリンチ」では全米最大のヒットを飾りました。

クリストフ(エド・ハリス)

テレビ番組「トゥルーマン・ショー」クリエイターです。

番組の生みの親で、セットに登場する月のあるエコスペース社の221階で番組の進行を指揮しています。

トゥルーマンがシーヘブンに不審感を持ち始めると、すぐさまスタッフやキャストに指示を出し、父親との再会を企画。父親と抱き合うトゥルーマンをアップにして、感動的な音楽を流し演出を盛り上げます。

テレビのインタビュー番組で、かつてローレンを演じたシルヴィアから批判の電話を受けた時には、「トゥルーマンはその気になれば外の世界に出られた」と主張します。

演:エド・ハリス
77年「コーマ」の端役で映画デビュー。「ボーダーライン」、「ナイトライダーズ」で批評家に絶賛され、以降演技派としてその地位を確立します。

「アポロ13」ではアカデミー助演賞にノミネート。その一方、舞台活動も熱心で83年、サム・シェパード作の『フール・フォア・ラヴ』でオビー賞の主演賞を受賞します。

そのほか『欲望という名の電車』、『ハムレット』などに出演し、高い評価を受けています。

メリル(ローラ・リニー)

チアリーダーをしていた大学時代にトゥルーマンと知り合い、やがて結婚。今は看護師をしているという設定です。子どもを欲しがっていますが、外の世界を見たがるトゥルーマンをその気にさせられずにいます。

周りの人々が自分をだましていると思うようになったトゥルーマンに、結婚式の時に指をクロス(懺悔を意味)していた写真を見られ、疑念を抱かれるようになります。

ワイフ

演:ローラ・リニー
ブロードウェイでイーサン・ホークやジョン・ヴォイドと共演して高い評価を得ます。

92年「ロレンツォのオイル/命の詩」で映画デビュー。「デーヴ」、「ボビー・フィッシャーを探して」と脇役ながら秀作にも恵まれ、95年の「コンゴ」で初主演を果たします。

「トゥルーマン・ショー」のコメディエンヌぶりも好評でした。

マーロン(ノア・エメリッヒ)

トゥルーマンの親友役。トゥルーマンとは7歳の時からの付き合いで、今は自動販売機の補充の仕事をしています。

2人でビールを飲みながら話をするなどトゥルーマンから信頼されており、島を出たいと考えているトゥルーマンに、「シーヘブンが一番」と話します。

また、トゥルーマンが周囲の異変を感じ取った時にも、トゥルーマンを落ち着かせる役目を務めます。

演:ノア・エメリッヒ
ニューヨーク州 出身。本名はノア・ニコラス・エメリッヒです。 イエール大学 と ニューヨーク大学 のフィルム・スクールで学びました。

「トゥルーマン・ショー」のほかにも、「オーロラの彼方へ」(00)、「ウィンドトーカーズ」(02)、「リトル・チルドレン」(06)などへの出演があります。

脚本家のトビー・エメリッヒは実の兄です。

ローレン・ガーランド / シルビア(ナターシャ・マケルホーン)

トゥルーマンが恋した大学生です。図書館で勉強している時にトゥルーマンに声をかけられます。

一緒に浜辺へ行きそこでキスをしますが、車でやって来た父親を演じる男に連れ去られ、娘は精神的な病気だと説明されます。

連れ去られる時に、すべてが番組のセットのニセモノであること、自分の本当の名前はシルビアであることを叫びます。

その後も番組を見続けており、トゥルーマンがセットから抜け出すのを見届けると部屋を飛び出していきます。

演:ナターシャ・マケルホーン
1996年『サバイビング・ピカソ』のヒロイン役フランソワーズ・ジロー役に抜擢され、画主演デビューを飾ります。

それが一躍評判となり、ブラッド・ピット、ジム・キャリー、ジョージ・クルーニー、ロバート・デ・ニーロらハリウッドのトップスターと共演を果たします。

2007年よりTVシリーズ『カリフォルニケーション』の元妻カレン役でデイヴィッド・ドゥカヴニーと共演して評判となり、2014年まで演じています。

基本情報

基本情報

監督         ピーター・ウィアー
脚本         アンドリュー・ニコル
製作         スコット・ルーディン アンドリュー・ニコル エドワード・S・フェルドマン
製作総指揮      リン・プレシェット

出演者        ジム・キャリー ローラ・リニー ノア・エメリッヒ ナターシャ・マケルホーン
音楽         ブルクハルト・ダルウィッツ フィリップ・グラス
撮影         ピーター・ビジウ
編集         ウィリアム・M・アンダーソン リー・スミス

