今回はジョージ・クルーニー、ブラッド・ピットら超豪華キャストの競演で毎回話題を呼んでいる人気シリーズの第3弾「オーシャンズ13」のご紹介です。
犯罪ドリームチーム“オーシャンズ”のメンバーであるルーベンが、ホテル王バンクの裏切りによるショックで危篤状態となってしまいます。
復讐を誓ったオーシャンたちは、これまで敵同士だったベネディクトとも手を組み、カジノ付ホテルのオープンを控えたバンクに壮大な罠を仕掛けます。
冷酷なホテル王バンクに扮するのは名優アル・パチーノです。
それではご紹介していきましょう。
あらすじ(ネタバレあり)
ダニー・オーシャンが仲間と力を合わせて、ライバルの同業者を打ち倒してから数年。
ダニーは窃盗から足を洗い、穏やかな毎日を送っていました。しかし、そんなダニーのもとに、ある悲報が飛び込んできます。それは、かつての仲間、ルーベンが心筋梗塞で倒れたというニュースでした。
そして、ルーベンは倒れる直前、ラスベガスに豪華絢爛な巨大ホテルを建設しようと考えていました。
そんな彼のパートナーは、ホテル王として名を馳せるバンクという人物。計画は順調に進んでいましたが、直前になって悪名高いバンクがルーベンを裏切ったのです。
ルーベンは失意の最中、ルーベンは心筋梗塞で倒れてしまいます
オーシャンはまずバンクに会いに行きます。そして、ルーベンにホテルの権利を返すように、と最後の忠告をします。当然、バンクはオーシャンの忠告を無視しました。
バンクはオーシャンたちに自分を追い詰めるほどの力はないと踏んでいました。それほどバンクの持つ力は大きく、しかもオーシャンは既に現役を退いていたからです。
バンクがそこまでの自信を持つ理由がもう一つありました。
彼のホテルを守る「グレコ」という圧倒的能力を誇るセキュリティの存在があったからです。
確かに調査を進めるほどにそのグレコの存在はオーシャンズに重くのしかかります。
彼らは1つの計画を立てます。
まず、ドリルを使ってホテルに人工的な地震を起こします。その地震を感知したグレコは、ホテルを守るためにセキュリティを一時ロックします。
その短い間を狙って攻撃を仕掛けようと考えたのです。
そして、ドリルを入手し人工的な地震を引き起こしたオーシャンたちでしたが、なんと途中でドリルが壊れるというハプニングに見舞われてしまいます。
新しいドリルを調達しようにも、彼らにその金銭的余裕はありませんでした。
困り果てたオーシャンズは、驚きの博打に打って出ます。かつての因縁の相手、ベネディクトに連絡を取るのです。
バンクとベネディクトは同じラスベガスで商売をするライバル同士。「バンクを倒せるならば」とベネディクトはオーシャンズへの資金提供を引き受けます。
代わりにベネディクトは、バンクが所持する巨大なダイヤモンドを盗み出すことを条件づけます。
こうして、新たなドリルを調達したオーシャンズは再び穴を掘り始め、遂に人工地震を起こす計画を実行に移しました。
しかしその裏側で、かつてオーシャンと勝負を繰り広げたフランソワ・トゥルアーは密かにベネディクトと連絡を取り合っており、ダイヤを奪還する計画を練っていました。
オーシャンたちの狙い通り、ホテル「バンク」は人工的な地震に見舞われました。「グレコ」がセキュリティをロックさせる時間は3分間。
その間にオーシャンたちはあらかじめ仕込んでおいた偽造ダイスやポーカー、スロットマシーンなどでカジノの一般客に手あたり次第大勝ちをさせ、バンクに大打撃を与えました。
そしてベネディクトの企みをあらかじめ見破っていたオーシャンはダイヤをベネディクトには渡さず、貧しい子供たちに寄付しました。
また、オーシャンは、ホテルの評価を行う調査人にこっそり嫌がらせを仕掛けていました。
散々不愉快な思いをした調査人はバンクのホテルに最悪の評価をつけます。
オーシャンはせめてもの罪滅ぼしとして調査人にスロットマシーンで大勝ちさせます。
キャスト
ダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)
主人公。現在は足を洗っている。ルーベンに再三、バンクとの関係を解消するように注意するがルーベンは取り合わず、予測通りの結果となります。
ルーベンの病状を知ってラスベガスに舞い戻り、バンクへの報復計画を立てます。
演:ジョージ・クルーニー
94年から始まった大ヒットTVシリーズ「ER」でブレイクし、95年「フロム・ダスク・ティル・ドーン」でトップスターに上り詰めます。
