皆さんは「インバウンド」という言葉の意味を知っていますか?
インバウンドとは日本の観光業界において「外国人の日本旅行」あるいは「訪日外国人観光客」の意味で使われます。
近年観光客が増えていますね。
そうした外国人に対応するため「インバウンド」に関する知識が十分に備わっていることを証明するのが「インバウンド実務主任者」という資格です。
どんな資格なのか詳しく見ていきましょう。
Contents
適用する仕事
この「インバウンド実務主任者」の資格を有意義に役立つ職業は観光や宿泊業、小売業などの方々です。
旅行業 | 旅行代理店、ツアーオペレーター、通訳案内、旅行業取扱管理など |
観光案内業 | 観光案内所、観光ガイド業 |
道路交通業 | 観光バス会社、観光タクシー会社、レンタカー会社、道の駅など |
鉄道交通業 | 鉄道会社やクルーズ運営会社 |
航空交通業 | 航空会社や空港ビジネス会社など |
宿泊業 | ホテル、旅館、温泉旅館、民泊、民宿 |
小売業 | デパート、ショッピングセンター、家電量販店、ドラッグストア、ディスカウントショップ |
飲食業 | 日本料理店、レストラン、郷土料理店、居酒屋チェーン、駅弁屋 |
観光土産業 | 観光土産店、菓子製造会社、農水産物製造会社、民芸品・名産品製造会社 |
観光施設 | 神社・仏閣、城郭・歴史・文化施設、博物館・美術館、動物園・植物園、水族館 |
レジャー施設 | テーマパーク、レジャーランド、遊園地、レクリエーション施設、タワー |
また、観光協会の方も充分活かせる職種です。
おおよその年収とキャリアパス
この資格だけで就職できるわけではありませんが、ホテルなどの宿泊業や通訳などの外国人と接する機会の多い方やインバウンド業界で働きたい方は勉強するだけでもスキルアップが期待できます。
こちらでは一般論になりますが、活かせる職業とそれについてのキャリアパスの一例を紹介していきます。
旅行代理店の場合
旅行代理店とは旅行業者が企画したツアーやパッケージなどを仲介して販売したり、その会社で旅行を企画・手配をしたりとそんな業務を請け負っています。
その中身は主に「カウンターセールス」として来店されたお客様への商品の販売をしたり、営業、企画・マーケティング、添乗などです。
平均年収は400万円前後とされていますが、景気や国際情勢の影響も受けやすい業界です。
通訳案内士の場合
訪日外国人観光客に通訳の仕事も需要があります。
その名のとおり日本を訪れる外国人に同行し、主に観光地を案内するのが仕事です。
通訳としての役割もありますが、空港やホテルでの出迎えやホテルへのチェックイン、観光スケジュールの作成などツアーコンダクターのような要素も強いと思ってください。
ホスピタリティ溢れる仕事です。
年収は?
ですが、そんな華のあるお仕事も年収面では厳しいかもしれません。
通訳案内の年収を金額ごとに分けるとこのような結果になります。
通訳案内の年収 | 割合 |
年収400万円以上 | 4.0% |
年収300万~399万円 | 4.7% |
年収200万~299万円 | 7.2% |
年収100万~199万円 | 11.3% |
年収100万円以下 | 46.2% |
ご覧いただく通り、通訳案内の仕事で年収300万円以上を目指すのは非常に困難な年収の結果となっています。
通常、通訳士の受け持つ仕事の一案件あたりの収入は5~10万円ほどです。
もちろん通訳案内にもいろいろな働き方があります。
専業(年間100日以上)として働いている方もいれば、副業・兼業している方もいるでしょう。
ですが、一般のオフィスワーカーのようにコンスタントにスケジュールを埋められる職業でもないため、仕事は不安定です。
キャリアパスは?
