こども環境管理士について

こども環境管理士について

「こども環境管理士」は自然や環境問題の知識を正しく身につけて、乳幼児に自然体験を与えることのできる人材を評価することを目的とする資格です。
乳幼児期に日常的に自然に触れ合うことが、豊かな人間形成に大切であると考えられています。
しかし、幼稚園教諭や保育士などの試験では、自然環境や生物に関する知識はあまり問われません。
こうした状況を受けて、2007年に実施が開始されたものです。

適用する仕事

こども環境管理士は、幼稚園教諭保育士を主な対象としています。
2級は、それ以外の仕事をしている方や学生などの一般の人も受験可能です。
1級は後述の受験条件のところで挙げさせてもらった条件をクリアしている人が受けることができます。

街の発展が進み、子供たちが土や植物に触れる機会は少なくなりました。
そういった環境の中で、子供たちが遊んでみたくなる環境を作ることが「こども環境管理士」の仕事です。
これは保育や幼児教育で活きます。

幼児とは一般的に、乳児期を過ぎた1歳くらいから小学校入学前までの時期を指します。
幼児教育とは、幼稚園や保育所などの教育に加えて、家庭や地域社会における教育など幼児の生活全般における教育が含まれます。
幼児は好奇心が旺盛で脳も柔軟であるため、得意分野を見つけて伸ばすと強みになるでしょう。

虫かごの虫に興味津々の男の子

おおよその年収とキャリアパス

主に幼稚園教諭と保育士を対象にした資格なので、幼稚園教諭の年収を参考にしていただければと思います。

幼稚園教諭の年収

幼稚園教諭の年収ですが、厚生労働省の調査によると

  • 男性で27.3万円、年間ボーナスは75.1万円、年収は402.5万円
  • 女性で平均月収は22.9万円、年間ボーナスが63万円、年収は337.7万円

こういう結果が出ています。

日本国民の所得の中央値は442万円であるため、幼稚園教諭の給与は中央値よりは低めであると云えます。

キャリアパス

キャリアパスとは、社員が職位につくにあたっての経験や順序の事です。
仕事に関係する資格を持っていることで、キャリアアップになる職場も多いはずです。

「こども環境管理士」はキャリアアップに繋がる資格です。
自然が減り、公園も多くはない現代において、この資格は重宝されます。
「こども環境管理士」は子どもたちにとって重要な環境づくりを実践できる保育者であることを示すことができ、園などにこの資格を持っている人が居ることで保護者からの信頼を得られることと思います。

認可団体

公益財団法人 日本生態系協会のロゴマークこども環境管理士は、公益財団法人「日本生態系協会」による認定資格です。

受験条件

こども環境管理士は、1級と2級に分かれています。2級は誰でも受験することができます。
1級を受験するには条件が要ります。1級の受験に必要な条件は以下のとおりです。

下記の①~⑥の条件のうちいずれか1つに該当することが必要です。

該当条件
  1. 幼稚園教諭または保育士の資格を取得後、通算で満3年以上の実務の経験年数を有する
  2. 2級こども環境管理士の資格を取得後、通算で満3年以上の実務の経験年数を有する
  3. 幼稚園の園長または副園長として、通算で満3年以上の実務の経験年数を有する
  4. 保育所の所長または副所長として、通算で満3年以上の実務の経験年数を有する
  5. 認定こども園の園長または副園長として、通算で満3年以上の実務の経験年数を有する
  6. ①~⑤に当てはまらない場合、通算で満5年以上の実務の経験年数を有する

上記の⑥の実務とは、「幼児教育や保育に関わる継続的なもの」であることを前提に以下のものを指します。

  • 幼稚園教諭や保育士としての勤務、活動
  • 幼稚園、保育所、認定こども園の運営、庶務
  • 団体、企業における幼児教育、保育関係の継続的な業務
  • 市民団体における幼児教育、保育関係の継続的な活動
  • 幼稚園教諭、保育士の養成校における継続的な指導、研究
  • 研究機関における幼児教育、保育関係の継続的な指導、研究
  • 研究機関における幼児教育、保育関係の継続的な執務、指導

また、こども環境管理士の受験方法にキャンパス受験というものがあります。
キャンパス受験とは、学校が試験会場になるというシステムです。
会場となる学校の学生や卒業生が通っている、または通われていた学校の校舎で「こども環境管理士」を受験できる制度となります。

このキャンパス受験で受験する場合は割引が適用され、受験手数料は5,000円となります。
さらに、キャンパス受験を実施した場合は、協会から学校に対して受験者数に応じた試験監督料が支払われる制度になっているようです。