以降、プロデューサーとしても活躍し、「シリアナ」で助演男優賞を受賞。その後、「フィクサー」(07)、「マイレージ、マイライフ」(09)、「ファミリー・ツリー」(11)で主演男優賞を受賞。
監督・主演も務めた「スーパー・チューズデー 正義を売った日」(11)で脚色賞にノミネートされています。名実ともにハリウッドを代表するスターです。
ラスティ・ライアン(ブラッド・ピット)
ダニーの右腕で計画の直接的な実行役です。現在もホテル経営に手を出していますが、ルーベンによれば芳しくないようです。
イザベルとの交際も続いていますが、ダニーに男女関係に関する難しさを愚痴ります。
演:ブラッド・ピット
12モンキーズ」(95)でアカデミー助演男優賞、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」(08)、「マネーボール」(11)で同主演男優賞にノミネートされています。
近年は自身の製作会社プランBエンタテインメントでプロデューサー業にも力を入れており、製作総指揮を務めた「ムーンライト」(16)がアカデミー作品賞を受賞しています。
クエンティン・タランティーノ監督作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(19)ではアカデミー助演男優賞を受賞、俳優として初のオスカー像を手にしました。
ライナス・コールドウェル(マット・デイモン)
伝説の泥棒ボビー・コールドウェルの息子です。シリーズにおいて盗人稼業の新人の扱いでしたが、今作では一味の資金運営を任されるなど、かなり主要なポストについています
イエンの秘書として付け鼻をしてバンクへ潜入し、スポンダーの籠絡を担当します。
演:マット・デイモン
02年の「ボーン・アイデンティティー」に始まる「ジェイソン・ボーン」シリーズで主演を務め、2作目「ボーン・スプレマシー」(04)以降のメガホンをとったポール・グリーングラス監督とは「グリーン・ゾーン」(10)でもタッグを組みます。
06年にはマーティン・スコセッシ監督のアカデミー賞受賞作「ディパーテッド」で主演を務めました。
その後もクリント・イーストウッド監督の「インビクタス 負けざる者たち」(09)でアカデミー助演男優賞にノミネートされています
ルーベン・ティシュコフ(エリオット・グールド)
ラスベガスでホテル経営に精を出す実業家で資産家。今回の物語のきっかけとなります。
バンクと新規建設するカジノホテルを共同経営する計画を立て、多額の資金を投資しますが、結局彼に裏切られてしまいます。
経営権を放棄させられ、そのショックで心筋梗塞を起こし、寝たきりに。このため、今回の計画にはほとんど参加していません。
演:エリオット・グールド
69年の「ボブ&キャロル&テッド&アリス」でアカデミー助演賞候補になり、翌年の「M★A★S★H マッシュ」でトラッパー・ジョンに扮して絶大な人気を得ました。
その後、73年に「ロング・グッドバイ」であのフィリップ・マーロウを人間臭く演じたほか、「カプリコン・1」では火星有人飛行の疑惑を追う新聞記者など、自身のキャラクターを投影した役柄を巧みに演じて高い評価を受けます。
テリー・ベネディクト(アンディ・ガルシア)
ラスベガスの3大カジノのオーナー。第1作以来、オーシャンズの仇敵です。本作では資金に困ったダニーから資金提供を頼まれます。
犬猿の仲ながらも、商売敵であるバンクのホテルが自身のホテルのプールに影を作ったことなどを挙げて、仲間になることを了承します。
実行役になる予定はありませんでしたが、困ったダニーの頼みで「ナフセット」の品評会でサクラを演じ、バンクにこれを採用させることに成功します。
演:アンディ・ガルシア
名作「アンタッチャブル」(87)で主要キャストに起用され、以降「ブラック・レイン」(89)や「背徳の囁き」(90)に出演。
「ゴッド・ファーザーPARTIII」(90)ではコルレオーネ一族の後継者に指名されたビンセント・マンチーニを演じ、アカデミー助演男優賞にノミネートされます。
その後は、「男が女を愛する時」(94)や「絶体×絶命」(98)などに主演し、近年の映画出演作に「ゴーストバスターズ」(16)などがあります。
ウィリー・バンク(アル・パチーノ)
ラスベガスのホテル王。経営するホテルが軒並みホテル格付けの最高位「5ダイヤモンド」を獲得している著名人です
ビジネス界での評判がとても悪く、ルーベンが彼と手を組むと聞いた時には多くの友人達がルーベンに注意をしました。予想通りルーベンを裏切ります。
