レストランやホテルで気持ちのよいサービスを受けられると嬉しいですよね。
こういった接遇には豊富な知識や技術が求められます。
「サービス」という目には見えないものを提供する仕事をするにあたり、その人が一定のスキルを有していることを証明するもののひとつに「レストランサービス技能士」という資格が存在します。
Contents
適用する仕事
レストランサービス技能士とは、レストランおよびホテルなどでの接遇における知識・技能を認定するもので、飲食関連のサービスにおいてはただ1つの国家資格です。
レストランサービス技能士には3級、2級、1級の3段階があり、級が上がるほど求められるレベルも上がります。
訪問先にハイレベルなウエイターやレセプショニストがいたら、その人はレストランサービス技能士の資格を有しているかもしれません。
おおよその年収とキャリアパス
年収の傾向とどの様な未来(キャリアパス)があるのか観てみましょう
年収
レストランサービス技能士の資格を保有する方向けの求人を見てみると、年収は350万円から950万円と幅があります。
レストランサービス技能士の資格が3段階にわかれていることや、就業地域および企業の規模なども収入に影響していると考えられます。
高いスキルを持っていたり、経験が豊富であったりする場合はもちろん、関連するほかの資格を有している場合なども年収は上がる傾向にあるようです。
キャリアパス
レストランサービス技能検定は、受検資格さえ満たしていれば一足飛びに1級から受検することも可能です。
しかし、実際は長い実務経験など求められるハードルが高いため、飲食店で働き始めたばかりの人はまず3級を目指すことになるでしょう。
多くの人はグラス磨きや清掃などの雑務からスタートして経験を積みます。
その後はホール全体のウエイターを取りまとめる役割や、店舗全体の運営にかかわるマネージャー業務などに挑戦するのもよいでしょう。
認可団体
厚生労働大臣に指定された「一般社団法人日本ホテル・レストランサービス技能協会(通称HRS)」がレストランサービス技能検定を行っています。
HRSは、ホテル・レストランにおける接客サービス技能の向上及び技能者の社会的、経済的地位の確立を図るとともに、国民に対するテーブルマナーの普及指導に努め、もって国際観光及び社会文化の発展に寄与する目的で1985年に設立されました。
受験条件
それぞれの級の受験資格を見てみましょう
3級の受検資格
3級の受検資格は、レストランなどの料飲サービスの実務経験を1年以上積むこと、もしくは「レストランサービス技能検定3級受検資格承認校」で規定の学科を修めて卒業することで得られます。
そのほか、所定の職業訓練などを修了した方も受検資格を有します。
2級の受験資格
2級以降の受検資格は3級よりやや複雑です。
卒業した教育機関や取得した資格によって求められる実務経験年数が変わります。
たとえば、2級の受検資格を得るには、3級に合格したあと更に2年以上料飲サービスに従事することが求められます。
1級の受験資格
1級の受検資格を得るには、3級に合格したのち10年以上料飲サービスに従事するか、2級に合格したのち4年以上料飲サービスに従事する必要があります。
そのほかの条件については、一般社団法人日本ホテル・レストランサービス技能協会公式サイトに詳細な情報があるので必要に応じて確認してみてください。
合格率
レストランサービス技能検定の合格率は、3級がおよそ80%、2級がおよそ50%と過半数が合格します。
1級では合格者はぐっと減少し、合格率はおよそ20%です。
1年当たりの試験実施回数
レストランサービス技能検定は1年に1回開催されています。
4月に公示があり、5月頃から受験申請、8月中旬に学科試験があります。
この学科試験に合格した人だけが10月から11月頃に行われる実技試験を受験することができます。
12月に合格発表があり、実技試験に合格していれば、晴れてレストランサービス技能士を名乗ることができるようになります。
試験科目
学科試験と実技試験があります。
学科試験
学科試験の内容は以下のとおりです。
1.食品衛生及び公衆衛生
食品衛生に関する一般的な知識
公衆衛生に関する一般的な知識
