外国人雇用管理士とは、企業が雇用する外国人労働者に必要な在留資格や特定活動などについて正しく理解し、活用していくための知識を持った人に与えられる資格のことです。
人材確保が困難となっている日本国内において、優秀な外国人を採用し、自社の外国人就労者を確保していくことが重要になっていますが、外国人就労者の採用ノウハウを持っている企業はまだまだ少ないのが現状です。
そこで外国人雇用の管理をする人材を育成するためにこの検定が作られました。
まだ2020年に誕生したばかりの新しい資格です。
そんな令和にできたばかりのホヤホヤの外国人雇用管理士を今回見ていきます。
Contents
適用する仕事
この資格だけでの就職は難しいですが、外国籍就労者雇用を行う企業の人事・総務担当者・経営者、送出機関、管理団体、登録支援機関の担当者、外国籍就労者を扱う人材紹介や人材派遣企業の方々にこの資格は適しています。
外国人を雇用している企業の人事部や総務部に転職や異動をしたいと考えている方にはアピールポイントとなるでしょう。
その他行政書士や弁護士、社会保険労務士の資格を持っている方にも使えます。
仕事内容としては、外国人募集のための募集媒体選別、採用計画、受入体制の構築、就労ビザ取得などの書類作成、外国人社員のキャリアパス作り、マニュアル作成などといった人事・総務関係全般でしょう。
おおよその年収とキャリアパス
前項目でも述べましたが、この「外国人雇用管理士」の資格だけで就職するのは難しいです。
けれども、それを活かせる職業はあります。
ここでは前項目で挙げた職業名に沿って、年収やキャリアパスを見ていきます。
人事
人事のイメージとしては、社員の採用や教育、昇進や降格の決定、人事異動などが知られていますが、その他にも組織配置の企画、評価制度の企画、育成や能力の開発、制度や環境の整備、労務管理などの仕事があります。
相手が外国人だろうとこの仕事は変わりません。
2021年のデータによると、人事の平均年収は459万円でした。
これは年齢によっても変わります。
年代別 | 平均年収 |
25~29歳 | 392万円 |
30~34歳 | 421万円 |
40~45歳 | 459万円 |
50~54歳 | 486万円 |
人事のキャリアパスですが、一般的に2つのパターンが考えられます。
人事のスペシャリスト
1つは人事の業務経験を積んで人事業務のスペシャリストとして、人事部門を監督する立場へとキャリアアップするパターンです。
人事部門も配属されると簡単な業務から任されていきます。
採用業務だったら新卒からキャリアをスタートさせます。
会社説明会や合同説明会、インターンシップ、SNSの運用、内定者フォローなどの仕事があります。
やがて、経験を重ねると任される業務は増え、採用計画のスケジューリングや求人広告の出稿、中途採用などを行います。
中堅社員になると、管理職や上司のサポートをしながら部下の育成やチームワークの強化などを行なっていきます。
そうやって実績を積み重ねていくと、人事部門のマネージャーや部長へのキャリアアップも可能です。
こうした人事部の業務が細分化されているのは、大企業に多いです。
人事のゼネラリスト
もう1つは人事だけでなく、総務や経理、法務などの幅広い業務を担当し、企業のバックオフィスのゼネラリストとしてキャリアアップするパターンです。
これらは管理部門にあたるので、それら全般の知識やスキルを身に着けていけば、各部門のマネジメントが経験できて管理部門長へキャリアアップすることができるでしょう。
こちらの仕組みは中小企業やベンチャー企業に多いです。
規模が小さいと人事だけでなく、総務や経理、法務など複数の業務を兼任することが多いです。
総務
総務は企業全体や企業そのものに関わるさまざまな業務を担当するお仕事です。
例えば、代表電話やホームページからの問い合わせといったメール対応、社内文書の作成、来客対応などもあります。
人事部や広報部などの部署がない小さめな企業では、総務が担当することが多いです。
外国人の働き手もお世話になる部門でしょう。
そんな総務の仕事の年収は369万円というデータでした。
キャリアパスでは3つの例が挙げられます。
同じ企業内で総務として働き続ける
同じ企業で総務としてずっと長く働き続けるのも立派なキャリアパスです。
総務は覚えることが多いうえ、向き不向きがありますから「ずっと同じ人に働いてもらいたい」と願う企業も多いようです。
そうして年数を重ねていけば、総務課長、総務部長といった管理職に昇進していくことも可能です。
バックオフィスに異動する
総務以外のバックオフィスには経理や人事、労務や財務などがあります。
総務としての経験を活かし、バックオフィスに該当するこれらの職種へ異動するパターンです。
また、総務経験者は配置転換されやすい部門でもあります。
別の企業へ転職
