アカデミー賞11部門を受賞!世界で最も有名なラブ・ストーリー「タイタニック」

アカデミー賞11部門を受賞!世界で最も有名なラブ・ストーリー「タイタニック」

今回ご紹介する映画は「タイタニック」です。

ジェームズ・キャメロン監督・脚本による1997年公開のアメリカ映画。俳優レオナルド・ディカプリオの生涯にわたる代表作であり、世界で最も有名なラブ・ストーリーの1つといえます。

1912年に実際に起きた英国客船タイタニック号沈没事故をもとに、貧しい青年と上流階級の娘の悲劇の恋を描いており、主にSFアクション映画を手掛けてきたキャメロン監督が、一転して挑んだラブロマンス超大作です。

ほぼ実物大のタイタニックを建造したり、実際に沈んでいるタイタニックの撮影のために機材を開発したりと、総製作費2億ドルの名に恥じない堂々たる大作ぶりで、美術やCGをはじめとしてその絵作りの豪華さには圧倒されます。

公開から驚異的なヒットを記録し、翌年のアカデミー賞では作品賞、監督賞、撮影賞、主題歌賞、など11部門において受賞を達成。1997年の作品ながら興行収入は未だに世界歴代3位を誇っています。

20世紀の作品で次に来るのは40位の「ジュラシック・パーク」なので、この記録がいかにすごいかがわかります。

ヒロインのローズが、主人公ジャックに支えられながらタイタニック号の船首で両手を広げているあのポーズはあまりにも有名で「タイタニックポーズ」と呼ばれているようです。マネした人もいるのでは?

それでは、ご紹介していきましょう。

あらすじ(ネタバレあり)

1996年トレジャーハンターのブロック・ラベット一行は、タイタニック号が沈没して84年の歳月がすぎた今、タイタニック号と共に沈んだとされるダイヤモンド「碧石のハート」の捜索のため、海底深く沈んでしまったタイタニック号の調査を行なっていました。

小型潜水艇による探索は難航を極め、何回目かの潜水で出てきた金庫を引き上げるも、そこに碧洋のハートはありません。

しかし、碧用のハートを身につけた女性のヌードデッサンを見つけます。その発見はテレビで大きく報道されました。放送後、ローズ・カルバートという老女から「その絵のモデルは私よ」という連絡が入ります。

ブロックと連絡を取り合ったローズは孫娘ともども調査団の船を訪れ、静かにあの豪華客船の中で起こった知られざる話を語り始めます。

1912年、イギリスのサウザンプトン港から豪華客船タイタニックが処女航海に出発します。

上流階級の娘ローズは、自身の母と婚約者キャルと共にタイタニック号に乗船することになりましたが、どこか浮かない表情です。

経済的に困窮し始めた一族を救うため、何としてでもこの娘の婚約を成功させようとする母の一方的で強制的なやり方に、ローズも我慢の限界が近づいていました。

ジャック

一方、新天地アメリカに夢を抱く画家志望の貧しい青年ジャックは、出港直前のタイタニック号への乗船チケットをポーカーで手に入れ、何とかタイタニック号に乗り込みます。

ジャックは絵描きで、彼の描いた絵がローズの目に止まります。自分が今まで関わる機会のなかったタイプである自由で活力溢れるジャックに、ローズは徐々に惹かれていきます。

そして、ローズはジャックの絵を紹介しようと自身の母親に会わせますが、母親の怒りを買ってしまいます。

母親はジャックのような身分の低い人間が娘の周りをうろついていることが我慢ならなかったのです。しかし、母親がいくら叱責しようとローズとジャックは既に互いに惹かれあっていきます。

ジャックはこっそりと一等客室に忍び込みローズに思いを伝えると、ローズも迷いながらもそれに応えます。

ジャックとローズが2人の時間を幸せに感じていたその時、タイタニック号に激震が走ります。タイタニック号が大な氷山に突撃してしまったのです。

船長の指示で救難信号を出したものの、救助が到着するまでには4時間はかかるとのこと、絶望の空気が漂い出します。そして、船はゆっくりと沈み始めました。

船内はパニックに陥ります。全員が我先にと救命ボートへと乗り込みますが、タイタニック号には乗客全員分の救命ボートが用意されていませんでした。そして、ジャックが船の中に取り残されてしまいます。

ローズは取り残されたジャックを探そうと船に残り逃げ遅れてしまいます。

多くの乗客を残したまま船は大きく傾いた状態で沈み始め、甲板の先端に逃げ延びていたジャックたちは手すりに決死の覚悟でつかまり、重量に耐え切れず沈んでいくタイタニックとともに海中へ落ちていきます。

