P検インストラクター試験とは、ITに関する技術をうまく人に教えるために必要なスキルを身に付けることを目的とした民間資格です。
特に教授能力や受講者に接する態度、教材作成スキルやインストラクション能力にいたるまで、企業や学校で教育をおこなう際に必要なスキルを幅広く測定する検定試験となっています。
では、具体的にどういった試験なのか内容を掘り下げてご案内していきましょう。
Contents
適用する仕事
P検インストラクターはICT(Information and Communication Technology 情報や通信に関する技術の総称)を有効活用して効果的なプレゼンテーションやインストラクションをおこなうためのスキルを育成・証明するための検定試験です。
パソコン検定協会が主催しています。
この検定で目指すものはこれからのIT時代に備えて、ITに関する知識を有する人間を育てることを目標としています。
- 情報化人材育成リーダーの指示のもとで、教育に必要な補助教材や問題を作成する
- 教育実施に当たり、受講者の特性などを把握し効果的なプレゼンテーションを行なって、質問に対する効果的な対応を行う
- 教育実施後に報告書をまとめ、次回にフィードバックする
言うまでもなく、ITやICTに関する高度な専門的能力があったとしても、それを人に伝えることができるか否かは別問題です。
教授能力や受講者に対する接し方なども能力のうちだからです。
おおよその年収とキャリアパス
では、このP検インストラクター試験を取得した場合、インストラクターとしての将来性はあるのでしょうか。
あり得るであろう年収
ある求人サイトを検索いたしますと、たしかに募集している企業はあります。
大まかに年収を記しますと、次のようになります。
- パソコン教室の正社員スタッフ⇒年収270万円~360万円
- エンジニアスキル講座の講師⇒年収400万円~450万円
- 企業研修講師⇒年収350万円~600万円
- データサイエンティスト⇒年収700万円~1,000万円
このようにIT講師・ITインストラクターは教える対象や難易度によって給与が変わってきます。
ただし、データサイエンティストは希少部類だと思われます。
キャリアパス
IT講師やITインストラクターとしてキャリアパスは代表的なのは、マネジメント職です。
なにもIT講師やITインストラクターの仕事は、受講者の指導だけで終わることではなく、例えば小規模のスクールであれば教室の運営を任されることにもなります。
また、後輩講師の指導にも携わることになるやもしれません。
あとはマネジメント業務はもちろん、「ITの教育教材を扱う出版社に勤める」のも選択肢の一つに入るかもしれません。
他にはIT講師として成長していき、企業の専属講師になるのも夢ではありません。
このようにP検インストラクター試験を取得すれば、いろいろな道が考えられるのです。
IT講師やITインストラクターになるには
ITというのはパソコンやスマートフォンだけでなく、IoT家電やスマートカ―などわりと身近に存在し浸透しています。
そのため、今までITに触れてこなかった人もITを学び始めるでしょう。
また、企業もDX化で遅れを取らないように、社員にIT研修を促すかもしれません。
このような状況の中で、IT講師やITインストラクターは需要があります。
プロのパソコンインストラクターとして成功するための1番の近道は、1日も早く自立し、1人でも多くの方にパソコンの操作方法を教えることです。
豊富な求人を前にどこに進ようか迷われるかもしれませんが、大切なのは一歩踏み込む勇気です。
認可団体
P検インストラクター試験を主催している団体は「ICTプロフィシエンシー検定協会(P検協会)」というところです。
といっても、この事務局(P検事務局)はあの教育で有名なベネッセコーポレーションが実施・運営を行なっています。
ベネッセコーポレーションとは
ベネッセコーポレーションとは、岡山県を本社を構えています。
この会社は「人」を軸とし、グローバルに活動する企業グループです。
「何事にも誠実に向き合うこと」
「何よりも信用を重んじること」
「常に挑戦し革新し続けること」
これらを企業理念としています。
CMでよく使われるBenesseのあのロゴは、一人一人の行動そのものの「よく生きる=Benesse」に繋がっているのです。
ベネッセコーポレーションの沿革
かいつまんで紹介させていただきます。
ベネッセは当初1955年岡山県で「株式会社福武書店」が誕生したことが始まりでした。
しかし、この書店は前年に前身の株式会社富士出版が業績好調にもかかわらず現金回収が困難になってきたため、黒字倒産した後のマイナスからのスタートでした。
当時は中学向けの図書や生徒手帳などを扱っていました。
やがて、1960年代になり、小さな事業として岡山県やその周辺の学校を対象とした「高校生向け模擬試験」をスタートさせました。
営業担当者が学校や地域の教育のための地道な活動を行い、先生方との信頼関係も築き上げていきました。