製作会社       スコット・ルーディン・プロダクションズ
配給         〔アメリカ〕 パラマウント映画 〔日本〕 UIP

公開         〔アメリカ〕1998年6月5日 〔日本)1998年11月14日
上映時間        103分
製作国         アメリカ合衆国
言語           英語
製作費          $60,000,000
興行収入         $264,118,201

受賞歴

受賞歴

第56回 ゴールデングローブ賞

最優秀主演男優賞(ドラマ部門)    ジム・キャリー
最優秀助演男優賞           エド・ハリス
最優秀作曲賞             ブルクハルト・ダルウィッツ

「トゥルーマン・ショー」の見どころ

水恐怖症のトゥルーマン

トゥルーマンは水恐怖症です。原因は嵐の日に父と海に出た時に、父が目の前で海に飲み込まれ亡くなってしまったことにあります。

父親の事故は、成長とともに外の世界に興味を持つようになったトゥルーマンをシーヘブンにとどめるため、クリストフが引き起こしたものです。

水恐怖症のトゥルーマンはフェリーに乗れず、川にかかった橋を車で運転して渡れません。

普通の人間が大人になるまで島を一歩も出たことがないということに違和感を感じる人も多かったのではないか思います。

トゥルーマン自身を極度の水恐怖症にして「シーヘブンから出たくても出られない」という設定にしてしまったことが、この作品を成立させた重要なポイントだと思います。

島を脱出できないトゥルーマン

自分が乗る車を監視している音声を聞くなど、自分の周囲がどこかおかしいと不審に思い始めたトゥルーマン。

さらに、結婚式の写真で妻のメリルが指をクロスさせて懺悔していることを発見します。

トゥルーマンが大学生時代に恋に落ちたローレンが連れ去られた時に、連れ去るローレンの父親役の男がローレンを連れて行く場所として口にしたことをトゥルーマンは覚えていました。

フィジーに向かうことを決意したトゥルーマンは旅行代理店で飛行機の予約をしようとしますが、1カ月先まで空席がないと言われます。次に、バスでシカゴまで向かおうとしますが故障して出発しません。

家に帰って来たメリルを乗せて車で町から出ようとするトゥルーマン。車を発進させますが、急に現れた車に道をふさがれます。

家に戻ると見せかけたトゥルーマンが再び道路に向かうと、先ほどまでいた車はきれいにいなくなっているのでした。

プロデューサー クリストフ

トゥルーマンがボートで外の世界に向かった時には、スタッフや上層部の反対を押し切って、猛烈な嵐を発生させます。

それでもくじけないトゥルーマンがセットから出るドアの前にまでやって来た時には、外の世界の危険性を呼びかけますが、忠告を聞かず外の世界へと出て行こうとする姿をみて、最後はうなだれてしまいます。

唖然とするクリストフを尻目に、トゥルーマンは扉を抜けてセットの外の世界へと踏み出し、画面から去っていきます。

ラスト

視聴者は誰もがトゥルーマンの選択に沸き立ちますが、騒然とする番組スタッフは放送を中止します。

作品では、眠っているトゥルーマンが映し出されたモニターをクリストフがなでる姿を見せ、セットから出ようとする彼に過去の出来事をなつかしそうに語るなど、クリストフがトゥルーマンを子どものようにかわいがっていることが描かれています。

「トゥルーマン・ショー」をもっと楽しむために

トゥルーマンのいつもの朝

トゥルーマンは、いつものように「おはよう。会えない時のために、こんにちは、こんばんは。そしておやすみ」と近所の家族にあいさつをして、車で出勤しようとします。

するとそこに、空から巨大な照明器具が落ちてきます。驚くトゥルーマンですが、ちょうどそのタイミングでカーラジオから「飛行機から部品が落ちた」というニュースが流れます。

落ちてきたのはもちろんセットの照明です。

そして、トゥルーマンはいつものように新聞とファッション雑誌を買い、いつものように看板の前で双子の男性に話しかけられます。

雨に追いかけられるトゥルーマン

トゥルーマンは、島を出てフィジーに行きたいという思いを親友のマーロンに語ります。
その後、浜辺で1人になったトゥルーマンは、小さい時に父親とボートで海に出たときに嵐にあい、ボートから投げ出された父親が溺死したことを思い出します。

急に雨が降ってきたために帰ろうとしますが、ピンポイントで自分にだけ雨が降っていることに気づきます。トゥルーマンが移動すると雨が追いかけてくる。トゥルーマンの不審は大きくなっていきます。