何とか無事に生き延びた2人でしたが、周囲は深い闇に包まれ救援の姿は見えません。
たまたま一つあった瓦礫の上にジャックはローズを乗せます。その瓦礫はひと1人が乗るので精いっぱいの大きさでした。

自分はそれにつかまり極寒の海中に浸かっていたジャックは、冷たい水に体力を奪われて力尽きてしまいます。

ジャックは死の間際、ローズに「生きろ」と声をかけます。
生きる気力を振り絞ってローズは警笛を鳴らして自分の居場所を知らせ、救援を経て一命をとりとめます。

そして、それ以降ローズは「ローズ・ドーソン」とジャックの姓を名乗り、彼の名前と共に人生を歩んできたことを明かします。

沈没

キャスト

ジャック・ドーソン(レオナルド・ディカプリオ)

絵を描くのが得意でパリで絵を描いていましたが、ポーカーの賭けに勝ちチケットを手に入れてタイタニックに乗船します。

船内で知り合った上流階級の娘ローズと知り合いになります。キャルとの望まない結婚に絶望していたローズを心配し、三等客室のダンスパーティで一緒にダンスを楽しんだりするうちに恋に落ちていきます。

ローズとの関係に怒ったキャルの策略によって、「碧洋のハート」を盗もうとした濡れ衣を着せられて逮捕され、手錠をされた状態でパイプにつながれてしまいます。

タイタニック号が氷山にぶつかり沈みゆくなか、一度は救命ボートに乗ったものの戻ってきたローズとともに船の沈没によって海に投げ出されます。

海では板にローズを乗せて自身は水につかった状態で助けを待ちますが、助けが来る前に力尽き海の底に沈みます。

演:レオナルド・ディカプリオ
1993年に出演した「ギルバート・グレイプ」では、19歳の若さでアカデミー助演男優賞にノミネート。その後は「太陽と月に背いて」や「ロミオ+ジュリエット」への出演で人気を博し、「タイタニック」で一躍大スターとなります。

それほどの人気にもかかわらず、アカデミーには縁のない俳優と言われてきましたが、2016年の「レヴェナント: 蘇えりし者」への出演で、悲願のアカデミー賞主演男優賞受賞を果たしました。実に5度目のノミネートでした。

ローズ・デウィット・ブケイター(ケイト・ウィンスレット)

タイタニック号の一等船室の乗客で絵画好きな17歳の少女です。破産寸前の家のため、母に政略結婚を強要されていました。
決められた人生に絶望する最中、船尾から飛び降り自殺を試みようとしたところをジャックに救われ、次第に彼に惹かれていきます。

そのことを知った母からジャックと会うことを禁止されますが、心を決めてジャックの元へ行き、キスを交わし、貴重なダイヤモンド「碧洋のハート」以外は何も身に着けていない姿の絵をジャックに描いてもらいます。

事故後、いったんは救命ボートに乗ろうとしますが、傲慢な態度のキャルや母ルースの姿を見て考えを変え、手錠のままパイプにつながれたジャックの元に行き、オノで手錠の鎖をたたき切って助けます。

演:ケイト・ウィンスレット
1975年生まれイングランド出身の女優です。94年に「乙女の祈り」で映画デビュー。95年「いつか晴れた日に」でアカデミー助演女優賞にノミネートされました。

「タイタニック」以降は「エターナル・サンシャイン」や「リトル・チルドレン」で高い演技力を評価され、2008年の第81回アカデミー賞では「愛を読むひと」で主演女優賞を受賞しました。

キャルドン(キャル)・ホックリー(ビリー・ゼイン)

キャルドン(キャル)・ホックリーは、大富豪の息子でローズの婚約者です。
ローズの愛を求める一方で自らの所有物のように扱い、執事ラブジョイにローズの行動を見張らせます。

ローズのために「碧洋のハート」を贈るもののローズの心を手に入れることができません。

ジャックをはじめとする庶民を見下した考えを持っており、救命ボートが乗客の半数の分しかない点について、庶民の命を軽く見る発言をしています。

演:ビリー・セイン
俳優を志して83年にLAに移住。その3週間後には「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の端役を獲得するという幸運に恵まれます。
その後「デッド・カーム/戦慄の航海」の謎の青年や「メンフィス・ベル」の爆撃手役で注目され、「山猫は眠らない」など、B級ながら異色な作品でも好演しています。

ルース・デウィット・ブケイター(フランシス・フィッシャー)