演:アル・パチーノ
フランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッド・ファーザー」(72)のマイケル役に抜てきされ見事な演技で絶賛されます。
以降「ゴッド・ファーザー パートII」(74)をはじめ、シドニー・ルメット監督の「セルピコ」(73)、「狼たちの午後」(75)やブライアン・デ・パルマ監督の「スカーフェイス」(83)などに出演。
「セント・オブ・ウーマン 夢の香り」(92)でアカデミー主演男優賞を受賞。以降の出演作に「ヒート」(95)、「インサイダー」(00)、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(19)など。ハリウッドきっての名優として活躍し続けています。
基本情報
オーシャン&ラスティ
今回も2人の活躍は見事です。
オーシャンは悪名高いバンクから持ちかけられたカジノの共同経営話にだまされて大金を失った仲間のルーベンのために、バンクに金を戻すように直接話しに行きます。
しかし、バンクが受け入れなかったため、バンクへの復讐を決めます。そして念入りに計画を練り上げていきます。
ラスティは、バンク・ホテルのコンシェルジュを買収して仲間にし、また、地震学者になりすまして、カメラの仕込まれた地震計をバンクのオフィスに置いて監視できるようにします。
さらに2人は一緒にホテル職員になりましてホテルの格付け審査員の泊まる部屋に有害微生物をまき散らします。
(バンクへの復讐を終えたあとには、ひどい目にあわせたホテルの格付け審査員に空港のスロットで大もうけをさせてやります)
準備が進む中、ホテルのオーシャンの部屋をラスティが訪ねると、オーシャンの様子がおかしいことに気づきます。
オーシャンがテレビの「オプラ・ウィンフリー・ショー」に感動して涙ぐんでいたことを知ったラスティ。そのラスティも番組の続きを見て鼻をすする姿を見せます。
このあと「オプラ・ウィンフリー・ショー」は、ベネディクトが出演する番組として再び登場します。
2人の信頼関係は健在で、前作で結ばれたイザベルと最近うまくいっていないらしいラスティのグチをオーシャンは聞いてやっています。
また、2人とも若い頃にルーベンの世話になった話を語り合います。
ベネディクトがオーシャンズに加入?
テリー・ベネディクトは、ラスベガスの大手カジノホテルのオーナーです。「11」ではオーシャンに大金とテスを奪われ、「12」では金を返すように命じてオーシャンを追いつめます。
しかし、今回はドリルの購入資金に困ったオーシャンに頼まれ、資金提供を引き受けます。
その条件は「裏切ったら殺す」「金を出すのは最後、もらうのは最初」「出資金の2倍の額を受け取る」「バンクのダイヤを盗む」というもの。
フランクをバンクのカジノに送り込む作戦では、ゲームの見本市でフランクのゲームに興味を持つフリをして、対抗心を燃やしたバンクが自分のホテルに採用するように持っていく役割を務めます。
一方で、オーシャンが盗んだバンクのダイヤは要らないと語っていたにもかかわらず、前作でオーシャンのライバルとなったトゥルアーを使って奪わせようとします。
バンクをやり込めた後、ダニーは約束を破ったベネディクトの取り分を返さず、慈善団体に寄付してしまいます。
ベネディクトは腹を立てるものの今さら寄付を撤回するわけにもいきません。彼はテレビ番組「オプラ・ウィンフリー・ショー」に出演。司会者から称賛されます。
この様子をテレビでオーシャン、ラスティ、ライナスが空港の椅子に並んで観ています。
その時の何ともいえない空気感がとても面白いです。
軽業師イエンの活躍
強引にエレベーター・シャフトへ
ダイヤの置かれた部屋の床の厚さを調べるために、高速でエレベーターが上下するシャフトに入って調べるようにいわれたイエンでしたが、あまりにも危険なために断ります。
そして、ラスティたちが感心した映画のスタントがCGだったことを明かします。
そんなイエンに、オーシャン、ラスティ、ライナスは、ルーベンがこのままでは不幸になることを口にし、イエンが認めざるを得ない状況を作り出します。
イエンは3人に悪態をつきながら、しぶしぶエレベーター・シャフトに入っていきます。
中国の不動産王・金の携帯電話
カジノのイカサマ探知装置である「グレコ」を停止させるため、マイクロ波を発生させるマグネトロンが必要でした。
