3人のオスカー俳優が繰り広げる超豪華なドタバタコメディ「カムバック・トゥ・ハリウッド!!」

3人のオスカー俳優が繰り広げる超豪華なドタバタコメディ「カムバック・トゥ・ハリウッド!!」

今回は、3人のオスカー俳優、ロバート・デ・ニーロ、トミー・リー・ジョーンズ、モーガン・フリーマンが夢の共演を果たした「カムバック・トゥ・ハリウッド!!」をご紹介します。

この作品は、ハリウッドの3大レジェンドが肩の力を抜いてドタバタ劇を繰り広げるコメディ映画です。

本編の舞台は、1974年のハリウッド。そこで、マックス・バーバー(ロバート・デ・ニーロ)はB級映画のプロデューサーとして働いています。

マックスは口が上手く、調子の良い性格。しかし、仕事は順調とは言い難く、借金まみれの状態です。

そんなマークにお金を貸しているのは、ギャングのボスであるレジー・フォンテイン(モーガン・フリーマン)。冷酷非道な人物ですが、映画マニアという意外な一面を併せ持っています。

「撮影のときに死亡事故が起きると、多額の保険金が下りる」ことに目をつけたマックスは、その保険金を手に入れようと画策します。

老人ホームにいた西部劇の元スター、デューク・モンタナ(トミー・リー・ジョーンズ)に新作映画の主演を任せ、撮影中の事故に見せかけて始末しようとします。

しかし、ドュークは何故かどんな危険なシーンも切り抜けていきます。
果たしてマックスは無事借金を返済することができるのか?

そんな超豪華なオジさん達のドタバタ劇をご紹介していきましょう。

あらすじ(ネタバレあり)

映画のプロデューサーであるマックス・バーバーは、甥っ子のウォルター・クレイソンと映画会社『ミラクル映画社』を経営しています。

その日、ミラクル映画社の新作映画『尼さんは殺し屋』が封切られているのですが、映画館の前にはカトリック教徒が押し寄せていました。デニーロ

それを見たマックスは「自分の映画で行列ができたのは初めてだ」と喜びますが、退去したカトリック教徒はプラカードを掲げて、マックスのところの映画の非難をしているのです。

マックスの新作映画は、雑誌でもさんざんに叩かれていました。「悪趣味。低俗の極み」「この映画のよいところは、1時間半で映画が終わるところだ」と書かれています。

ウォルターは、そろそろミラクル映画社を畳もうとマックスに言いますが、マックスはまだ続けるつもりでした。

マックスがその日に帰宅すると、部屋にはギャングのボスであるレジー・フォンテインが部下のトミーを連れて待っていました。マックスに金を返せと要求します。

レジーはマックスに、映画の製作費を35万ドル出資していたのです。そのお金でマックスが作った映画が今日公開の、カトリック教徒にデモを起こさせている問題の映画でした。

金は返すとマックスが言うと、レジーは「72時間やる」と答えます。困ったと思ったマックスは、誰かに金を都合してもらおうと考えます。

ビバリーヒルズでは、マックスと同じ映画界に君臨しながらも売れっ子の監督ジェームス・ムーアがいました。

ジェームスは借金の肩代わりを快諾しましたが、ひとつだけ条件を出しました。それはマックスが長年にわたって温めてきた「パラダイス」という脚本を譲ること。

マックスは拒否しますが、ウォルターの説得もあり共同制作に同意しました。

2人は映画の撮影現場へ行きました。そこには名優のフランク・ピアースがおり、ウォルターは感激して話しかけます。

フランクはスタントなしでアクションをすると話しており、直後、バランスを失って撮影現場から転落死してしまいます。

思わぬ形での「パラダイス」の頓挫にマックスは笑いが止まりません。しかし、その笑いも今回の事故死でジェームスに500万ドルの保険金が入ること知ります。

その時、マックスには悪魔のような1つのアイデアが浮かびます。

映画は撮りますが、主演俳優には事故で死んでもらう。そうすることによって今回の事故のように保険金を手にしようと考えたのです。

マックスはウォルターを連れて、老人養護施設へ行きました。

彼らはそこで往年のスター俳優デューク・モンタナを見つけます。そして、デュークに自殺願望があると聞いたマックスは、彼を主役に据えると決めました。

マックスの家に再びレジーが来ると、金を返せと迫ります。そのレジーにマックスは、新作映画を作ろうと思うから資金を出してくれないかと言いました。

映画を作るといって俳優を保険に入らせて、撮影初日にスタント事故で死んでもらうというアイデアにレジーは満足し話に乗ります。

イキのいい小娘メーガンを監督に抜擢し、デューク主演の新作映画の撮影が始まりました。

まずは、馬で燃えさかる馬車を飛び越えるシーン。マックスの思い通りにはいかず、素晴らしくカッコいい映像が撮れました。

トミー2

 