2.料飲一般
食品に関する詳細な知識
西洋料理に使用される食材
西洋料理の調理法
飲料の種類及び特徴
宴会の種類及び運営
レストランサービスの種類、準備及び方法
3.レストランサービス
レストランサービスに関する詳細な知識
4.食文化
食文化に関する詳細な知識
5.施設の管理
レストランにおける施設とその取り扱い
6.苦情への対応
苦情への対応に関する詳細な知識
7.関係法規
食品衛生法(昭和22年法律第233号)関係法令のうちレストランサービスに関する部分
8.安全衛生
安全衛生に関する詳細な知識
実技試験
実技試験は、受検者が実際にサービスを行う様子を採点者がチェックする形式で行われます。
3級
・接客マナーおよびテーブルサービス
ランチタイム又は朝食における適切な接客・応対、テーブルセット、オーダー、伝票処理など
2級
・接客マナーおよびテーブルサービス
ディナータイムにおける適切な接客・応対、テーブルセット、オーダー、伝票処理、英会話など
1級
・接客マナー、テーブルサービス
ディナータイムにおける適切な接客・応対、テーブルセット、オーダー、伝票処理、英語および仏語での会話およびオーダー、カクテル作成・ワインサービスなど
・ワゴンサービス(デザート)
採点方式と合格基準
学科試験は真偽法形式で各級とも100題出題されます。
各級とも合格には60/100点以上が必要です。
実技試験においても60/100点以上が合格基準となります。
なお、学科試験に合格しなければ実技試験に進むことはできません。
取得に必要な勉強などの費用
レストランサービス技能士を目指すにあたっておすすめの書籍を紹介します。
レストランサービススタンダードマニュアル
発行:一般社団法人 日本ホテル・レストランサービス技能協会
商品名:レストランサービススタンダードマニュアル
価格:3,630円(税込)
写真やイラストが多いのが特徴で、一部QRコードを読み込むことで動画で実際の動きを確認することもできます。
初心者から熟練者まで幅広く役立てることができるわかりやすい1冊です。
西洋料理 料飲接遇サービス技法
発行:一般財団法人 職業訓練教材研究会
商品名:西洋料理 料飲接遇サービス技法
価格:3,718円(税込)
2色刷りでイラストや図表をふんだんに盛り込んであり、読みやすく理解しやすいのが特徴です。
レストランサービス技能検定の合格を目指すなら持っていたい1冊です。
その他の書籍
このほか、一般社団法人日本ホテル・レストランサービス技能協会では、レストランサービス技能検定の学科試験問題と解答解説集を販売しています。
1級・2級版 2,200円 3級版 各1,800円(税込)
3級・2級を受検するにあたって、実務経験を積む以外に「レストランサービス技能検定3級受検資格承認校」を卒業する方法があります。
承認された学校で必要な科目を修めることで受検資格を得ることができます。
たとえば、承認された専門学校に2年間通う場合の学費は280万円程度です。
受験料
技能検定試験の受検手数料は、どの級においても学科試験は6,500円です。
実技試験においては、3級が8,000円、2級が10,500円、1級が23,500円と級によって受検手数料が変わるため注意が必要です。
受験申込方法
2020年度よりWebによる受検申請を受け付けるようになりました。
日本ホテル・レストランサービス技能協会公式サイトから申し込みができます。
公式サイト→メニューバーより「技能検定詳細」→「技能検定WEB申請」の流れでレストランサービス技能検定WEB受検申請画面が表示されますので、説明に沿って申請しましょう。
まとめ
今回はレストランサービス技能士について紹介しました。
グローバル化がすすみ、レストランやホテルを訪れる人たちのニーズも多様化しています。
より高い接遇を提供できる人材の確保が各企業の急務となるでしょう。
お客様に心地よい時間を過ごしてもらう仕事に就きたいと考えている方、既に飲食業界で働いている方は、ぜひレストランサービス技能士にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
関連する記事はこちら
カフェプランナーについて