ヒトの目は、波長を湛(たた)える光を受けることで、色を識別します。
そこから、はれやかな気分になる明るい色、気持ちが沈む暗い色、
風景に溶け込んでいて調和を感じる色、そこだけ違和感があって意図を感じてしまう色、
無機質なモノクローム、明瞭なビビッド、
さまざまな印象を抱きます。洞察に富んだ色づかいはしばしば、マーケティング、ファッション、インテリアなどに用いられます。
今回は、色づかいの造詣(ぞうけい)を深めるカラーデザイン検定について解説します。
Contents
適用する仕事
カラーデザイン検定単体ではアピールポイントとして弱いです。
そこで、予習も兼ねて、カラーデザイン検定で学べる事柄から、実際に活用されそうな場面を連想、推測してみましょう。
『色の三属性』
紫、青、緑、黄、赤の順で徐々に色を変化させてつなげたものを「色相」、
明るさの高低を「明度」、
元の色にどれだけ近いかを示す「彩度」、これら三つを「色の三属性」と呼びます。
また、色相を、紫と赤を隣り合わせるようにぐるっと並べたものを「色相環」と呼びます。
色相から選択された色は、
明度が高いと白く、低いと黒く、
彩度が低いと灰色に、高いと元の色になっていきます。
色の三属性を知っていると、ちょっとしたとき、色を選択しやすくなります。
『トーン』
三属性のうち、明度と彩度の二つだけが調節され複数提案された色相環のセットのことを「トーン」と呼びます。
明度が普通、彩度が最大の「ビビッド」セット、
彩度を少し下げ、明度を少し上げた「ライトトーン」セット、などなど……
トーンを知っていると、他者に、色合いを提案できるようになるでしょう。
『マンセルカラーシステム』
色相環のように、色を選択しやすくするため並べられたパレットのことを「表色系」と呼びます。
「マンセルカラーシステム」とは、ボストンに生まれマサチューセッツ芸術大学で学を修めたアルバート・マンセルの考案した表色系です。
マンセルカラーシステムというキーワードを知っておくことは、デザインの歴史に対する理解の深さを表しており、専門家としての信頼を得られるでしょう。
『食べ物の色、食空間と色』
食事の色合いを考えることは食べることのメリットを増強させます。
お馴染み五味五色の五色は、青、赤、白、黒、黄とされています。
五色は、現代人に不足しがちな食材を取り入れるきっかけになります。
青は、きゅうり、ピーマン、大根の葉、
赤は、トマト、にんじん、だいこん、赤ピーマン、
白、だいこん、きゃべつ、れんこん、
黒、わかめ、ごぼう、ひじき、
黄、たけのこ、大豆、とうもろこし、などなど……
食生活を提案する業務に携わる際、クライアントに対し、色合いから説得力を持たせられるでしょう。このとき、テーブルウェア、ランチョンマット、照明、盛り付けの色合いも考えなくてはなりません。
『色の誘目性と視認性』
『ベースカラー、アソートカラー、アクセントカラー』
対象の雰囲気を決定づける要素として、ベースカラー、アソートカラー、アクセントカラーの三つがあります。
ベースカラーのことを基調色、アソートカラーのことを従属色、アクセントカラーのことを強調色とも呼びます。
ベースは全体の70%、アソートは25%、アクセントは5%が望ましいとされています。
この三つの要素を覚えておくことで、インテリアコーディネーターとして、窓から望める風景とマッチさせる際に役立たせられるでしょう。
河川が見えるなら、ベースをアイボリー、アソートをダークブラウン、アクセントをブルー系にして爽やかに、
庭にお花を植えたいなら、ベースをベージュ、アソートをショコラブラウン、アクセントに赤や黄を取り入れる、などなど……
おおよその年収とキャリアパス
カラーデザイン単独での求人は皆無
カラーデザイン検定の名前を載せている求人は滅多に見当たりません。 カラーデザイン検定単体では活かしにくいと推測されます。 自分のやりたいことを補足する形で取得するのが望ましいとされます。 人それぞれキャリアプランがあり、一概に年収を計算するのは困難でしょう。 |
活用が見込める職種
肌色にあったメイク、ファッションを提案しやすくなります。メーキャップアーティスト、ファッションコーディネーターなどなど……
イエローベース、ブルーベースを、頭の中だけで速やかに意識しましょう。
古風な色名を暗記することで、着物販売に携わるかもしれません。
専門性の高い用語は、扱うだけで信頼性と権威が宿ります。
インテリアカラーコーディネーターとしては、クライアント、お客様からの漠然としたイメージから色合いを想定しなければならないときに役立つでしょう。
クライアント、お客様はプロではないからこそ、カラーデザイナーに依頼するはずだからです。
あたたかな気分になれる明るい色、といったあいまいな指定にも対応しやすくなります。
認可団体
国際カラーデザイン協会(ICD)が運営しています。 |
受験条件
全級ありません。
合格率
公表されてません。
1年当たりの試験実施回数
一年当たりの正確な試験実施回数は
2021年6月30日現在、今年度の予定は以下のとおりです。
1月、第21回カラーデザイン検定1級、試験開催。翌2月、第21回カラーデザイン検定1級、合否発表。
3月、カラーデザイン検定2級のインターネット試験を開始。 3級の試験開催日程は未定です。 このことから、各級年一回ずつであると推測されます。 |
試験科目
- 3級 インターネット試験 理論:60分
- 2級 インターネット試験 理論:70分
- 1級のみインターネット試験の概要が未確定です。
また、実技が加わります。 - 1級 理論:60分 実技:120分
採点方式と合格基準
- 3級 選択方式、50問 正答率70%以上で合格
- 2級 選択方式、50問 正答率70%以上で合格35問以上正解しましょう。
- 1級 理論:マークシート方式 実技:記述式記述式があります。要注意です。
取得に必要な勉強などの費用
公式教材が公式サイトで無料ダウンロードできます。
かつて階級別、表現編、感性編、過去問、重要用語集など、多岐にわたるアプローチで販売されていたそうですが、今では改訂され、無料ダウンロードできるようになったと推測されます。 |
受験料
(3級)
個人申込 4,800円(税込)
団体申込 4,000円(税込)
(2級)
個人申込 5,500円(税込)
団体申込 4,800円(税込)
(1級)
一般受験 14,000円(税込)
団体受験 10,000円(税込)
受験申込方法
1級のインターネット試験申込受付は今年中に開始されるもようです。
クレジットカード、コンビニ決済可です。詳しくは公式サイトを一読ください。
まとめ
カラーデザイン検定のように、概念的、体系的、網羅的、かつ、希望する、携わる業種、職種、仕事内容とは一見、かけ離れているとまではいかなくとも、関連性が見出しづらい知識は、クライアントから課せられる厳しい制限、制約の真っ只中であっても、思わぬ手がかりとなるかもしれません。
概念的、体系的、網羅的な知識をたくさん蓄えておきましょう。
デザインの世界には正解がありません。あえて独創性を出すために、基礎知識、セオリーを知ったうえで破るのと、知らないで破ってしまうのとでは違います。
色味を選定しようとしている皆さんもカラーデザイン検定取得を目指してみてはいかがでしょうか。
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カラーコーディネーター検定について
黄色い物は視認性があります。黒い背景に黄色い物は目立ち、夜道でも目立ちます。
このように、目を引く色合いを誘目性、目立つ色合いを視認性といいます。