ローズの母親です。上流階級であることにこだわり、借金まみれの状況からの打開策として、娘ローズに大富豪の息子キャルとの結婚を強要します。

虚栄心が強くジャックとローズが親しくしていることを知ると、ローズにジャックと会わないように命じます。

タイタニックから避難しなければならない際にも救命ボートが等級別かを気にし、ローズに愛想を尽かされます。モリーと同じ救命ボートに乗り生存します。

演:フランシス・フィッシャー
人気ソープオペラの「The Edge of Night」でテレビデビュー。同作品には1976年から81年まで23エピソードに出演しています。

83年に「Can She Bake a Cherry Pie?」というコメディ映画で映画デビューを果たします。92年にはクリント・イーストウッドが監督を務めた「許されざる者」に出演しています。

スパイサー・ラブジョイ(デビッド・ワーナー)

キャルの執事です。元刑事で常に銃を携帯しています。キャルに命じられてローズの行動を監視する役目をします。

ジャックに濡れ衣を着せるために、ジャックの着ているコートのポケットに「碧洋のハート」を入れるのも彼です。

演:デビッド・ワーナー
アルバート・フィニー主演の「トム・ジョーンズの華麗な冒険」で長編映画デビュー。1966年の「モーガン」で初主演を果たします。

ホラー映画やSF映画への出演も多く、「オーメン」や「トロン」などの話題作があります。

基本情報

基本情報
監督・脚本              ジェームズ・キャメロン
製作                     ジェームズ・キャメロン ・ ジョン・ランドー
製作総指揮               レイ・サンキーニ出演者                 レオナルド・ディカプリオ ・ ケイト・ウィンスレット
音楽                                       ジェームズ・ホーナー
主題歌                                   セリーヌ・ディオン 「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」

撮影                                       ラッセル・カーペンター
配給                  〔アメリカ〕 パラマウント映画・〔日本〕 20世紀フォックス
公開                 〔アメリカ〕1997年12月19日・2012年4月4日〔日本〕 1997年12月20日
上映時間                              194分

製作国                  アメリカ合衆国
言語                         英語
製作費                     $286,000,000
興行収入                               〔日本〕262億円  〔世界〕$2,185,232,551

受 賞 歴

第70回 アカデミー賞

作品賞
監督賞                                         ジェームズ・キャメロン
撮影賞                       ラッセル・カーペンター
編集賞                       コンラッド・バフ・ジェームズ・キャメロン・リチャード・A・ハリス

衣装デザイン賞(カラー)    デボラ・L・スコット
視覚効果賞         ロバート・レガート ・ マーク・ラソフ ・トーマス・L・フィッシャー
音響賞            ゲイリー・リドストロム ・ トム・ジョンソン ・ ゲイリー・サマーズ
音響効果編集賞        トム・ベルフォート・クリストファー・ボイズ

美術賞            ピーター・ラモント
主題歌賞              セリーヌ・ディオン 「My Heart Will Go On」
音楽賞(オリジナルドラマ)  ジェームズ・ホーナー

タイタニック号沈没事故とは?

20世紀最悪の海難事故

タイタニック号沈没事故とは、1912年4月14日の夜から4月15日の朝にかけて、イギリス・サウサンプトン発アメリカ合衆国・ニューヨーク行きの航海中の4日目に、北大西洋で起きた海難事故のことです。

当時世界最大の客船であったタイタニックは、1912年4月14日の23時40分(事故現場時間)に氷山に衝突した時には2224人を乗せていました。

事故発生から2時間40分後の翌4月15日の2時20分に沈没。定員分の救命ボートが備えられていなかったため、1500名ほどの乗員乗客が脱出できないまま船内に取り残され多くの犠牲者を出したことから、20世紀最悪の海難事故といわれています。

「絶対に沈まない船」という過信

タイタニック号は合計20艘の救命ボートを船に積んでいました。

20艘すべての定員を足すと1178人。すべての救命ボートに定員いっぱいまで乗せたとしても、約2200人の乗員のうち1000人ほどが乗れなかったことになります。

そして実際はそれよりもはるかに多くの人々が、沈んでいく船に取り残されました。

冷たい海に下ろされた救命ボートのうち、乗客を定員いっぱいまで乗せたものはほとんどなく、このことが死者数を劇的に引き上げることになります。

乗組員は救命ボートの取扱訓練を一度も受けておらず、定員に達した救命ボートでも安全に海上に下ろせることを知らされていなかったのです。

「タイタニック」の見どころは?