家に帰ったトゥルーマンは、世界を旅したいという話をメリルにしますが、メリルはそれよりも赤ちゃんを作ろうとトゥルーマンを誘います。

ありえない旅行会社のポスター

「あなたの身にも起こるかもしれない!」
トゥルーマンがフィジー行きの飛行機チケットを買いに、旅行代理店を訪れます。
壁には、飛行機に雷が落ち、稲妻が突き刺さるポスターが貼られています。それを見たトゥルーマンは驚きの目をします。

トゥルーマンをおじけづけさせるために制作側が貼ったもので、なんとか彼をシーヘブン島に留まらせようというトゥルーマンも呆れるようなわかりやすい作戦です。

トゥルーマンは都会に住む青年になるはずだった

本作の脚本を担当したアンドリュー・ニコルははじめ、トゥルーマンを都会に住む高校を卒業した頃の青年として描いており、ニューヨークでの撮影を想定していました。

しかし、監督のピーター・ウェアーが都会で撮影してSFじみた作品になることを避け、より現実味のある田舎町での撮影に変更したといいます。

また、脚本の段階から監督は、トゥルーマンはジム・キャリーに演じて欲しいと思っていたそうで、実際にジム・キャリーが演じることになったため、青年の設定から29歳の男性に変更しました。

「他にどんな番組がある?」「テレビガイドはどこだ?」

トゥルーマンがセットのドアから去っていった時、視聴者たちは感動と興奮に包まれます。しかしそのすぐあとに二人の門番が、他の番組にチャンネルを変えるシーンです。

自らの実体験のようにドラマの主人公に思い入れを強く抱いても、すぐに他のもっとおもしろい番組を見たがる、結局のところ視聴者なんてそんなもの。

感動的なラストのあとで、「自分にも当てはまるな」と思わず笑ってしまうセリフです。

「トゥルーマン・ショー」のレビュー

皮肉がきいている
あらすじを読んだ時はかなりシリアスな映画かと思いましたが、予想より観やすいです。手をかざしただけで止まる車、舞台裏で化粧を直す人々、いきなりCMのように商品について喋り始める奥さんなどがコメディタッチに描かれています。ただ、どこからどこまでが虚構の世界なのか、皮肉がきいていて考えさせられる作品です。
うまくできている
生まれたときから、実は物語の主人公をやらされているという、ありそうでなかった設定。企画負けかと思いきや、脚本は非常にうまくできている。主人公を通して生きるってなんなのだろうと考えさせられた良作。何か人生に迷うことやうまく行かないことがある人に観てもらいたい作品です。
人生は予測できない
日常と思っていたものが全部作られたものだった。トゥルーマン以外は全員役者でトゥルーマンの生活は番組の一部。不便なことはないかもしれないがすごくこわい。最後、番組の中ではなく自分の意思で生きていこうと決めたトゥルーマンがとてもよかった。人生は予測できないから楽しいんだということを教えてくれた。
本当に面白い
すごい。これ。最初は人の人生を映すこと、それを楽しみにする視聴者に違和感と嫌悪感を抱くのに、いつの間にか視聴者と同じようにトゥルーマンの人生に釘付けになって、最後には視聴者と一緒に感動で涙してしまう。観たことある人たちで語り合うのも面白いですよ。
本当に面白いのでオススメです。

まとめ

今回は「トゥルーマン・ショー」をご紹介しました。いかがでしたでしょうか?

「トゥルーマン・ショー」は人生の全てをメディアに操作されていた男が、勇気を出して現実の世界へと脱出する姿を描いています。

言い換えれば、「壮大なスケールでドッキリをやる」という、思いついても実現するのが難しいアイデアを映画として成立させてしまっています。本当にすごいです。

このあまりにも破天荒な物語は、のちに「トゥルーマン症候群」という病名になるなど、大きな影響を与えています。

症状は映画の中のトゥルーマンと同様に「何かに見られている」という妄想癖の一種として扱われているそうです。

「トゥルーマン・ショー」は、「もし、自分の人生が全部ニセモノで、世界中に見せ物にされていたら?」というありそうでなかったストーリーをコメディとして上質に仕上げてあり、一度観たら忘れられない面白さがあります。

そして、それを「情報として全てが管理されるという現代社会の問題」として扱っているところも、この映画が今でも身近に感じる理由かもしれません。

ただ、敷かれたレールの上をなに不自由なく歩いてきたトゥルーマンが、そのことに疑問を持ち、自分の力で大きく羽ばたこうとする姿は、多くの人に勇気と感動を与えてくれます。

「トゥルーマン・ショー」は、コメディ映画ながら現在も多くのファンがいる傑作です。