SOHOとは「Small Office/Home Office」の頭文字を取った語で、パソコンなどの情報通信機器を利用して小さなオフィスや自宅などでビジネスを行なっている事業者のことです。
つまり「SOHOビジネススキル検定」は、ITを活用する10名未満の小規模事業者(SOHO事業者)が発注企業との間でスムーズかつ対等な取引関係を構築するために必要なビジネススキルを判定する検定試験です。
どんな試験なのかお伝えしていきましょう。
Contents
適用する仕事
まず、SOHOに適した職種の人を挙げると次の通りになります。
どんな職種が合っているか
エンジニアやプログラマー
これらの仕事は仕様書や指示内容に基づいてパソコンで作業を行えるため、パソコンが使える環境であればどんな場所でも対応できるため実践しやすい職種です。
ただし、企業における社外秘の資料や個人情報を含むデータへのアクセスといった業務上の制限が掛かる場合は、何かしらの対策をしなければなりません。
デザイナー
ここではフリーデザイナーがSOHOに向いているデザイナーだと思われます。
お客側の要望を受け取り、その要望に適うデザインを作って納品するというプロセスなら、オフィスで仕事しなくても済むそうです。
デザイナーもソフトや通信環境が整ったパソコンさえあれば、どこでも作業可能です。
顔を合わせたコミュニケーションをする場合は、スカイプを使えば事足りるそうです。
編集やライター
編集作業や記事執筆といったお仕事も場所や時間を選ばずに仕事ができる職種です。
ここ数年で特に増えているのは記事の受注をクラウドソーシングで行なって、リサーチはインターネットや必要に応じて取材をし、執筆は家のパソコンで行うやり方です。
以前は打ち合わせなどで出向く場面もありましたが、それもメールやチャットでやりとりしたり入稿したりできますよ。
合格者の声
合格者もそのような職種に携わっている方ばかりです。
- 近畿圏を中心に全国でデザインや翻訳業務
- 首都圏でグラフィックデザインやDTPのお仕事業務
- 東京でホームページ運営/デザイン/入力などの業務
- 九州で土木設計や建設コンサルタント業務
- ライター
- WEBデザイナー
合格した方の声としては、個人や小規模で働く中で、取引先から少しでも安心して取引してもらえるようになればとの思いで受験した方もいます。
それに今年は2021年でコロナ禍ですね。
在宅勤務が容易に受け入れやすくなる社会になってきています。
よって、こういった資格が必要になりますし、この資格もどんどん難しくなるだろうと感じている方もいますよ。
※「SOHOビジネススキル検定」を合格された方は、ID申請をすることによって「認定SOHO事業者」になることが可能です。
おおよその年収とキャリアパス
SOHOは主にパソコンを使って自宅や事務所で仕事を請け負い、その業務を行うワーキングスタイルです。
このSOHOを行う多くの人は在宅で仕事をするケースが多いので、近年テレワークやテレワーカーという言葉で呼ばれています。
(従来は在宅ワーク・在宅ワーカーでした)
考えられるだろう年収
SOHO事業者に関しての正確な年収は割り出せませんでしたが、個人事業主の平均年収はわかります。
国税庁の「平成30年申告所得税標本」によると、事業所得者の平均年収は417万円でした。
ただし、個人事業主の場合は単純に12ヶ月で割った金額が毎月入るのではなく、月収にばらつきがあります。
月ごとに受注する案件の軒数や内容に違いがあるからです。
さらには、どの年収世帯がどのくらいいるかという割合もあります。
所得階級 | 割合 |
100万円以下 | 11.0% |
100万円超~200万円以下 | 26.3% |
200万円超~300万円以下 | 21.6% |
300万円超~500万円以下 | 22.2% |
500万円超~1000万円以下 | 12.8% |
それ以上 | 6.1% |
つまり、この表の中央値は200万~300万以下となります。
先ほど平均所得は417万円とお伝えしましたが、一部の高所得者が平均値を上げていることを見ると「200万円超300万円以下」が個人事業者の平均所得といえるでしょう。
考えられるであろうキャリアパス
たしかに「SOHOビジネススキル検定」に合格すれば、SOHOに対する知識がつき、開業することも可能になるかと思われます。
ただし、開業するにはいろいろと手続きがあります。