船首でのジャックとローズのキス

ジャックに惹かれるローズでしたが、婚約者のキャルはジャックと三等客室のダンスパーティに行ったローズに怒り、母のルースからもジャックと会うことを止められます。

タイタニックシーン

ローズはジャックことを会わないと決めます。しかし、ジャックへの思いは断ち切れず船首にいるジャックのもとに。ジャックはローズに何も言わせずに、目をつぶらせて柵に足をかけて両手を横に広げさせ後ろから支えます。目を開けたローズは、「飛んでる!」と感嘆の声を上げます。美しい夕陽の中、ジャックとローズはキスをします。

ジャックが口ずさんでいる曲は、「Come Josephine in My Flying Machine」という1910年に発売されたポピュラー・ソングで、この曲はタイタニックが沈没した後、板の上で助けを待つローズも口ずさみます。

最後まで演奏を続けた音楽隊

「タイタニック」後半のクライマックス、沈没までを描くシークエンスでは、いよいよ浸水がデッキまで及び、恐怖感が高まっていきます。船長は操縦室に籠もり、なすすべ無しの表情を浮かべます。

このとき音楽隊のメンバーはデッキの喧騒の中にいました。はじめは4名で演奏していましたが、刻々と身に迫る危険を感じて「ここまでだ」「無事を祈る」との言葉を交わして1度は解散します。

しかし、そこに残ったバイオリニストがひとりで演奏を続けると、今しがた解散したはずのメンバーも戻ってきてアンサンブルに加わっていきます。

ここで彼らが奏でているのは「主よ御許に近づかん(Nearer, My God, to Thee)」という賛美歌です。

この音楽隊が乗客に落ち着いて救命艇へ移動してもらうため、自分たちは最後まで演奏を続け、運命を船と共にしたという逸話は有名です。

「タイタニック」トリビア

ローズ役の候補は豪華メンバー

ローズ役には複数の女優が候補に挙がっていましたが、その中にはグウィネス・パルトロウ名前もあったようです。

それ以外にも、ジェニファー・アニストン、ドリュー・バリモア、クレア・デインズ、アンジェリーナ・ジョリー、ニコール・キッドマン、ユマ・サーマン、シャーリーズ・セロン、リース・ウィザースプーンなど錚々たる顔ぶれが揃っていたといわれています。

ディカプリオのアドリブ

映画の中でも最も有名なシーンの1つ「世界は俺のものだ」とジャックが叫ぶシーンは、実はディカプリオのアドリブだったようです。

ほかにも、絵のモデルになるために裸になったローズに、ジャックが「ベッドに…いや、ソファに横たわって」と言うシーンは、本当は「ソファに横たわって」が正解。

このレオの言い間違いをキャメロン監督が気に入り、そのまま映画に使用したそうです。

ジャックは死ななくて済んだ?

最後の漂流シーン。「ジャックとローズ2人ともドアに乗れたのではないか」ということが長く議論の的になっていました。

ラスト

ある番組が検証テストをしてみると、2人とも乗れてしまったとか。
キャメロン監督曰く「ストーリーの流れではジャックは死ぬ必要があった。それにドアの大きさの問題ではなく、浮力の問題だ」とコメントしています。

海底に沈んだタイタニック号はどうなる?

1985年の9月1日、海洋考古学者のロバート・バラード氏は、水深約4000メートルの海底に横たわるタイタニック号を発見するという世紀の偉業を成し遂げます。

世界で最も有名な沈没船の一つであるこの豪華客船が発見されてからというもの、これまで数々の科学調査や遺物収集、観光ツアーが実施されてきました。
それに伴ってこの先、船をどう保存していくかという問題が浮上しています。

1991年の調査で船体からつららのような形の「サビ」がぶら下がるように形成されていることが確認されました。「サビ」は鉄が酸化した結果だと思われていましたが、後に海中のバクテリアによるものだということが判明しました。

このバクテリアは船体の鉄分をサビに変えてしまうので、2030年頃には船体はこのようなサビの塊になる可能性があるといわれていました。

しかし、現在では船を保存することは技術的に可能で、「誰がそれをやるのか」というコスト面が課題になっているようです。

まとめ

今回のご紹介は「タイタニック」でした。いかがでしたでしょうか?

映画「タイタニック」は、実際に起こったタイタニック号沈没事故を基に、労働階級のジャックと上流階級のローズの身分違いの悲恋と、「沈まない船」といわれていたタイタニック号の沈没を前に、極限状態に陥った人々の姿をリアルに描いています。

キャメロン監督自身の「アバター」に抜かれるまで、興行収入が世界最高の映画でした。
上映時間が3時間とかなり長いにもかかわらず、緊迫したシーンや映像の迫力はそれを全く感じさせません。

そして、この作品の規格外のスケール、色あせないストーリー、感情移入させられるキャスト、映画史に残る音楽は、そのどれもが最高のエンターテイメントとして観るものに大きな感動を与えてくれます。

「タイタニック」1度は観ておきたい不朽の名作だと思います。