住宅・公共施設・店舗などの室内インテリア設計を手掛けるプロ、それがインテリアプランナーです。
インテリア関連の資格はいくつかありますが、その中でも建築分野により関わりが深いのが特徴です。
空間の用途を把握したうえで、その雰囲気を醸し出す演出力が求められます。
今回はそんなインテリアプランナーについてご紹介します。
Contents
適用する仕事
インテリアプランナーの資格が適用される仕事は複数あります。
施工管理、現場監理
内装のデザインや家具選びといったコーディネートだけでなく、施工現場の監督・管理もできるのがインテリアプランナーです。
現場の工程・安全・品質の管理や監督、発注者との打ち合わせや技術者の指導といった業務がメインです。
インテリアデザイン、デザインイメージ
ハウスメーカーで自社製インテリアのデザインを行う仕事です。
インテリアプランナーの特性として、建築基準法などに則ったデザインをすることが多いようです。
ウインドウトリートメント
機能性と美しさを両立しつつ、窓の周辺を整えるのがウインドウトリートメントです。
窓をオシャレにデザインするのはもちろん、1枚に厚手のドレープと薄手のレースを採用して調光を可能としたカーテン、冷気や暖気が入り込むのを防ぐ遮熱カーテン、犬の鳴き声や工事の騒音などを軽減する吸音カーテンなど、さまざまな機能のあるカーテンまで提案する仕事です。
インテリアリフォーム、インテリアプラン
顧客が要望にあわせてインテリアリフォームをするお仕事です。
- ビルトイン食器洗い乾燥機の後付け
- レンジフードの交換
- トイレのリフォーム
- カップボードの新設と収納
- 宅配ボックスの導入 など
インテリアカラーコーディネート
顧客ごとにインテリアの色合いを提案する場合もあります。
カラーコーディネートには以下のような案件の例があります。
- 窓から河川が望める家に住む客
ベースカラーに爽やかなオフホワイトの壁・床材、アソートカラーにアジアン色の強いダークブラウン、アクセントに青系を取り入れてリゾート風にまとめる - 庭に華やかな花壇や家庭菜園を置きたい客
ベースカラーをアイボリーに、アソートカラーを茶系にし土の色に見立て、ぬくもり感があるレッド系をアクセントカラーとしてソファカバーや壁面装飾に取り入れる - マンションの高層に住む客
ベースカラーをベージュに、アクセントにはパープルとブラックの二色を組み合わせて高級感を演出する
おおよその年収とキャリアパス
求人を探してみるとこのような案件があります。
おおよその年収
インテリアプランナーの年収は平均で400~500万円となっています。
一般的なサラリーマン・OLと同水準程度です。
- モデルルームプランナー(月収23万円)
- リフォーム設計(月収23万円)
- 新築インテリアコーディネート(月収20万円)
- 事務所内インテリアコーディネート(月収25万円)
- 輸入注文住宅インテリアコーディネート(月収25万円)など
キャリアパス
インテリアプランナーの働き方は会社に勤めるか独立してフリーで働くかの、大きく2つに分かれます。
会社に勤める場合
会社に勤める場合は以下の職場で働くパターンが多いでしょう。
仕様・規格の統一化がなされ、品質の安定したブランドを広範囲または全国規模で展開しているのがハウスメーカーです。
一方で、工務店は多くが地域密着型となっています。
各地域で詳しい情報を持つ大工が設計から施工まで管理する形態です。
ちょっとした住宅補修でも気持ちのいい対応をしてくれるところが多いですが、デザインセンスが多少古風な部分があります。
自分に合った方を選択すると良いでしょう。
施工会社は設計会社に従って見積作成をし、その見積にあわせて業者や資材を手配、さらに現場管理・什器破損や経年劣化を備えてのメンテナンスなどを行います。
インテリアプランナーにはより良い提案を適切なタイミングで行う提案力・即応力が求められます。
設計事務所には、組織系設計事務所とアトリエ系設計事務所があります。
組織系設計事務所は大規模な設計事務所をひと括りにしたものです。
意匠・建築の構造と必要な設備の監督管理、製図と製造に用いるCAD/CAM(キャド/キャム)、工場自動化システムであるFA(ファクトリーオートメーション)などのエンジニアリングシステムの計画・設計を行なっています。
実験的なデザインを採用することは少なく、堅実なデザインを得意とする組織が多いとされます。
アトリエ系設計事務所は個人の建築家・プランナーが経営する事務所です。
建築家の作家性を反映した設計が特徴で、独創的なデザインも多く見られます。
組織系設計事務所での修行を経て独立、アトリエ系設計事務所を経営する方も少なくないです。
フリーで働く場合
インテリアプランナーの中には自分で独立して事務所を興したり、フリーでさまざまな企業から依頼を受けたりして働いている方もいます。
独立した場合は営業やスケジュールの調整もすべて自分で行わなければなりませんし、仕事が安定して入ってくるとも限りません。
また、少なくとも2~3年の実務経験で交渉力・管理力などのスキルを培っておく必要もあります。
決して簡単ではありませんが、その分やりがいもあるでしょう。
