運行管理者とは、自動車運送事業における安全輸送の責任者として自動車運送業者から選ばれた人のことです。
運管と略されることもあります。
前提として、運行管理者試験に合格していなければなりません。
その運行管理者の資格について記させて頂きました。
Contents
適用する仕事
トラック運送事業では、管理しているトラックの台数に応じて運行管理者を選任しなくてはいけません。
必要な運行管理者の人数は、トラックが1台から29台までは1人、それ以上となると30台ごとに1人ずつ必要です。
運行管理者の業務内容です。
車両管理
事業所が扱っているトラックの点検をします。
もちろん、そのトラックで交通がされているわけですから、問題がある状態で運送されていると事故になってしまうかもしれません。
取引先にも迷惑がかかあってしまいますし、周りの人やドライバーも危険になります。
そうした危険がないように、運行管理者はトラックの状態を常に把握しなければなりません。
さらに、トラックの台数が変わらないことも定期的にチェックしなければなりません。
車両点検の作業は、運行管理者以外の担当者に任せる場合が多いです。
ただ、点検が正しく行われて、どんな結果になったのかは常に運行管理者に報告されます。
ドライバーが車両に異変があると思ったら、運行管理者に伝えるのが一般的です。
その際は、運行管理者はすぐにスタッフへ連絡して、異変の原因を調査し、原因がわかったら対処します。
運航スケジュールに支障がないように調整できるかは、運行管理者の手際次第です。
スケジュール管理
納期と運転手の能力を考えて、業務をしっかりこなせるようにスケジュールを作成します。
このとき、4時間以上の連続走行は法律で禁止されていることに注意しなければなりません。
ドライバーの休憩時間まで考えて、計画を立てる必要があります。
よくとられている方法が4時間運航して、30分以上の休みを取らせるというものです。
ドライバーの健康状態の把握
点呼などを行って、タクシーやバスのドライバーの体調管理が大切です。
ドライバー自身が健康管理をすることも大事ですが、営業所や会社側でもドライバーの体調管理をする必要があります。
ドライバーの体調管理も、運行管理者の仕事です。
健康だけでなく、アルコールが残っていないかなども点呼で確認が必要です。
さらに、持病の状態などの確認も運行管理者の仕事内容です。
安全な走行を維持するための指示
その日の状況に合わせて、運転手に運転指示などを行うのも運行管理者の仕事内容です。
道路の状況はその日によって変わります。
事故や工事、イベントなどの影響でいつも通りに運行できない道路もあったりします。
運行管理者はスムーズな運行のために情報をドライバーに伝えたり、安全を保つための運転指示を出します。
運転手の勤務時間の管理
運転手の勤務時間や勤務状況などの管理も、運行管理者の仕事です。
運転手は、睡眠や休憩が重要な仕事と言われます。
睡眠の時間や健康状態は運転に影響が出ることが多く、事故の原因にもなります。
運行管理者は、運転手が安全に運転できるように労働時間や休憩の有無なども把握して管理する必要があります。
ドライバーへの指導監督
ドライバーへの指導なども運行管理者の仕事です。
運転技術以外のところで、ドライバーを育成していく必要があり、安全教育やマナーなどの指導をすることもあります。
ドライバーを指導や教育した場合、その内容の記録も仕事に含まれます。
国への専業用自動車の自己報告
業務に使用している専業用自動車の管理も、しっかりとしなければなりません。
国に対して専業用自動車の自己報告を行ったり、業務に使用する自動車の状態や台数などを把握することも運行管理者の仕事とされています。
おおよその年収とキャリアパス
中小企業で正社員の運行管理者の年収は、300万円から400万円ほどの場合が見受けられます。
大手企業になると600万円から800万円ほどに増えることも珍しくないようです。
運送会社は、事業用の自動車の台数に応じて運行管理者が必要です。
台数が多い会社ほど、運行管理者の資格を有している人が必要になるので求人されることと思います。
認可団体
認定団体は国土交通省です。国家資格になります。
受験条件
事業用自動車の運行の管理に関して「1年以上の実務経験」が必要です。事業の種別は問われません。
また、国土交通大臣の認定する講習機関が行う基礎講習を受けることで「1年以上の実務経験」に代えることができます。
講習機関は、主に指定自動車教習所、大型自動車メーカーの地域ディーラー、運送会社などです。
基礎講習(貨物)の場合は、運行管理者試験(貨物)の受験資格を得ることができます。
また、基礎講習(旅客)の場合は運行管理者試験(旅客)の受験資格を得ることができます。
運行管理者資格者証を取得するためには、以下のどちらかが必要です。
運行委管理者証の種類には、一般乗合旅客、一般貸切旅客、一般乗用旅客、特定旅客、貨物があります。
運行の管理に関する講習として、自動車事故対策機構が行う基礎講習及び一般講習が認定されており、5回以上の講習のうち、少なくとも1回は基礎講習を受けていなければなりません。