2日目。マックスは撮影に使う吊り橋の縄に切れ込みを入れて、うまく切れるように細工しておきました。

撮影中、綱が切れて吊り橋が落ちます。スタッフは驚きますが、デュークは腰に提げたロープを絡めて生還しました。ちょうどそのシーンは撮影しており、迫力のあるシーンになりました。
思惑通りにいかないことに焦るマックスでしたが、撮影したフィルムを見返してみると素晴らしい出来です。これならば本当に大ヒット作を狙えるかもしれないと思い、デュークを殺すのを止めようとします。

ところが、ついにキレたレジーが手下を伴って撮影現場に現れました。車からデュークとマックスに銃を向け乱射するレジーと、馬にまたがり逃げる2人。

しかし、それまでの撮影フィルムを見た映画オタクのレジーは作品の出来に大興奮。デュークを絶賛します。

映画『西部の老銃士』は、デュークの復帰作として大々的に注目されます。

映画は大ヒットして、マックスたちはレッドカーペットに向かいました。どうやら映画はアカデミー賞の候補になったようです。

デュークは馬に乗って会場までやってきますが、派手な舞台は嫌だと去ります。
草原を走るデュークは晴れやかな表情を浮かべました。

キャスト

マックス・バーバー(ロバート・デ・ニーロ)

B級映画のプロデューサー。
口が上手く、調子が良い性格。撮影した作品はアカデミー賞を受賞するような映画だと豪語していますが、現実はそんなに甘くはなく、借りたお金を返すあてもなく困っています。

演:ロバート・デ・ニーロ
1973年の「ミーン・ストリート」で監督のマーティン・スコセッシとともに注目を集めます。

「ゴッドファーザー PART II」(74)でビトー・コルレオーネの青年時代を演じ、アカデミー賞助演男優賞を受賞。

「タクシードライバー」(76)で同主演賞にノミネートされ、「レイジング・ブル」(80)でついに主演男優受賞を果たします。

同作のため体重を27キロ増量するなど、徹底した役作りからデ・ニーロ・アプローチという言葉も生み出されました。スコセッシとのタッグ作「グッドフェローズ」(90)、「ケープ・フィアー」(91)、「カジノ」(95)はいずれも高く評価されています。

レジー・フォンテイン(モーガン・フリーマン)

ギャングのボス。何かにつけて古い名画を引用する映画マニアですが、趣味と仕事は別。マックスの映画に出資しており、借金の返済を求めています。マックスに貸した35万ドルを返済しないと命はないと脅迫します。

フリーマン

演:モーガン・フリーマン

映画デビューは1980年の「ブルベイカー」。「NYストリート・スマート」(87)のポン引き役でアカデミー助演男優賞に初ノミネートされます。

舞台でも好演した映画版「ドライビングMissデイジー」(88)で同主演男優賞にノミネートされ、90年代には「許されざる者」(92)、「ショーシャンクの空に」(94)などの名作・話題作に出演し、米映画界にとって欠かせない存在となります。

2005年、再びイーストウッド監督と組んだ「ミリオンダラー・ベイビー」でアカデミー助演男優賞を受賞。

同監督の「インビクタス 負けざる者たち」(09)ではネルソン・マンデラ大統領役で同主演男優賞に3度目のノミネートを果たしています。

デューク・モンタナ(トミー・リー・ジョーンズ)

老いた往年の西部劇元スター。現在は老人ホームにいます。毎日自殺願望と戦う精神状態でしたが、偽物のカムバック映画では、マックスの罠を次々とかわし、華麗なスタントを決めていきます。

演:トミー・リー・ジョーンズ
70年「ある愛の詩」で映画デビュー。以後長い間、端役で数々の映画に出演しています。
80年代の後半から敵役などで注目され初め、「JFK」(91)、「沈黙の戦艦」(92)を経て「逃亡者」(93)のジェラード役でブレイク、アカデミー助演男優賞を受賞。

以後「メン・イン・ブラック」シリーズ(97~12)、「スペース・カウボーイ」(00)などでコミカルな面を見せるなど、第一線で活躍。「告発のとき」(07)でアカデミー主演男優賞受賞。

