アマチュア無線技士について

アマチュア無線技士について

アマチュア無線技士とは、個人の趣味として無線操作を行える国家資格です。
最近はドローンなどのアマチュア無線機器や無線局(送信機や受信機、またはその両者)が簡単に安く入手できるので使用する人も増えています。
しかし、周波数によってはこの資格を取らなければ使用が禁じられている面もあります。
今回はこの「アマチュア無線技士」という資格をたっぷりご紹介します。

適用する仕事

もし「アマチュア無線技士」を取得したとして、適用する仕事内容はアマチュア無線局の無線設備の開局手続設営、操作、メンテナンスなどに役立ちます。

アマチュア無線技士は国家資格ではありますが、あくまで趣味としての資格なので、就職に有利になるわけではありません。

しかし、将来無線設備系の仕事に就きたい(例えば総合無線通信士などを視野に)という方は、入門編として勉強しておくと役立つ場合もあります。

おおよその年収とキャリアパス

繰り返しますが「アマチュア無線技士」1つ資格を持っていたとからといって、直接年収に結びつくわけではありません。

あり得るだろう年収のメリットの事例

しかし、例えば求人で「機構設計エンジニア」を募集していたとしましょう。
ここでアマチュア無線などの資格取得者には、2,000円~10,000円の加給をもらえると優遇するところもあるでしょう。
ちなみに、そこの「機械設計エンジニア」の求人は年収550万円~700万円を打ち出していました。

考えられるだろうキャリアパス

アマチュア無線技士は「趣味の部類の資格」なので、就職に有利になるわけではありません。
しかし、将来「総合無線通信士」や「陸上無線技術士」「航空無線通信士」といった国家資格を得るのに自信をつける入り口として、取得する意義はあるだろうと思います。

例を挙げると

例えば、陸上特殊無線技士(陸上の無線通信を行う際に必要な国家資格)が必要な職場にいたとしましょう。

その陸相特殊無線技士には第一級・第二級・第三級がありますが、それらの資格と合わせて取るのを推奨しているのが「第4級アマチュア無線技士」です。

陸上特殊無線技士、第4級アマチュア無線技士どちらもドローンを扱う資格ですが、ドローンには「FPV」という機能がついたものがあります。
これは「First Person View」の略で一人称視点を意味します。

ドローンに搭載したカメラの映像を手元で見ながら操縦できるという機能です。
空撮やより高度な操縦を楽しむには必須の機能なのです。

原っぱでドローンを操縦している操作のアップつまり、この「FPV」機能を使うには、カメラ映像を電波で飛ばす必要があるため、そのためにも第4級アマチュア無線技士の資格が必要になるというわけです。

「遠くまでドローンを飛ばして本格的な操縦を楽しみたい」「将来的にドローンを生業としたい」と思うなら、今いった陸上特殊無線技士と一緒に「アマチュア無線技士」の資格が役立つそうですよ。

何度もお伝えしますが「アマチュア無線技士」の資格はあくまでもアマチュア業務でしか使えませんが、その技術は使えます。

仕事で使う簡易業務無線機は、自分で開局申請、落成検査、無線局開局が出来るそうです。
その無線技術で修理や販売も出来るそうですし、アマチュア無線のアンテナ工事、簡易業務無線のアンテナ工事、無線機の調整、業務用アンプの修理まで応用が利きました。

電子工学やパソコン通信などにはアマチュア無線の資格があると、そこで得た無線技術を生かせるだろうと思います。

認可団体

アマチュア無線技士でお世話になる「日本無線協会」のロゴマークアマチュア無線技士を主催している認可団体は「日本無線協会」という団体です。
これは昭和56年(1981年)に財団法人無線従事者国家試験センターとして郵政大臣から設立が許可されました。

そして、平成2年(1990年)に名称を「財団法人日本無線協会」に変更しました。
それからアマチュア無線技士のさまざまな指定試験機関として指定されていき、平成25年(2013年)「公益財団法人日本無線協会」として移行認定を受け設立登記されたようです。

日本無線協会の目的
こちらの協会では、電波法の規定に基づく無線従事者国家試験事務ならびに無線従事者の講習業務及び養成課程業務を行うこと等によって、我が国の電波利用の健全な発展に寄与することを目的としています。
日本無線協会の業務
こちらの協会では
無線従事者(無線設備の操作またはその監督を行う者であって、総務大臣の免許を受けた者)の資格は、無線従事者国家試験に合格することによって取得することができます。
協会は総務大臣から指定試験機関に指定され、無線従事者のすべての資格(23資格)についての国家試験を実施しているそうです。

