ITソフトウェア翻訳士について

ITソフトウェア翻訳士について

「ITソフトウェア翻訳士」とは、ITソフトウェア翻訳士認定試験を受けて合格することにより、資格が得られます。
ITソフトウェアのマニュアルやドキュメントなどを日本語に翻訳する民間資格です。
では、具体的にどう役立つのか詳細を見ていきましょう。

適用する仕事

翻訳士と聞くと、英文や外国語の文を翻訳する仕事を思い浮かべるかもしれません。
そういった分野は「翻訳技能認定試験」で得られるかもしれません。

この「翻訳技能認定試験」の場合は出題される分野が幅広いのに対して、ITソフトウェア翻訳士の場合は出題される分野がITソフトウェアやOSなどのIT分野に限定されます。

ITソフト分野の翻訳力を実務レベルで判定しますので、1級取得合格者は「ITソフトウェア翻訳士」として認定され、共同主催の翻訳会社に登録できます。

IT分野の翻訳家ってところでしょうか。
希望により仕事の打診がくることがあります。

おおよその年収とキャリアパス

では、ITソフトウェア翻訳士になった場合はどのくらい将来性が開けるのでしょうか。

ITソフトウェア翻訳士としてのおおよその年収は?

翻訳家の年収は翻訳の種類や雇用形態によっても変わりますが、全体の平均年収としては400万~600万円程度です。

翻訳家は過去の実績やスキル、専門知識の有無、対応出来る仕事量の違いなどによって収入に大きく差が出ます

未経験で仕事が少ない方、副業で翻訳を行なっている方だと年収100万円くらいにしかならないかもしれませんが、翻訳を本業としているベテランの方だと年収が数千万円を超えることもあるそうです。

ここで、翻訳にも種類があることお伝えしておきましょう。
扱う物によって収入に差が出るそうです。

実務翻訳

ITソフトウェア翻訳士 英文実務翻訳とは一般企業や官公庁から依頼されるビジネス書籍や学術書、マニュアルなどのビジネスに関する文書での翻訳のことです。

ITソフトウェア翻訳士はおそらくこの部類に入るかと思われます。

実務翻訳ではITソフトウェア翻訳士の分野の他にも、医療や法律、金融といった間違いの許されない分野も扱うことがあるため、翻訳のスキルはもちろんのこと、扱う文章に関する専門的な知識も必要になります。

ITソフトウェア翻訳士も含めて、おそらく年収は300万~500万円程度だと思われます。

文芸翻訳

これはイメージしやすいと思われますが、外国語で書かれた小説や絵本、歌詞などの翻訳のことです。
この部類の翻訳は平均が480万~800万円の年収になるかと思われます。

文芸翻訳には翻訳した原稿を、出版社が買い取る「買い取り方式」と印税を受け取る「印税方式」があります。

買い取り方式
発行部数に関係なく、翻訳家へ報酬が支払われる方式です。
出版物が人気が出ても報酬が追加されることはありません。
印税方式
こちらの契約の場合、翻訳した書籍の売れ行きが良いほど受け取る報酬も高くなります。
ベストセラー作品になると、数千万円~数億円の収入を手にする場合も出てきます。しかし、作品の世界観をきちんと理解し、なおかつ日本語の表現力も豊かでないと務まらないかと思われる重大な翻訳なのです。

映像翻訳

ITソフトウェア翻訳士 映画館こちらは海外ドラマや映画の翻訳のことです。
平均年収は480万~600万円くらいです。

映像翻訳はフリーランスの方がほとんどで、これも経験や翻訳スピードなどのスキルによって収入に差が出ます。

映像翻訳の案件は10分で8,000円~数万円程度が相場です。
この分野の翻訳では吹き替えと字幕がありますが、演者の口の動きに合わせて適切なワードを当て込む吹き替えの方が単価が高いです。

しかし、字幕も観客の読むスピードに合わせてつけなければならないので、決められた文字数の中で翻訳しなくてはならないという苦労がありますね。

ITソフトウェア翻訳士のキャリアパスとは

先ほども申しましたように、ITソフトウェア翻訳士認定試験に合格すれば「ITソフトウェア翻訳士」として認定されて、共同主催の翻訳会社に登録することができます。

翻訳家の働き方は大きく分けて「フリーランス」と「インハウス」の2つがあります。

フリーランス
  • 個人事業主として仕事を請け負い、一般的には在宅で仕事を行う
  • プライベートを重視したい方向け
インハウス
  • 会社員として決められた時間内で翻訳を行う働き方
  • 安定した働き方だが、本業以外の仕事も任されることもある

何も新卒からいきなり翻訳者を目指す必要はありません。
例えばITソフトウェア翻訳士の場合は、IT業界で働いてきてそれからITソフトウェア翻訳士に転身したって良いはずです。

翻訳という仕事は他の仕事で学んだことをそのまま生かせる職業なのです。

認可団体

ITソフトウェア翻訳士 ロゴITソフトウェア翻訳士認定試験を主催している団体は「十印」という株式会社です。
創業は1963年3月からです。

業務内容は翻訳・ローカリゼーション、機械翻訳サービスです。

海外ネットワークとして
  • 米国マウンテンビュー
  • 米国ポートランド
  • 中国 香港
  • TOIN Shanghai Corporation
  • 韓国 ソウル
  • 台湾 台北
  • ブラジル ポルト・アレグレ
  • オランダ アムステルダム