日本では、「メン・イン・ブラック」でエイリアンを取り締まるエージェントを演じたジョーンズにちなんだ“宇宙人ジョーンズ”のCM(06~)も話題になります。

ウォルター・クレイソン(ザック・ブラフ)

マックスの甥。ミラクル映画社のビジネスパートナー。
レジーが手下を伴って撮影現場に現れた時、とっさにここまで撮ってきたフィルムを野外スクリーンへと映し、レジーを感動させます。

演:ザック・ブラフ

1993年にウディ・アレン監督作「マンハッタン殺人ミステリ―」で映画デビュー。テレビドラマ「scrubs ~恋のお騒がせ病棟」(01)の主演でブレイク。9年間の放送中に、エミー賞候補1回と3年連続のゴールデン・グローブ賞候補となります。

04年には故郷ニュージャージーを舞台にした監督・主演作「終わりで始まりの4日間」が3500万ドルを超える興行収入を記録、インディペンデント・スピリット賞の新人賞を受賞。

メーガン・アルバート(ケイト・カッツマン)

マックスが考えた保険金目当ての新作映画『西部の老銃士』の監督です。オーディションでデュークに気に入られ監督に採用されます。

演:ケイト・カッツマン
ペンシルベニア生まれ。後にフロリダへ転居し、劇場でバート・レイノルズの訓練を受けています。
その後、「ミッキー誕生前のウォルト」(19)、「パパは見習いサンタ」(19)などに出演しています。

基本情報

基本情報
監督           ジョージ・ギャロ(英語版)

脚本           ジョージ・ギャロ ジョシュ・ポスナー
原作           ハリー・ハーウィッツ(英語版)『The Comeback Trail』
製作           フィリップ・キム パトリック・ヒブラー ジョイ・シロット・ハーウィッツ

出演者          ロバート・デ・ニーロ トミー・リー・ジョーンズ モーガン・フリーマン
音楽           アルド・シュラク
撮影           ルカシュ・ビーラン
編集           ジョン・M・ヴィターレ

製作           ストーリーボード・メディア マーチ・オン・プロダクション 他
配給           〔アメリカ〕クラウドバースト・エンターテインメント

公開           〔世界〕 2020年10月9日 〔日本〕 2021年6月4日
上映時間            104分
製作国            アメリカ合衆国
言語              英語
興行収入            $2,713,572

映画「ミッドナイト・ラン」とは?

ロバート・デ・ニーロにとって、自分の出演映画で一番のお気に入りが「ミッドナイト・ラン」だというのは有名な話です。

「カムバック・トゥ・ハリウッド!!」は、その「ミッドナイト・ラン」で脚本を手がけたジョージ・ギャロが製作・脚本・監督を務め、デ・ニーロと久方ぶりにタッグを組んだ、愛すべきハリウッド内幕コメディです。

ミッドナイト・ラン

シカゴで刑事をしていたジャック(ロバート・デ・ニーロ)は賄賂がきっかけで辞職に追い込まれ、賞金稼ぎをしながら探偵業に勤しんでいる。

そんなとき、雇い主・エディからジョナサン・マデューカス(チャールズ・グローディン)を連れてこいと依頼を受けます。その賞金10万ドル。タイムリミットは5日間。

ジョナサンをニューヨークで押さえたジャックは、そのままエディのいるロサンゼルスへジョナサンを連れて行こうとするが、ジョナサンの悪知恵により飛行機を断念、列車の旅を余儀なくされる。

以降2人の、喧嘩あり、感動あり、仲直りありの「ロードムービー」が始まる。

道中、セラノによる邪魔や、エディの差し金でやって来たマービンとの小競り合いもあり、なかなか進展しない。

最後は、セラノに捕まったジョナサンを救出するため、ジャックはFBIと条件交渉し、セラノの逮捕に協力する。
見事〝おとり作戦〟でセラノを逮捕。ジョナサンは再びジャックのもとへ戻ります。

「カムバック・トゥ・ハリウッド!!」の見どころ

驚くほどハマり役

マックスを演じるロバート・デ・ニーロのクズプロデューサーっぷりが存分に楽しめる本作ですが、旬を過ぎて「あとは死を待つだけ」と言わんばかりの元西部劇スターのデュークや、冷酷非情の映画オタクギャングボスのレジー。

この3人のハマり具合が見事です。

本作は「映画」がメインで物語が構成されていますが主役3人はもちろん、甥のウォルター、ウソ映画「西部の老銃士」の監督であるメーガン、その他スタッフたち全てから映画が好きだという気持ちがよく伝わります。