受験条件

受験資格は制限ありません。
年齢、学歴などに制限はなく誰でも受験できます。

合格率

空に向かってドローンを飛ばそうとしている手元アマチュア無線技士というのは第一級~第四級まであります。

それぞれの級の程度

第四級アマチュア無線技士
アマチュア局の無線設備でモールス符号による通信を除く、空中線電力10W以下であって周波数が21MHzから30MHzまで、または8MHz以下の無線設備、空中線電力20W以下であって周波数が30MHzを超える無線設備の操作が可能
第三級アマチュア無線技士
アマチュア局の無線設備(空中線電力50W以下であって、周波数が18MHz以上のもの、または8MHz以下のもの)の操作が可能
第二級アマチュア無線技士
アマチュア局の無線設備(空中線電力200W以下のもの)の操作が可能
第一級アマチュア無線技士
アマチュア局のすべての無線設備の操作が可能

それぞれの合格率

第四級
実施年 受験者数 合格者数 合格率
2019年 2,814 2,214  78.7%
2018年 2,599 2,047 78.8%
2017年 2,827  2,115  74.8%
第三級
実施年 受験者数 合格者数 合格率
2019年 1,996 1,600 80.2%
2018年 1,950  1,536 78.8%
2017年 2,196 1,777 80.9%
第二級
実施年 受験者数 合格者数 合格率
2019年 734  351 47%
2018年 824 395 47.9%
2017年 854  389 45.6%
第一級
実施年 受験者数 合格者数 合格率
2019年 1,481 523 35.3%
2018年 1,585  670 42.3%
2017年 1,747  801 45.9%

1年当たりの試験実施回数

第一級・第二級は年3回実施されます。
試験地は、東京都、札幌市、仙台市、長野市、金沢市、名古屋市、大阪市、広島市、松山市、熊本市、那覇市

第三級・第四級は毎月実施されているようです。(場所によります)

試験科目

アマチュア無線技士のどの級でも「無線工学」と「法規」が試験科目です。

採点方式と合格基準

試験は多肢選択方式です。

合格基準
第四級
  • 無線工学:60点満点中、40点以上
  • 法規:60点満点中、40点以上
第三級
  • 無線工学:70点満点中、45点以上
  • 法規:80点満点中、55点以上
第二級
  • 無線工学:87点以上/125点(70%)
  • 法規:105点以上/150点(70%)
第一級
  • 無線工学:105点以上/150点(70%)
  • 法規:105点以上/150点(70%)

取得に必要な勉強などの費用

勉強方法としては、良いテキストが販売されているのでそれらを購入して参考にしてみてください。
勉強を始めてみたいという方に、いくつかテキストをご紹介します。

第4級ハム国試 要点マスター 2024

第4級ハム国試 要点マスター 2024
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  • 出版社名:CQ出版
  • 商品名:第4級ハム国試 要点マスター 2024
  • 価格:¥1,430(税込)

第4級アマチュア無線技士国家試験の受験対策テキストです。
2023年までに出題された試験問題を網羅した問題集と各問題の要点を、分かりやすく解説した参考書です。
二部構成になっています。

問題の要点や答えを導き出すためのキーワードなど、短時間でポイントがつかめるように工夫されているテキストです。

初級アマチュア無線予想問題集 2024年版

初級アマチュア無線予想問題集 2024年版
created by Rinker
  • 出版社名:誠文堂新光社
  • 商品名:初級アマチュア無線予想問題集 2024年版
  • 価格:¥1,540(税込)

第4級アマチュア無線国家試験の問題集で、過去の出題を徹底分析し、1週間程度の勉強で合格に導く本です。
例年、購入者からは「一夜漬けで合格した」という声が数多く寄せられるほど、精度の高い内容となっています。

受験料

  • 第四級:5,100円
  • 第三級:5,400円
  • 第二級:7,800円
  • 第一級:9,600円

納付方法はクレジット決済、コンビニ決済、ペイジーのいずれかです。

受験申込方法

青い画面が映っているノートパソコン受験の申請はインターネットで行います。
まず、「日本無線協会」のホームページを検索し、「無線従事者国家試験の電子申請」にアクセスします。

受験条件や受験希望地を選択して、住所、氏名、メールアドレスなどの必要事項を入力します。

そして、顔写真を登録します。
(縦3.0cm・横2.4cmのもの、申請の日から撮影後4ヶ月以内のもの)

※3級や4級はCBT方式で試験が行われますので、試験日の3日前までに手続きしましょう。

まとめ

これまでお伝えしましたように「アマチュア無線技士」は、あくまで個人の趣味に役立つドローンなどの無線操縦関係の資格です。
教養として取得するのは良いですが、それだけでは就職や将来には直結しないものです。

ですが、「総合無線通信士」や「陸上無線技術士」「航空無線通信士」といった国家資格を得るのに力をつけるための資格と思っていると、その資格が生かされるかもしれません。
受験資格はなく、誰でも挑戦できますからテキストをよく読み解き、勉強してみてはいかがですか。
機械が大好きな方には向いている資格かもしれませんよ。