合格率

黄色と緑の積み木付きの資格の積み木令和2年度の合格率を掲載させていただくと
令和2年度の合格率は、1級が約70%、2級が約66%でした。

この合格率を高くみられる方・低くみられる方どちらもいらっしゃると思いますが、合格率を見て油断は禁物です。

例を挙げますと、医師の国家試験の合格率は90%を超えていることが多いです。
ですが、医師の国家試験を簡単な試験だと思われる方は居ないでしょう。
勉強が足りないと不合格になると思って、気を引き締めて勉強をするのが良いと思います。

1年当たりの試験実施回数

試験の実施は年に1回です。
ちなみに令和2年のスケジュールはこうでした。

筆記試験実施日

令和2年11月15日

会場
  • 北海道会場
  • 宮城会場
  • 東京会場
  • 愛知会場
  • 大阪会場
  • 福岡会場

口述試験実施日(1級の筆記試験合格者のみ)

令和3年1月16日
会場は東京都内

試験科目

試験科目
  • 筆記試験(筆記試験は択一問題です)
  • 小論文
  • 口述試験(1級の筆記試験合格者のみ)

2級は択一問題で35問出題されます。
ある年度の択一問題のテーマは以下のとおりでした。
「環境問題、自然体験・生活体験を充実させる環境づくり」

その年度の小論文の題材も以下に記します。

問.あなたが保育所や幼稚園などで、子どもたちが日常的に自然と触れ合い、自然を大切にする生活が送れるように今後取り組んでいきたいと考えていることをその理由を含めて具体的に2つ以上書きなさい。(横書き、400字以内)

1級は小論文口述試験です。口述試験は約15分です。
小論文ですが、1級の小論文は800字必要です。つまり、2級試験の小論文の倍の量が必要になります。

採点方式と合格基準

黄色い壁に置かれた赤ペンで書かれたCHECKの紙2級・1級と分けてお伝えします。

採点方式

択一問題は、正誤判定で採点されていると思われます。
小論文や口述試験の採点方式はわかっていません。

合格基準

2級

択一問題で正答率60%以上
かつ、小論文で「可」以上の評価

2級は筆記のみです。
①択一問題:環境問題、自然体験・生活体験を充実させる環境づくり
②小論文:こども環境管理士としての意思や信念、知識について

1級

筆記
①択一問題:環境問題、自然体験・生活体験を充実させる環境づくり
②小論文:こども環境管理士としての意思や信念、知識について

口述(面接形式):こども環境管理士としての意思や信念、知識が適切かどうかをはかる
択一問題両科目とも正答率60%以上。
かつ、小論文で「可」以上の評価。
口述試験では、1級こども環境管理士に求められるレベルで適切、適格、明確に答えらえること。

取得に必要な勉強などの費用

試験合格のために参考になる書籍がございます。

環境を守る最新知識 第2版

環境を守る最新知識 第2版
created by Rinker
  • 出版社名:信山社出版
  • 書籍名:環境を守る最新知識 第2版
  • 価格:¥2,310(税込)

身近な環境保護への取り組みを進めるため、自然生態系の仕組みとその守り方を学ぶテキストです。
また、自然生態系を守る法制度も紹介しています。

野外における危険な生物

野外における危険な生物
created by Rinker
  • 出版社名:平凡社
  • 書籍名:野外における危険な生物
  • 価格:¥2,200(税込)

園庭ビオトープなどの身近な自然にくらす、危険な生きものについてをご紹介しています。
野外教育活動など、自然の中で行う活動に携わる人々に必携の書籍となっています。

通信講座もある

四谷学院には「こども環境管理士」の通信講座があります。
受講料は43,200円(税込)です。
送料は無料です。

受験料

2級の受験料は8000円です。
1級の受験料は13000円になります。

2級はキャンパス受験ができます。
キャンパス受験をする際には、学校からの申請が必要です。
キャンパス受験での受験者には、受験手数料の割引が適用されます。割引後の受験料は5,000円です。

キャンパス受験は、学校に特化した自主運営の筆記試験会場で多くの学校が利用されている制度です。
会場の学校に通う学生は普段通っている校舎で受験ができます。
会場の学校の卒業生も受験することができます。

受験申込方法

受験申込関係書類を期日までに送る必要があります。
筆記試験合格者の再試験(1級のみ)を適用する受験者についても同じです。

2級の場合
  • 受験申込書①(書式1)
  • 受験申込書②(書式2) 以上2点
1級の場合
  • 受験申込書①(書式1)
  • 受験申込書②(書式2)
  • 1級受験者の実務経験申込書(書式3) 以上3点

まとめ

こども環境管理士という資格についてでした。
先述しましたが、この資格は自然や環境問題の知識を正しく身につけて、乳幼児に自然体験を与えることのできる人材を評価することを目的とする資格です。

幼稚園教諭や保育士
を目指される人は、この資格の取得をお考えになっては如何でしょうか。