だからこそマックスは映画づくりにこだわり、デュークは再び舞台へ上がることを決め、レジーはマックスにお金を貸したわけです。

トントン拍子に撮影進行していくニセ映画

「パラダイス」の主演俳優が事故死したことで多額の保証金が入ることを知り始まった保険金目当てのニセ映画撮影。

ジェームスに「パラダイス」を譲ったことで手に入れたお金でロケをしていると思い込んでいるウォルターは、豪華なセットや演出にワクワクしていますが、裏には最悪な目的があるなんて知る由もありません。

デュークを事故死(という名の殺人)させるため、彼が乗る馬を暴れさせてみたり吊り橋のロープに切れ目を入れてみたりと危険に陥れますが、どの場面でも無事に生還を果たします。

デュークが生還を果たしたときのカッコよさと、マックスの残念そうな顔は必見です。

デュークが危険なスタントを成功させるたびに、監督のメーガンやスタッフたちは大歓声を上げますが、その裏で「主役は死んだか?」と連絡をしてくるレジー。

最後には、しびれを切らして「オレが殺してやる」と撮影現場に乗り込んできますが、完成途中のフィルムを観た途端、涙を流して「これはオスカー確実だ」と叫びます。

ハラハラさせながらも死にそうで死なない、コメディアニメのような安定感です。

トミー

「カムバック・トゥ・ハリウッド!!」のレビュー

ロバート・デ・ニーロ、モーガン・フリーマン、トミー・リー・ジョーンズのレジェンドオスカー俳優の共演なら観ないわけにはいかない。

名優たちが、わかりやすい展開のコメディでバカもやる楽しい映画。このチープさがクセになります。

何より、映画愛が瑞々に感じられて良かった。実際の映画撮影現場の想像が膨らむシーンや、小ネタもたくさんあります。エンドロールの演出が最高に面白いので必見です。

ロバート・デ・ニーロの小狡い感じ。モーガン・フリーマンの威圧感。トミー・リー・ジョーンズの宇宙人感?が見事に合わさって出来ていたように感じます。

内容は、結構チープさが漂いがちになることもありますが、設定がB級映画っぽかったし、スタッフがまたそれっぽく面白いです。
自分も上手く年を重ねて、こんなジジイたちになりたいと、強く思わせる映画でした。

映画館に行くのが久々だったので、とりあえず洋画をと足を運んで観たのが豪華名優人の演じるコメディ映画。

デ・ニーロは演技の幅の広さはわかっていた老プロデューサーそのもののデ・ニーロはさすがでしたね。

ただ、セリフが多くて欠伸を連発してみていた。名優達には拍手を送りたい。ハリウッドのプロデューサーの悪辣さを皮肉ったコメディだけど、序盤から小ネタが多く、主人公が詐欺を思いつくまでが長くスローな展開です。

ところが、撮影が始まってからのトミー・リー・ジョーンズの不死身っぷりと、ど素人監督の腕前が意外といいのが笑えます。

結局はお決まりの幕切れだけどね。主演の三老優の魅力あっての映画だけど、やはりトミー・リー・ジョーンズの渋さが光りまくってました。

題材もすごくよかったと思います。ハリウッドの世界観たくさんの人が好きだと思いますし、この俳優陣がコメディをするとなると期待が高まります。しかし、内容が知名度に負けていると感じました。物語に深みがなく、内容が中途半端でした。

俳優陣の実力やサウンドトラックに助けられた作品でしたね。しかし、鑑賞する価値はあります。

まとめ

今回は「カムバック・トゥ・ハリウッド!!」のご紹介でした。

「カムバック・トゥ・ハリウッド!!」は年老いたフィルムメーカーと往年の大スター、そして老ギャングの3人が繰り広げるコメディ映画です。

かなり笑えるシーンがあるとはいえ、新しいアイデア満載だった「ミッドナイト・ラン」と比べれば、この作品は相当ユルいです。

保険金目当てに俳優を事故死させるという毒々しい設定にもかかわらず、何か無邪気で毒に欠けています。

3人ともここまで歳をとると派手なアクションは無理でしょうし、スピード感ある展開の作品もなかなか難しいのかもしれません。

ただ、コメディなら簡単にできるというわけではありません。このB級映画のようなストーリーは、3人の良い感じの円熟味が大いに笑えるのだと思います。

映画ファンであれば、あの3人の老俳優が奮闘する作品を嫌いになることはないと思います。

保険金目当てのウソ映画は大ヒットを果たし、丸く収まりましたが、冒頭に出てきた大ゴケ映画「尼さんは殺し屋」の予告編が本編エンドロールで流れています。

最後まで笑わせてくれますよ。