バンクがサムスン製の金の携帯電話を欲しがっていることがわかったため、サムスンの幹部に知り合いがいるイエンのつてでマグネトロンの仕込まれた金の携帯電話がバンクの元へ届けられます。
グランド・オープンの日にバンクの金の携帯電話に着信があったことがきっかけで、マグネトロンが起動します。
また、中国の不動産王ウェンを名乗り、アシスタントになりすましたライナスとともに最上階のスイートルームに宿泊。カジノでは1,000万ドルを賭ける姿を見せます。
アル・パチーノインタビュー
アルパチーノのインタビュー記事をご紹介します。
出演を決めたのは脚本がよかったから
豪華メンバーが集結して話題になった「オーシャンズ11」。
「オーシャンズ12」では、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、バンサン・カッセルが客演し、3作目では一体どんな大物が加わるのかと楽しみにしていた映画ファンにとって、アル・パチーノの登場は願ってもないキャスティングだったはずです。
そんなパチーノは、本作に出演を決めたのは「脚本がよかったから」と語っています。
「シリーズ作品の3本目とは思えないような完成度の高い脚本だった。本当に感心したよ」
「この映画はベガスのホテルみたいに豪華だね。もちろん、この映画の魅力はそれだけじゃない。何もかもが見事に調和している。本当にじっくり考え抜かれた映画だと思うね」
ホテル王ホテル王ウィリー・バンクとは?
演じる役どころは、「オーシャンズ」と敵対するラスベガスのホテル王ウィリー・バンク。
オーシャンズのメンバー、ルーベンと組んで巨大カジノを併設した豪華ホテルを築くが、開業間際にルーベンを裏切ります。
ルーベンは裏切られたショックで心筋梗塞になり危篤状態になります。
オーシャンらは、その仕返しにバンクをハメようと行動を開始しますが、パチーノはそんな“悪役”を嬉々として演じているように見えます。
「バンクという男は、誇大妄想に支配されていると思うね。彼にとっては仕事と成功が人生のすべてなんだ。仕事に熱中するあまり、彼は何も目に入らなくなっている。
その結果、バンクはやがて破滅への道を進むことになる。私は何かに熱中しすぎて破滅するような人物が好きなんだ。そういう人物は、自分の周りさえ見えなくなっているんだよ」
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はオーシャンズシリーズの3作目「オーシャンズ13」のご紹介でした。
過去の2作では個々の能力で勝手気ままに動いていた感もあったメンバーですが、ルーベンへの裏切りを許せない仲間たちが再びオーシャンの元に集まり、復讐を開始します。
今回も豪華絢爛でド派手なストーリーと映像ですが、1番の見どころはグレコを停止させている間、カジノの客の勝ち金があり得ないスピードで増えていくシーンです。
金や宝石、ホテルの名誉まで奪われたバンクの表情に少し同情してしまうほどです。
アル・パチーノがあれほど見事に出し抜かれる様子はなかなか観る事の出来ない貴重なシーンなのではないでしょうか。
私はこの映画がとても好きで何度も観ています。
「不朽の名作」でも「感動の物語」でもありませんが、「誰も死なない、撃ち合いもない。豪華スターたちが、きらびやかな舞台で、およそ考えつかないようなスケールで強盗を成し遂げてしまう」本物の娯楽映画です。
「オーシャンズ13」は多くの世代に映画の楽しさを伝えることができる作品だと思います。
シリーズは次作の「オーシャンズ8」で終わりのようです。本当に残念です。
監督 スティーブン・ソダーバーグ
脚本 ブライアン・コペルマン デヴィッド・レヴィーン
製作 ジェリー・ワイントローブ
製作総指揮 スーザン・イーキンス グレゴリー・ジェイコブス フレデリック・W・ブロスト 他
音楽 デヴィッド・ホームズ
撮影 スティーブン・ウィリアムス
編集 スティーヴン・ミリオン
製作会社 ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ
配給 ワーナー・ブラザース
公開 〔アメリカ〕 2007年6月8日 〔日本〕 2007年8月10日
上映時間 122分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $100,000,000
興行収入 〔世界〕$311,312,624 〔アメリカ・カナダ〕$117,154,724 〔日本〕32億円
前作 オーシャンズ12
次作 オーシャンズ8