ネイル関係の資格として、日本ネイリスト検定試験センターが認定する「ネイリスト技能検定」やNPO法人日本ネイリスト協会が認定する「ジェルネイル検定」が挙げられます。
今回はネイルサロンの運営に関係の深い「ネイルサロン衛生管理士」という資格を見ていきます。
前者の2種の資格とどう違うのでしょうね。
Contents
適用する仕事
ネイルサロン衛生管理士という資格は、その名が示す通りネイルサロンを経営していくうえで活きます。
お客様にネイルを施術するうえで安全に楽しんでもらうために、お客様の健康面への配慮とサロンの衛生管理が重要視されてこの資格が誕生しました。
例えば、ネイルサロンで施術していって爪にかぶれやカビが生えるといった健康被害が発生したら、ネイルやネイルサロンに対して不快な思いをするし、社会的にも大問題になりますよね。
こうした背景からネイルサロンにおいて、衛生管理の専門知識を持った者が必要になりました。
2010年9月、ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針が掲げられました。
①施設設備
- 施術は隔壁などにより外部と完全に区分されていること
- ネズミや害虫の侵入を防ぐ構造の施設であること
- 施術スペースと待合室を設けていること
- 従業員の休憩と更衣室の広さは従業員数に合わせた広さにすること
- 床や壁が掃除しやすい材質であること
- 従業員の手洗い場があること
- 作業場内の採光、照明、換気が十分行える構造設備であること
- ゴミ箱に蓋が付いていること
- 皮膚に触れる器具を片付けるケースがあること
- 器具やタオルの量が十分あること
②管理
- 1日1回以上清掃すること
- 排水溝の清掃も行うこと
- 作業スペースに不必要に物を置かないこと
- 器具を定期点検すること
- 常に85μW/cm²以上の紫外線照射になるように紫外線消毒器の清掃や交換を行うこと
- 掃除道具は決まった場所に片付けること
③衛生
- 従業員が感染症に罹っていないこと
- 施術場所にはお客様と作業するネイリスト以外はいないようにすること
- 施術中は温度や湿度、換気をしっかり管理すること
- 汚れたままの制服を着ないこと
- 蒸しタオルは消毒済みのものを使用すること
- 消毒薬などの傷薬を取り出しやすい場所に準備しておくこと
- 肌に触れる器具はお客様1人ごとに消毒すること
- 血液の付着しているもの(その可能性があるもの)は分けて消毒すること
④消毒
- 消毒前に家庭用洗剤で洗って、拭き取ること
- 消毒は煮沸、エタノール、次亜塩素酸ナトリウム、紫外線、蒸し器、逆性石ケン液、グルコン酸クロルヘキシジン、両性界面活性剤これらの選択肢からそれそれの器具に適した方法で行うこと
- 消毒後は水で洗い流し、しっかり拭いて乾燥すること
- 施術者は手を洗うときは15秒以上水で流しながらしっかり洗うこと
- ゴミに触れたら必ず消毒すること
⑤管理体制
- オーナーは衛生管理のガイドラインを作って従業員全員に周知させること
- お客様には「アレルギーはあるか」「薬の服用をしているか」「敏感肌かどうか」「治療中の感染症や疾病があるか」など施術に影響すると思われる項目を必ず事前にヒアリングすること
- お客様に施術後のお手入れ方法を伝えること
- お客様にネイルをすることで発生し得る健康被害のリスクについて施術前に説明すること。その際できれば書面で了承をもらう
なお、「ネイルサロン衛生管理士」の資格を取得したらこれだけのメリットがあります。
- お客様との事故やトラブルを防止
- お客様との信頼感が深まる
- スタッフが集まりやすい
- サロンの開業準備に必要な設備を選ぶ際に参考になる
- 設備の置き場や予算に工夫ができる
- 就職や転職に有利になる
おおよその年収とキャリアパス
2020年4月の調査によれば、正社員として働くネイリストの平均年収は327万円でした。
給与アップは店長などの役職に就いていたり、資格取得をして技術料をいただくなどの場合に見込まれますが、大幅な昇給はあまり無いと思われます。
キャリアパスとしては、勤務するサロンの中で昇格していくのが1つの道であるといえます。
お店の規模にもよりますが、小さいサロンの場合はマネージャーや店長になることもできます。
スタッフが多い大きいサロンであれば、シフト管理やお客様の予約管理を任されるなどの役割に就くことだってあるでしょう。
そして、やはりキャリアパスといったら自分のサロンを持つことが大きいでしょう。
ビルのテナントや路面店を借りる店舗型ネイルサロン、自宅を改装して始める自宅型ネイルサロン、個人事業主としてサロンと契約して営業する「面貸し契約」といった開業の仕方があります。
しかし、独立・開業した場合はネイリストとしての技量だけでなく、経営者としての感覚も必要になります。
経営が上手く行けば高収入も期待できるでしょう。
認可団体
「ネイルサロン衛生管理士」を主催している団体は「NPO法人 日本ネイリスト協会」というところです。
1985年6月24日設立
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-14-3 赤坂東急ビル5階
TEL:03-3500-1580
FAX:03-3500-1608
受験条件
受講資格は年齢が18歳以上の方。
ネイルサロンでの実務経験は問いません。
合格率
詳細は分かりませんが、合格率は高めです。
試験はきちんと講習を受けていれば、必ず解答できる問題になっています。
この試験は落とすための試験ではなく、理解したか確認するための試験になりますので万が一落ちたとしてもすぐに補修を受けることができます。
1年当たりの試験実施回数
講習は月に5~10回くらいの回数で全国で開かれています。
今ではオンラインで受講できるようになりました。
北海道から始まり、東京、埼玉、千葉といった関東地方、石川や新潟、関西では大阪や京都、西日本では広島や岡山、熊本などで開催されています。
試験科目
以下は講習内容になります。
第1部 理論講習 約180分間
第2部 確認テスト 20分間
第3部 試験問題解説・まとめ・成績発表
採点方式と合格基準
確認テストは択一方式で20問出題されます。
合格基準は100点満点で80点以上となります。
取得に必要な勉強などの費用
受講者には講習当日にテキストが配布されます。
講習の費用は受講料に含まれていますし、確認テストは講習を受けていれば答えられるようになっているため、受講料以外の費用はないと思われます。
受講料
10,560円(税込)
受験申込方法
今ではオンラインで講習会を受講できるようになりました。
「ネイルサロン衛生管理士」の公式サイトを検索していただき、「衛生管理JNA認定校セミナー」の欄をクリックしましょう。
その中に詳しい講習会の日程が掲載されていますので、そこから選んで申し込んでください。
まとめ
今回は「ネイルサロン衛生管理士」という資格についてお伝えしました。
冒頭でも挙げた「ネイリスト技能検定」や「ジェルネイル検定」に比べてネイルサロンの経営側に重きを置いた資格になります。
この資格を持っておくとお客様からの信頼が厚くなるし、サロンを経営していくうえでのノウハウやコストが分かるようになります。
お客様の肌に触れるわけですから、衛生面でもきちんとしなくてはいけませんね。
そうしたしっかりしたお店を構えることでお店も繁盛したり、長続きするでしょう。
ネイルにご興味のある方、また今ネイルサロンに勤めている方は自身のキャリアのためにも、お客様へのサービスのためにもこの「ネイルサロン衛生管理士」を考えてみてはいかがでしょうか。
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