待遇や業務内容に合わせて、別の企業へ転職するキャリアパスもあります。
たとえ同じ職種・ポジションであっても年収や具体的な業務内容までは一緒ではなく、企業によって違います。
今の職場が合わなかったり、総務としての可能性を広げたい場合は転職するのもアリでしょう。
管理団体
これは技能実習生を受け入れ、その活動および受け入れ企業へのサポートなど行う非営利団体のことをいいます。
具体的には企業の依頼を受けて、技能実習生の募集、受入までの手続きや現地での面接、受け入れ後では各企業が適正な技能実習を行なっているかどうか監査や指導をしていきます。
こうしたところに勤める職員の年収ですが
年収例 | |
経験1年 | 年収343万円 |
経験2年 | 年収370万円 |
経験5年 | 年収445万円 |
キャリアパスですが、非営利団体ということなのであまり無いと思います。
登録支援機関
登録支援機関とは、特定所属機関(受け入れ機関)から委託を受け、1号特定技能外国人が「特定技能」の在留資格に基づく活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするためいろいろな支援を行う機関のことです。
一例になりますが、こういったところでの法人営業の年収は300万円台でした。(月収22万~27万)
※キャリアパスは不明
認可団体
外国人雇用管理士という資格を主催している団体は「一般社団法人 東京都外国人就労認定機構(Foreign Workers Management Association of Tokyo)」というところです。
設立年月日:平成29年(2017年)3月1日
東京都目黒区下目黒3丁目10番29号
TEL: 03-6555-4558(代表)
FAX: 03-6740-2235
- 2019年3月 「外国人雇用管理士」商標登録申請
出願日 :平成31(2019)年 3月18日 - 2019年9月 外国人雇用管理士 公式テキスト発売
- 2020年1月 第1回外国人雇用管理士試験 実施
- 2020年4月 第1回外国人雇用管理士登録講習 実施
- 2021年5月 外国人雇用管理士試験を年2回から、年1回へ開催変更
受験条件
受験条件は特にありません。
どなたでも受験できます。
合格率
非公開
1年当たりの試験実施回数
年1回開催(8月)
試験科目
- 外国籍就労者の募集および採用
- 外国籍就労者の労働条件
- 外国籍就労者の安全衛生
- 外国籍就労者の社会保障
- 適切な人事と福利厚生
- 在留資格の種類
- 労働契約の終了
- 外国籍就労者の不法就労
- 異文化理解
採点方式と合格基準
択一試験(50問4肢択一)マークシート方式
合格基準は非公開
取得に必要な勉強などの費用
勉強するにあたって協会から公式テキストが販売されています。
外国人雇用管理士公式テキスト
- 発行元:東京都外国人就労認定機構
- 商品名:外国人雇用管理士公式テキスト
- 価格:¥2,970(税込)
外国籍就労者の雇用手順や社会保険手続きについて、知らない人事担当者や企業のために設けられた資格の書籍です。
試験直前対策講座
また、対策講座も開催しています。
受講方法は収録ビデオを受講生にWEB配信しています。
ご自身のPCやスマートフォンで受講できます。
参加費は12,980円(税込)です。
その講習を受け終わったら、外国人雇用管理士証を交付してくれます。
登録料は39,800円(税込)です。
※外国人雇用管理士 登録講習受講料、外国人雇用管理士証交付手数料の費用一式
受験料
9,900円(税込)
受験申込方法
まず「外国人雇用管理士」の公式サイトに行き、申し込みをします。
試験会場は東京と大阪の2ヶ所があります。
申込が確認されたら、入金します。
- クレジットカード支払い
- コンビニまたはATM支払い
支払いが確認できたら受験番号が知らされます。
まとめ
今回は「外国人雇用管理士」という資格についてお伝えしました。
似たような試験名もありますが、こちらは2020年にできたばかりの資格試験です。
少子高齢化が叫ばれている現在、外国人労働者は貴重な存在になっています。
ですが、外国語を話せる従業員がいなかったり、外国人を雇用するのは不安と思っている企業も少なくありません。
この資格を勉強すれば外国人の雇用のイロハを学ぶことができ、外国人従業員との寄り添い方も理解できます。
外国人労働者を採用する総務や人事の方などはこちらの勉強をしても良いと思います。
試験を受けるだけでなく、登録作業もあって面倒とも思うかもしれませんが、令和の世はもっとグローバルな視点で動くことでしょう。
外国人労働者を採用する企業の方は、ぜひこの資格を受けてみてくださいね。
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