まず、管轄の税務署にある「個人事業主開業届」に記入・提出しなければなりません。
開業届の中に屋号なども記載できるので、自分に合ったネーミングを考えておく必要があります。
その他にもいろいろ準備があります。
- 職種、仕事内容の決定
- 作業環境の確保(自宅の場合は家族への説明)
- 屋号やドメインの決定
- クラウド環境などのサ-バー環境の整備
- 名刺や販促ツールの作成
- フェイスブックなどSNS類の作成
- 業務で使用する銀行口座の取得
- 営業活動スタートしてからのSOHO交流会やビジネス交流会などへの参加
SOHOやフリーランスへの今後の見通しとして、今やスマートフォンの普及とともに、インターネット市場が急拡大し様々なサービスが普及してきました。
サービスの普及に伴い、仕事は急増していくと予想されます。
- IT市場の伸び
- エンジニアなどのIT従事者の供給が急務
- ネットワーク社会の拡大
- フリーランスのニーズの高さ
- 人材不足の解消案 など
認可団体
「SOHOビジネススキル検定」を主催咲している団体は「特定非営利活動法人 日本ITイノベーション協会」というところです。
団体のこれまでの歩み
2002年1月5日に設立し、2004年~2006年に経済産業省推進プロジェクト「IT経営応援隊」事業を受託しました。
その後数々のセミナーやイベントを開催させ、2010年には「東京都ひとり親家庭など在宅就業支援事業」を受託しました。
これはダブルワークやトリプルワークを余儀なくされているひとり親家庭などに、ITを活用した在宅業務ができるよう、人材育成を行う活動です。
この事業委託は長崎県や甲府市でも展開され、2013年には公益社団法人学術・文化・産業ネットワーク多摩と共同で中小企業庁地域中小企業の人材確保・定着支援事業を受託しました。
このようにこちらの団体では、働き方を通して多くの分野で社会貢献していることが窺がえます。
協会概要
「特定非営利活動法人 日本ITイノベーション協会」は英語でJapan IT Innovation Associationと言い、略して「JITA」と呼ばれています。
そのJITAは、ITを活用した次のような社会的なイノベーションの促進を目指しています。
- 中小企業の経営
- 人材育成や就業力向上
- 地域づくりやまちづくり
受験条件
どなたでも受験可能です。
年齢・経験・制限などはありません。
(SOHO事業者、フリーランサー、在宅テレワーカー、学生、独立起業希望者、その他全てのビジネスパーソン)
合格率
不明
1年当たりの試験実施回数
2月、6月、10月の年3回の実施が予定されています。
試験科目
- キャリアプランとワークスタイル
- ビジネスプロセスとビジネスマナー
- SOHOの会計実務と税務
- ビジネス法務とコンプライアンス
- 情報セキュリティと自己責任
採点方式と合格基準
80問(選択問題)
正解率70%以上合格(メールにて後日結果をお知らせ)
取得に必要な勉強などの費用
「SOHOビジネススキル検定」に向けての勉強方法としては、公式のテキストがあるそうです。
- 出版社名:特定非営利活動法人 日本ITイノベーション協会
- 商品名:SOHOビジネススキル検定試験 公式テキスト
- 価格:¥3,240(税込)
発注する企業がビジネス相手である貴方に求める常識力の必須水準を解説したテキストです。
就職活動から案件の成立まで活かせます。
※それともし、協会で実施されているなら「事前対策オンライン研修」を受講しておいた方が力がつきますよ。
受験料
8,640円(税込)
受験申込方法
「SOHOビジネススキル検定」のサイトへ行き、そこの「お申込み」の欄を探せば申込できますが、残念ながら今は受け付けていないようです。
色々調べてみても、受験がいつになったら可能なのかという情報は得られませんでした。
ここまでお読みくださったのに、申し訳ございません。
まとめ
今回は「SOHOビジネススキル検定」という資格についてでした。
SOHOは聞きなれない語だと思いますが、実際は小さなオフィスや在宅で事業を行う個人事業者やフリーランスの方を指します。
そうした独立・開業への知識が問われるのが本記事の資格です。
情報が古くて申し訳ありませんが、フリーランスや独立起業希望の方はもし機会があったら受験してみてください。
こういった職種の方は時間に融通が利く分、収入が不安定になりがちです。
少しでも取引先に信頼されるような個人事業者になるための勉強になるかもしれませんよ。