合格率
近年の合格率は以下の通りです。
令和2年度 第2回:43.9%
令和2年度 第1回:30.7%
令和元年度 第2回:中止
令和元年度 第1回:31.7%
1年当たりの試験実施回数
年に2回開催されています。3月と8月です。
試験科目
貨物試験と旅客試験があります。それぞれの科目は以下の通りです。
貨物試験
- 貨物自動車運送事業法 問題数8問
- 道路運送車両法 問題数4問
- 道路交通法 問題数5問
- 労働基準法 問題数6問
- その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力 問題数7問
計30問
旅客試験
- 道路運送法 問題数8問
- 道路運送車両法 問題数4問
- 道路交通法 問題数5問
- 労働基準法 問題数6問
- その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力 問題数7問
計30問
採点方式と合格基準
2020年度の第2回試験からCBT方式による試験となっています。
CBT方式とは、問題用紙やマークシートなどの紙は使わずにパソコンの画面に表示される問題に対して、マウス等を用いて回答する試験です。
合格するには満点の6割以上の得点が必要です。
30問中の18問以上の正解です。
また、出題分野ごとに正解が1問以上なければなりません。
5[実務上の知識及び能力]の分野のみ2問以上の正解が必要です。
取得に必要な勉強などの費用
この資格試験の勉強で効果があるのが、過去問を解いていくことです。
新しい試験問題でも、過去の問題の言い回しや視点を変えただけの問題がかなり出題されます。
過去問をやるだけで、問題の形式に慣れて点数を測るだけでなく、得点に繋がる勉強になる部分が強いです。
法律などは改正される可能性があるので、古いテキストでは現在の法律とは違っていたりします。
最新のテキストを使うのが良いです。
過去問は、Web上のものを無料で見ることができます。
貨物試験も旅客試験も筆記試験は過去2回、CBT(コンピュータを使った試験方式のこと)のものは1回分見ることができます。
また、テキストを購入するのも良いです。
出版社名:公論出版
商品名:運行管理者試験 問題と解説 貨物編 令和4年3月受験版
価格:¥2,600(税込)
210問の過去問題(令和3年3月実施~平成29年3月実施)に加え、+α(編集部が過去出題傾向を分析した問題)をジャンル別に分類して収録しています。
重要部分がひと目でわかり、効率的に学習できるような構成になっています。
受験料
受験手数料:6,000円(非課税)
システム利用料:660円(税込)
採点結果通知手数料:220円(税込)
採点結果通知手数料は、希望者のみです。
支払方法は、次から選べます。
受験申込方法
受験時には、顔写真付き身分証明書と受験確認書が必要です。
身分証明書は有効な期限内のものでなくてはいけないので、ご注意ください。
身分証明書を忘れた場合は受験ができないので、お気を付けください。
身分証明書として使えるものは、次のようなものです。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- パスポート
- 住民基本台帳カード(顔写真付き)
- 身体障害者手帳(顔写真付き)
- 在留カード
- クレジットカード(顔写真付き)
- 社員証(顔写真付き)
- 学生証(顔写真付き)
顔写真付きの身分証明書を所持していない場合は、事前に試験事務センター電子申請係に相談しておく必要があります。
受験確認書は、CBT試験会場の予約完了後にメールで送信されてきます。
印刷して持参するか、試験当日スマホなどで確認できるようにしておく必要があります。
まとめ
以上、運行管理者という資格と、その業務についてでした。
トラック運送事業では、管理しているトラックの台数に応じて運行管理者がいなければなりません。
仕事の内容には、車両の管理や、運転手のスケジュール管理、運転手の健康状態の把握、道路状況の把握、運転手の勤務時間管理、運転手への指導、国への報告などがあります。
運送会社では、事業用の自動車の台数に応じて運行管理者が必要になります。
1年以上の実務経験がないと受けられない資格ですが、講習機関で講習を受けることで1年以上の実務経験に代えることもできます。
「1年以上の実務経験」の代わりに基礎講習を受ける方は、運行管理者試験の前に受講機会があるので受け逃さないように注意が必要です。
イ)事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務について一定の実務の経験その他の要件を備えること
取得しようとする運行管理者資格者証の種類ごとに、それぞれに応じた種別の自動車運送事業の事業用自動車の運行の管理に関して5年以上の実務経験を有し、その間に運行の管理に関する講習を5回以上受講していることなどの要件があります。