この頃に高校生向け通信教育講座「通信教育セミナー」を開講させました。
そして、1970年代に通信教育講座「進研ゼミ」が始まりました。
最初は高校講座だけだったかもしれませんが、中学講座や小学講座といった事業の拡大に成功したのでした。
やがて時は流れ、1990年にフィロソフィーブランド「Benesse(ベネッセ)」を導入しました。
これはグローバル化や少子高齢化という流れを見据えた多角的な事業へと進めていきました。
現在の生活事業につながる妊娠・出産・育児雑誌「たまごクラブ」「ひよこクラブ」の創刊もこの頃です。
そして、現代ではグローバル化や教育の次世代化、シニアや介護分野にも目を向けてさらなる成長を目指しています。
受験条件
- 16歳以上
- P検3級以上合格者
- PowerPointで資料を作成できる
合格率
合格率は未発表らしいです。
1年当たりの試験実施回数
実施回数としてはPASS認定校(試験会場)で随時受験ができるそうです。
ただし実施機関によって異なります。
試験科目
試験1
インストラクター職務知識(多岐選択式問題/パソコンで行う試験)
20問(30分)
試験2
プレゼンテーション資料作成(PowerPoint使用)
40分
試験3
プレゼンテーションとインストラクション技法(パソコン操作に関する模擬講習)
- 講習カリキュラム構成(20分)
- 模擬演習(10分)+質疑応答(3分)
採点方式と合格基準
合格基準は100点満点中、合計得点が80点以上です。
取得に必要な勉強などの費用
P検のインストラクター試験に合格するためには、最低でもP検3級以上に合格してなければなりません。
P検・3級とは
試験の内容は、実際にパソコンを操作する設問としてわりと少ないです。
4択の選択問題がほとんどです。
数問だけ実際のパソコンを使って解答する実技試験があります。
※選択問題も筆記試験ではなく、パソコンで操作する試験方式です。
(しかし、期間はあくまで目安です)
比較としてですが、ITパスポート試験などの国家資格の試験と比べるとかなり易しいと思われます。
P検・3級の勉強法と費用
P検3級には良いテキストがあります。
このテキストの中身の問題が理解できていれば、P検3級に合格する力はあると思ってください。
- 出版社名:FOM出版
- 商品名:よくわかるマスター P検3級 公認テキスト(ICTプロフィシエンシー検定試験)
- 価格:¥2,000+税
P検3級の出題範囲をすべて網羅したテキストです。
情報をデジタル化する際の流れやLANの接続形態などをイラストや表を使ってわかりやすく解説しています。
それにICTの知識を習得できるだけでなく、WordとExcelの機能と操作スキルも習得できます。
実習データを使って、実際に操作しながら学べる形式です。
ICTプロフィシエンシー検定協会提供のサンプル問題付きです!
P検のインストラクター試験とPowerPoint
P検3級の資格ばかり目を向けがちですが、P検インストラクターは指導する能力を必要とするので、PowerPointのスキルも必須です。
PowerPointで資料を作成する能力を有することが要求されます。
PowerPointは大規模なプレゼンテーションはもちろん、会議や報告、研究発表、講演など利用する場面はいくらでもあります。
勉強の方法としては、WordやExcelと同じく、テキストを用意して例題をもとに機能を学びましょう。
したがって例題はその項で解説する機能のみを説明します。
つまり、スライド1枚ないし2枚の例題を作成していくことになります。
しかし、実社会の発表で使うスライドは数十枚にのぼることもありますね。
機能と使い方さえ理解できれば、あとは独自のスライドができるようになってくれればいいと思います。
PowerPointで作成するスライドには、これといった「正解」は存在しませんから、試行錯誤しながら見やすくわかりやすいスライドを作り上げてくださいね。
受験料
28,000円
受験申込方法
申込は試験実施機関に直接申込となります。
実施機関によって異なりますが、PASS認定校(試験会場)で受験随時のはずです。
直接電話かメールをして受験日時を決めてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
これからの時代、IT化やICT化が求められます。
そんなときITのインストラクターの資格は強みになります。
しかし、インストラクターの仕事はパソコンの技術が秀でているだけではつとまりません。
- 教えることが好き
- 人とのコミュニケーションが好き
- 新しいIT技術への興味や関心が持続している
- 忍耐力がある
これだけの素質が求められます。
試験ではパソコンスキルはもちろん、プレゼンテーションも求められます。
ですから、IT知識だけでなく、教える力や人間力も養ってみてください。
良い勉強の仕方ができるといいですね。
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