通訳の活躍の場は企業の専属通訳者として、または行政機関(政府や自治体)や通訳スクールなどありますが、企業組織に属さずフリーランスとして活躍している方もいます。
フリーランスの場合は小さな案件からコツコツと実績を積み重ねて、少しずつやれることを大きくしていきます。
となると、自分で学習し訓練を続けていく必要があります。
語学力だけでなく、自分の知識やスキルを深めて幅広い案件に対応できるようにニュースや世界情勢にアンテナを張るようにしていなければなりませんね。
また、通訳案内を本業にするものの旅行会社や旅行代理店に社員として就職する方もいます。
これはそういう会社で全国通訳案内士の資格を持つ人を雇うケースが徐々に増えているからです。
これは観光業界ならではの「繁忙期」と「閑散期」に対応するためです。
通訳ガイドができる確かなスキルを持つ人は「総合職」として採用されるケースが多いです。
これは通訳士側にもメリットがあり、不安定の職種だからこそ企業に就職して働く方が良いとも考える方もいるでしょう。
レンタカー会社の場合
観光にはレンタカーを必要とする外国人のお客様もいるでしょう。
レンタカー会社の仕事内容は主に予約の問い合わせなどに対する電話対応業務、レンタカーの貸渡および返却手続き、レンタカーの点検・清掃業務などがあります。
年収は会社によって差はあるものの、平均して300~400万円台かと思われます。
一例になりますが、レンタカー会社勤務でのキャリアパスは社内で役職に就くパターンになります。
例えば入社後6ヶ月~1年間営業所研修で実務経験を積んだ後は、本社でグループ全体を見渡せる部署に配属されます。
そして、旅行代理店とともに旅行プランを企画する、広告・宣伝を担当する、全国に配備する車両を購入するなどの部門を経験します。
こうして経験を積んで営業所長として、あるいはリーダーやグループ幹部へと昇進が期待できるでしょう。
認可団体
「インバウンド実務主任者認定試験」を主催している団体は「一般財団法人 全日本情報学習振興協会」というところです。
所在地:東京都千代田区神田三崎町3-7-12 清話会ビル5階
平成6年10月15日 当財団の前身である「全日本情報教育検定協会」設立
平成29年7月9日 「インバウンド実務主任者認定試験」開催
- 検定試験の開催(情報・法務系やパソコン系)
- 情報学習者向け出版物の刊行
- 講習会や研修の実施
- 委託業務(発注公告、発注結果)
受験条件
特になし
敢えて言うなら、当協会が受験を勧めるのは冒頭の「適用する仕事」に当てはまる職業の方たちです。
合格率
受検者数・合格率共に非公開
1年当たりの試験実施回数
年に3回あるそうです。
札幌、仙台、東京、横浜、埼玉、千葉、名古屋、津、大阪、福岡、そしてオンラインで行われます。
試験科目
- 観光総論
- インバウンド総論
- インバウンドの現状と動向
- インバウンドと消費
- インバウンドとビジネス
- インバウンドとニューツーリズム
- 訪日外国人の理解
- 訪日外国人への対応
- インバウンドの集客
- インバウンドのテーマ別観光まちづくり
- テーマ別選択問題
選択問題は下記の中から1つを選択して、3問解答
- インバウンドに関する法律
- インバウンドに関する時事問題
- インバウンドのウェブプロモーション
- 英語
- 中国語(簡体字)
- 韓国語
採点方式と合格基準
試験形態はマークシート方式
試験時間は120分
問題数は87問
- 試験科目の1~10:84問(各1点)
- 試験科目の11:テーマ別選択問題3問(各2点)
合格点は90点の80%以上で72点(加点制度で6点加点+66点で合格)
加点制度とは、下記の各言語における所定の資格をお持ちの方は「加点申請」をすることによって総合点に6点が追加されます。
言語名 | 条件 |
英語 | TOEIC L&R600点以上、TOEFL(iBT)62点以上、英検2級以上 国際連合公用語英語検定試験B級以上 |
中国語 | 中国語検定3級以上、HSK3級以上 |
韓国語 | ハングル能力検定試験3級以上、TOPIK3級以上 |
ドイツ語 | ドイツ語技能検定2級以上 |
