広告美術仕上げ技能士とは、商品の魅力をひと目で消費者に伝える看板などを作り上げるスペシャリストになるための資格試験です。
この資格は国家資格である技能検定のうちのひとつで、都道府県職業能力開発協会で開催している広告美術仕上げ技能検定に合格すると取得できます。
この資格は3級~1級まであるようです。くわしくみていきましょう。
Contents
適用する仕事
広告美術仕上げ技能士が活躍するのは、わかりやすく言えば「看板屋さん」です。
広告美術で要求される仕事の内容は広範囲にわたり、広告板の製作・取り付け、電光サインの製作・取り付け、展示装飾、スクリーン印刷、木彫り・金属彫りの製作などがあります。
広告美術仕上げ技能士の主な就職先は、看板製作会社や広告代理店などです。
クライアントの希望に沿って効果的な広告を製作して、商品や企業の魅力を伝えるのが広告美術仕上げ技能士の役割です。
おおよその年収とキャリアパス
広告美術仕上げ技能士のみに絞るとデータが乏しかったため、ここでは看板製作関連の年収をお伝えします。
こちらの平均年収は408万円でした。日本の平均年収が441万円であるため、それよりはやや低い水準です。
広告美術仕上げ技能士はおもに粘着シートもしくはペンキで看板などを制作します。
通常の看板のほか、シャッター、船舶などに広告を施すこともあります。
電気工事士の資格を取得すれば、ネオンサインを手掛けることもできるようになります。
また、業界団体が設定する「屋外広告士」という資格は、屋外広告物の管理者や安全点検担当者になるための要件になっていることが多いです。
より幅広く手掛けたいと考える人は、これらの資格取得も視野に入れつつ、実務経験を積んでいきましょう。
認可団体
広告美術仕上げ技能士の資格を管理し、試験を実施しているのは「中央職業能力開発協会(JAVADA)」です。
試験は都道府県職業能力開発協会が実施しています。
<JAVADAの所在地>
〒160-8327
東京都新宿区西新宿7-5-25 西新宿プライムスクエア11階
受験条件
この資格は3級・2級・1級とあります。
3級
実務経験のみで受験可能
2級
3級合格者
3級を取得していなくとも、専門課程または特定専門課程の高度職業訓練を修了していれば、受験条件を満たすことができます。
1級
- 2級合格後2年以上の実務経験
- 3級合格後4年以上の実務経験
下位の級を取得していない場合は7年以上の実務経験で受験条件を得られます。
また、求められる経験年数は卒業・修了した学校および課程によって異なります。
1級の受験条件はとくに複雑なため、以下の表にまとめました。
学校・課程など | 実務経験年数 |
専門高校卒業 | 6年 |
短大・高専・高校専攻科卒業または専修学校(大学編入資格付与課程)卒業 | 5年 |
大学卒業または専修学校(大学院入学資格付与課程)卒業 | 4年 |
専修学校または各種学校卒業(厚生労働大臣が指定したものに限る) 800時間以上 | 6年 |
専修学校または各種学校卒業(厚生労働大臣が指定したものに限る) 1,600時間以上 | 5年 |
専修学校または各種学校卒業(厚生労働大臣が指定したものに限る) 3,200時間以上 | 4年 |
短期課程の普通職業訓練終了 700時間以上 | 6年 |
短期課程の普通職業訓練終了 700時間以上 | 6年 |
普通課程の普通職業訓練終了 2,800時間未満 | 5年 |
普通課程の普通職業訓練終了 2,800時間以上 | 4年 |
専門課程または特定専門課程の高度職業訓練修了 | 3年 |
そして、以下を修了・取得している場合は求められる実務経験が1年となります。
これは3級に挑戦する人、3級合格後に2級に挑戦する人も同様です。
- 専門課程または特定専門課程の高度職業訓練
- 応用課程または特定応用課程の高度職業訓練
- 長期課程または短期養成課程の指導員訓練
- 職業訓練指導員免許取得
合格率
3級:約66%
2級:約24%
1級:約10%
1級の合格者はおよそ1割と狭き門であることがわかりますね。
1年当たりの試験実施回数
学科試験および実技試験が、それぞれ年1回実施されています。
試験科目
どの級とも学科試験と実技試験があります。
学科試験の科目は6つあり、うち以下の5つはすべての級で共通しています。
- 施工法一般
- 材料
- デザイン
- 関係法規
- 安全衛生
このほか3級では、広告板粘着シート仕上げ法についての知識も問われます。
2級・1級では選択式で広告板ペイント仕上げ法、広告板プラスチック仕上げ法、広告板粘着シート仕上げ法のなかからいずれか1つを選んで解答します。
次は実技試験の内容です。
3級の実技試験
広告面粘着シート仕上げ作業
(広告面のデザイン構成、広告面のレイアウト、レタリング、広告面の粘着シート仕上げ)
2級の実技試験
- 広告面粘着シート仕上げ作業
(広告面のデザイン構成、広告面のレイアウト、レタリング、広告面の粘着シート仕上げ) - 広告面ペイント仕上げ作業
(広告面のデザイン構成、広告面のレイアウト、レタリング、調色、広告面のペイント仕上げ)
1級の実技試験
- 広告面粘着シート仕上げ作業
(広告面のデザイン構成、広告面のレイアウト、レタリング、広告面の粘着シート仕上げ、積算および見積り) - 広告面ペイント仕上げ作業
(広告面のデザイン構成、広告面のレイアウト、レタリング、調色、広告面のペイント仕上げ、積算および見積り)
採点方式と合格基準
合格基準は100点を満点として、学科試験が65点以上、実技試験が60点以上です。
学科試験は、真偽法および四肢択一式で出題されます。
広告面ペイント仕上げ作業では、仕様誤り・寸法・できばえ・仕上げ・調色のほか、作業態度が採点されます。
取得に必要な勉強などの費用
中央職業能力開発協会にて、技能検定試験問題集を購入できます。公式サイトを確認しましょう。
この問題集は広告美術仕上げ技能士だけではなく、技能検定の職種全体についての学科試験と実技試験問題1年分を収録しています。
ぜひ役立てましょう。
3級技能検定試験問題集 平成30・31・令和元年度版 第1集
発行元:中央職業能力開発協会
商品名:3級技能検定試験問題集 平成30・31・令和元年度版 第1集
価格:¥1,650(税込)
3級技能検定試験問題集 平成30・31・令和元年度版 第2集
発行元:中央職業能力開発協会
商品名:3級技能検定試験問題集 平成30・31・令和元年度版 第2集
価格:¥1,650(税込)
受験料
学科試験:3,100円
実技試験:18,200円
受験申込方法
まずは、受験申請書を受験する都道府県の都道府県職業能力開発協会から取り寄せます。
受験申請書に必要事項を記入した後、必要枚数の写真(6ヶ月以内の正面脱帽半身像)を貼ります。
そして、受験料を所定の期日までに納付します。
納付したら、都道府県職業能力開発協会へ、受付期間内に郵送または直接持参により提出しましょう。
まとめ
今回は技能検定制度の1つである「広告美術仕上げ技能士」という資格を取り上げました。
看板製作などの技能を証明することができる資格です。
資格手当を出したり、取得支援をしたりしている企業もあります。
中央職業能力開発協会で技能検定試験問題集が購入できますから、受験の際はそれらで対策をしましょう。
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