認可団体
インテリアプランナーの認可団体は「公益財団法人 建築技術教育普及センター」です。
昭和57年9月に財団設立され、昭和62年3月に「インテリアプランナー試験」が開始されました。
受験条件
詳しくは後述しますが、試験科目には学科試験と設計製図試験があります。
そのうち学科試験には年齢などの制限がなく、どなたでも受験することができます。
設計製図試験は下記に該当する方のみ受験できます。
- 当該年度および前4年度(4年間)の学科試験の合格者
- アソシエイト・インテリアプランナー
- 建築士(一級、二級建築士、木造建築士)
合格率
令和2年度の試験結果は以下のような合格率でした。
- 学科試験:69.3%(実受験者数890人、合格者数617人)
- 設計製図試験:27.2%(実受験者数497人、合格者数135人)
インテリアプランナー試験に合格してもすぐにインテリアプランナーとして登録されるわけではありません。
- 高校・大学・専門学校でインテリアや建築に関する過程を修了している
- 建築士の資格を所有している
- インテリアに関連する実務経験が2年以上ある
以上のいずれかに該当することで、晴れてインテリアプランナーとして登録されることになります。
1年当たりの試験実施回数
試験実施回数は学科・設計製図試験それぞれ1回のみとなっています。
令和3年度の試験実施日は、学科試験が6月20日(日)、設計製図試験が11月21日(日)でした。
学科試験に合格しても、設計製図試験までの猶予は半年ありません。
難易度も高めなため、長い目で見て取り組んでいく必要があるでしょう。
試験科目
試験科目は学科試験と設計製図試験の2種類です。
4年以内に学科試験に合格、あるいは特定の資格を所有している場合にのみ設計製図試験を受けられます。
学科試験
学科試験の試験時間は2時間30分、出題数は50問です。
- インテリア計画
- インテリア装備
- インテリア施工
- インテリア法規
- 建築一般
設計製図試験
設計製図試験の試験時間は6時間です。
建築物における空間の使われ方、生活のイメージがわかるようなインテリア設計について問われます。
試験日が近づいてきたら注意事項を熟読した上で準備しましょう。
採点方式と合格基準
採点方式・合格基準はともに公表されていません。
取得に必要な勉強などの費用
認可団体である「公益財団法人 建築技術教育普及センター」から教材が発売されています。
改訂版インテリアプランナーガイドブック 学科試験編
- 出 版 社:新日本法規出版
- 商 品 名:改訂版インテリアプランナーガイドブック 学科試験編
- 価 格:2,750円(税込)
「インテリアプランナー」や新設される「アソシエイト・インテリアプランナー」の試験合格のための学習参考書です。
資格制度、試験概要、試験データ、出題範囲なども記載されています。
インテリアプランナーガイドブック 設計製図試験編
- 出 版 社:新日本法規出版
- 商 品 名:インテリアプランナーガイドブック 設計製図試験編
- 価 格:3,630円(税込)
こちらも試験合格のための学習参考書で、設計製図試験に対応しています。
同じく資格制度、試験概要、試験データ、出題範囲などについても記載されています。
加えて、公式サイトには過去問題も掲載されています。
「資格試験」→「インテリアプランナー」→「インテリアプランナー試験問題など」の順にアクセスすれば閲覧できますので活用してみてください。
受験料
受験手数料は以下の通りです。
- 学科試験 9,900円(税込)
- 設計製図 16,500円(税込)
受験申込方法
受験の申込には以下の書類が必要となります。
- 受験申込書(所定の用紙)
- 証明写真2枚(縦4.5cm×横3.5cm)
- 受験手数料払込受付証明書(所定の用紙)
- 建築士の免許証の写し
建築士資格で設計製図試験を申し込む場合のみ必要です。
この3点(もしくは4点)の書類を「公益財団法人 建築技術教育普及センター」本部へ郵送して申し込みます。
受験申込書は総合案内書とセットで、以下の場所で頒布されています。
- 郵送
- 普及センター各支部
- 日本インテリアプランナー協会各事務所
- 建築士会連合会各会館
- 日本インテリアデザイナー各事務所
- 日本商環境デザイン協会事務所
詳細は総合案内書を熟読して、誤りのないように申し込みましょう。
まとめ
今回はインテリアプランナーの仕事と資格についてご紹介しました。
インテリアプランナーにはインテリアと建築分野を広く手掛けられる、オールラウンダーな人材が求められます。
計画から施工まですべてに携わるためには、発想力・提案力・管理力など幅広いスキルが必要です。
また、歴史的建築家であるチャールズ・レニー・マッキントッシュ、アルネ・ヤコブセンなどが手掛けたデザインの知識も十分に蓄えておく必要があります。
難易度は高いですが、インテリアや建築に携わる方にとってキャリアアップに繋がる大きな資格です。
インテリアプランナーについて学び、建築に関する造詣を深めてみましょう。
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