フランス語 | 実用フランス語技能検定試験準2級以上 |
スペイン語 | スペイン語技能検定4級以上、DELE B1以上 |
イタリア語 | 実用イタリア語検定試験3級以上 |
ロシア語 | ロシア語能力検定試験2級以上 |
タイ語 | 実用タイ語検定試験準2級以上 |
インドネシア語 | インドネシア語技能検定試験B級以上 |
取得に必要な勉強などの費用
この資格を取得するのに勉強する方法はさまざまあります。
参考書籍を購入する
新版 インバウンド実務主任者認定試験 公式テキスト
- 出版社名:マイナビ出版
- 商品名:新版 インバウンド実務主任者認定試験 公式テキスト
- 価格:¥2,530(税込)
インバウンドビジネスに携わる方、また携わろうとしている方が取得を目指す資格の公式テキストです。
新版ということなのですが、これは2020年に新型コロナウイルス感染症の流行の影響を受けて、コロナ後を見据えた新課題「アフターコロナのインバウンド」を付け加えました。
各課題について、理解度を確かめることができる精選過去問題のページもあります。
インバウンド実務主任者認定試験 実物形式問題集VOL1
- 出版社名:マイナビ出版
- 商品名:インバウンド実務主任者認定試験 実物形式問題集VOL1
- 価格:¥1,760(税込)
こちらはインバウンドビジネスに携わる方、また携わろうとしている方が取得を目指す資格の主催団体が発行する過去問題集です。
実際に実施した試験形式で、試験2回分の過去問題と詳しい解説を収録しています。
サンプル問題を解く
これでしたら無料で勉強ができます。
「インバウンド実務主任者認定試験」のサンプル問題40問とサンプル外国語問題(英語・中国語・韓国語各5問)がネット上で見ることができます。
「インバウンド実務主任者認定試験」の公式サイトの「参考書籍・学習方法」の欄に掲載されています。
対策講習会に参加する
対策講習も用意しています。「SMART合格講座」です。
これでしたらスマートフォン、タブレット、パソコンから学習が可能です。
受講料は15,400円(税込)です。
→オンライン・De・資格キャンペーンだと9,900円(税込)
受験料
11,000円(税込)
試験を10名以上同時に申込みすると団体割引が適用されます。
- 10~19名…8%割引
- 20~99名…10%割引
- 100名以上…15%割引
ただし、31名以上同時申込みをご希望の場合はお電話ください。
TEL:03-5276-0030
受験申込方法
申し込み方法は2通りあります。
インターネットで
「インバウンド実務主任者認定試験」の公式サイトの「試験申込」からお申し込みと会場選択ができます。
受験料はクレジットカード、コンビニ、銀行、郵便局で支払えます。
郵送で
こちらも「インバウンド実務主任者認定試験」の公式サイトの同項目の「試験申込書ダウンロード」(資料請求ページ)より資料請求すると、資料と共に[受験申込書]が送られてきます。
それに必要事項を明記の上、当協会に郵送となります。
まとめ
これを書いているのは2021年です。
この「インバウンド実務主任者認定試験」の試験公式テキストには、新たに「アフターコロナ」に関する課題が追加されました。
たしかに今はインバウンド事業は低迷してしまっているかもしれませんが、それでも近い将来こうした分野の産業が盛り返してくれるだろうと思います。
今は苦しいですけれども、観光や小売業はこれからも必要な産業だしそこで働く方たちは貴重な人材です。
また外国人訪問客が楽しく観光できるように、それらに携わる方たちはこの「インバウンド実務主任者認定試験」を勉強してみてはいかがですか。
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NAGANO検定について
旅行業界自体は20代なら求人も多いので、代理店に就職して業務経験を積んで知識を増やします。
そうしていくうちに社内でマネジメント側へキャリアパスしていくだろうと思われます。
あるいは同業他社へ転職する方や自身で旅行会社を立ち上げる方も出てくるでしょう。
もちろん女性も多く活躍しています。
実際に結婚後も働き続け、管理職になっている方も多いです。