この会社の強みは翻訳者の質と人数です。
さまざまな業界と分野で専門知識のある質の高い翻訳者が対応します。
医療・法律・IRなどの専門分野にも対応できるそうです。

受験条件

受験資格は特にありません
誰でも受験が出来ます。

合格率

公表されていない

1年当たりの試験実施回数

毎年3月から4月にかけて実施されているそうです。

試験科目

ITソフトウェア翻訳士認定試験は5級~1級まであります。

  1. 英語構文解析力
  2. 日本語文章力
  3. 技術内容理解力

試験は1次試験と2次試験で実施されます。
1次試験で、現在自分が持っているITソフトウェア分野での実務翻訳能力が判定されます。
1次試験はEメールを使ったオンライン上での筆記試験でも実施されますので、どこででも受験が可能です。

ただし2次試験は指定された会場で、それも面接によって判定されます。
1次試験に合格すれば、次はペーパーテストでは判定できない、翻訳者としての能力が再度認定される2次試験になります。

採点方式と合格基準

試験の満点はもちろん100点です。

  • 1級 ソフトウェア翻訳者として通用するレベル
  • 2級 ITソフトウェア翻訳者としてサポートを受けつつ、翻訳することができるレベル
  • 3級 もう少しITソフトウェアの翻訳経験を積む必要があるレベル
  • 4級 もう少しITソフトウェアを含む技術翻訳全般の勉強が必要となるレベル
  • 5級 もう少しITソフトウェアを含む技術翻訳全般と英語力を高める必要があるレベル

取得に必要な勉強などの費用

XMLマスター試験 勉強ITソフトウェア翻訳士は専門IT関連というだけのことなので、その他の翻訳者と変わりないかと思われます。
そうなると、翻訳者になるための英語の勉強が必要になります。

独学の場合

ここでは翻訳者になるための英語の勉強についてお伝えしてきています。
となると、逆に必要のないことはしなくて結構です。

  • リスニング
  • スピーキング
  • TOEIC

これら以外の英語の勉強法をお伝えします。

単語を覚える

翻訳の仕事はパソコンを使って行うため、もし知らない単語が出てきたらすぐに調べることが出来ます。
しかし、翻訳として携わるのですから、中学英語に出てくる単語は必須です。
『中学英単語ターゲット1800』ぐらいに載っている単語のレベルで十分だと思われます。

文法を勉強する

翻訳は読み書きの世界ですから「文法がガッチリ分かる」必要があります。
趣味ではなく、プロ翻訳者として仕事をするわけですから、原文を理解するためにも文法を身に付けましょう。

身に付けておくべき文法のレベルは、高校の授業で習う文法で十分ですよ。
『ロイヤル英文法』がおすすめです。

基礎的な読解力を鍛える

これには英字新聞を読むのが効果的です。
きついかもしれませんが「読めないから読まない」のではなく「読めないから読めるようにする」という考え方で挑戦してみてください。

おすすめは『The Japan Times』など日本で発行されている英字新聞が良いでしょう。
この新聞の特徴は学校で習う文法通りに書かれているので、文法と単語の意味を知っていれば読めます。

ITソフトウェア翻訳士を目指す方であれば、その専門分野にしたい話題に関する記事を読んで英語力を身に付けましょう。ITソフトウェア翻訳士 英字新聞

専門分野の英文を読めるようにする

ITソフトウェア翻訳士ですから、専門分野を持つことで安定的に仕事を受注出来る上に、他の翻訳の方より高い料金で仕事を引き受けるようになることでしょう。

ITソフトウェア翻訳士ですから、その分野でしか使われない専門用語や表現がたくさん出てきます。
そうした表現を覚えるためには、その分野の英文をたくさん読みましょう。
ITソフトウェア翻訳士でしたら、IT関連の海外サイトもです。

翻訳をスクールで学ぶ

翻訳者になるための勉強は独学でも可能ですが、なかなか続かなかったり、訳文が我流になってしまう面もあります。
翻訳のためのスクールはたしかにあります。

そうしたところでは実践的な翻訳の仕方を基本から学ぶことが出来ます。
また、講師や生徒同士で情報交換が出来る上、スクールによってはキャリアサポートが受けられる可能性もあります。

気になる費用の一例
授業料15万~20万(入学金や諸費用は除く)

受験料

5,000円

受験申込方法

ITソフトウェア翻訳士の受験申し込みは「株式会社十印」に聞くのが良いかもしれません。
お電話、またはメールで聞くことが出来ます。FPファイナンシャルプランナー試験 試験

まとめ

ITソフトウェア翻訳士とはITの分野に精通した翻訳家です。
ITソフトウェア翻訳士になるには、ITソフトウェア翻訳士認定試験に合格する必要があります。
それも1級に合格すると共同主催の翻訳会社に登録できます。

これからの時代、ITに関するサイトや出版物をたくさん翻訳する必要性が出てくるかと思われます。
目指したい方は翻訳者としての英語の勉強を始めましょう。

ただこの資格はマイナーなのか、あまり情報量が少ないので受験や詳細は共同主催している翻訳会社に聞いてみてくださいね。