今日は運行ではなく運航(航空機)に関する資格についてお伝えします。
運航管理者とは、運航管理者技能検定に合格した者のことを指します。運航管理者はディスパッチャーとも呼ばれます。
空の仕事といえばパイロットやキャビンアテンダント、整備士などが浮かびますが、運航管理者はどのように航空機に関わるのでしょうか。
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適用する仕事
運航管理者が関わる仕事は大きく分けて2つです。
フライトプラン(飛行計画)の作成
気象状況や各種運航情報を確認したうえでフライトプランを作成します。
毎日運航する定期便で変わらないのはフライト時刻だけです。天候は常に変化し、乗客数も異なります。
このように日によって変わる条件を加味して飛行コースや高度を決めたり、乗客・貨物の総重量に応じて積み込む燃料の量を決定したりします。
作成したフライトプランについて機長に説明するのも運航管理者の仕事です。
機長からの同意を得てフライトプランは正式に承認され、国土交通省航空交通管制センターに提出されます。
こうした飛行前のデータ収集はコンピュータやインターネットの発達によって以前よりも容易になったようです。
飛行監視業務
これは運航中の予期せぬ事態に備えるための業務です。
上記のように航空機は通常フライトプランにしたがって飛行しますが、天候の急変や飛行中の旅客の急病、航空機の故障、ハイジャックなど不測の事態が発生する可能性もあります。
運航管理者は、こうした緊急時にパイロットをサポートする役割も担っています。
以上、運航管理者の仕事内容について紹介しました。これらをまとめると以下のようになります。
- 航空路の天候や気流の状態、航空機の乗客数や貨物の重量など運航に関する情報を収集する
- 運航に必要な最新の気象情報を乗務員に伝える
- 安全で効率の良い飛行コースや高度を決定し、フライトプランを作成する
- 機長にフライトプランを説明し、承認されたフライトプランを航空管制センターに提出する
- 航空機の運航中、運航状況を監視して必要な航路の情報を機長に知らせる
- 乗務員と交信し、機内に異常がないかを確認して、現在位置を把握する
- 悪天候などで目的の空港に着陸できないときには代わりの着陸地の手配をする
おおよその年収とキャリアパス
運航管理者の働き口は、全国の空港です。
外国の航空会社の空港支店や、日本の航空会社が乗り入れている海外の支店で働く場合は海外勤務となります。
規模の大きな企業では転勤の可能性があります。転勤なしで働きたい場合はローカルエアラインへの就職を目指しましょう。
2021年度の調査によると、航空機運航管理者(ディスパッチャー)の平均年収は467万円でした。
全国平均年収は436万円であるため、それよりかは高い水準になっています。
役職に就くとより高い収入を得ることができるでしょう。以下は一例です。
- 係長 579万円
- 課長 757万円
- 部長 913万円
また、運航管理者には夜勤もありますので、その場合は別途手当が支給されます。大手航空会社では賞与の支給もあるでしょう。
ただし、契約社員の場合は時給1,000円~1,100円程度からスタートすることが多いようです。
認可団体
運航管理者は国家資格です。運航管理者技能検定を主催しているのは国土交通省です。
国土交通省 航空局安全部 運航安全課技能審査係
〒100-8918
東京都千代田区霞が関2-1-3
TEL:03-5253-8111
受験条件
以下のいずれかの条件に当てはまる21歳以上の方が受験することができます。
- 操縦、空中航法、気象業務、航空機に乗り組んでの無線設備の操作、航空交通管制の業務のうち、いずれか1つの経験を2年以上、もしくは2つ以上の経験をそれぞれ1年以上有する者
- 運航管理者の業務の補助の業務経験を1年以上有する者
合格率
合格率は公表されていません。
1年当たりの試験実施回数
学科試験は毎年3月、7月もしくは8月です。
つまり年2回実施されています。
もし惜しくも合格しなかった場合は、1年以内であれば合格した科目が免除になります。
つまり、4回の試験以内に全ての科目を合格することができれば実地試験へ進むことができます。
実地試験は随時です。
学科試験の合格通知日から2年以内の希望日に行われます。
合格発表は実地試験合格者に文書で通知されます。
試験科目
- 空中航法
- 航空法規
- 航空気象
- 航空工学
- 航空通信
- 施設
- 天気図の解説
- 航空機の航行の援助
採点方式と合格基準
学科試験は4肢または5肢択一式です。科目ごとに100点満点中70点が合格ラインです。
学科試験に合格した人のみが実地試験を受けることができます。
科目 | 問題数 | 時間 |
空中航法 | 20問 | 2時間 |
航空法規 | 20問 | 40分 |
航空気象 | 20問 | 1時間 |
航空工学 | 20問 | 1時間 |
航空通信 | 20問 | 40分 |
施設 | 10問 | 40分 |
取得に必要な勉強などの費用
運航管理者ならではの公式テキストは、残念ながらありません。
学科試験の科目に合ったテキストを各自で見つけるしかないでしょう。
おすすめの書籍を紹介します。
発行元:日本航空機操縦士協会商品名:AIM-JAPAN 2022年後期版
価格:¥5,500(税込)
こちらは航空機の運航に必要な基本的情報、一般的な飛行の手順、気象に関する基本的な情報、航空の安全に影響を与える諸要素の解説、日本の運航に参考となる諸資料および航空管制に関する用語の解説も載っています。航空局と気象庁が監修しました。
また、国土交通省の公式サイトでは「運航管理者技能検定」の過去問が公開されていますので、それらも参考にして勉強してみてください。
実地試験対策については、やはり実務をこなすことで経験と技術、知識を培うのがよいでしょう。
受験料
学科試験:5,600円
実地試験:49,300円
受験申込方法
学科試験および実地試験の両方を受験する際に、以下のものが必要です。
- 運航管理者技能検定申請書
- 納付書(手数料相当の収入印紙を貼付)
- 航空経歴書
- 返信用封筒(2通)
- 学科試験の科目免除を申請する方は学科試験結果通知書(本信)
- 外国のライセンスを有する者が科目の免除を申請する場合には、当該ライセンスの写し
また、実地試験の受験を申し込む際には以下のものが必要です。
- 実地試験受験申込書
- 納付書(手数料相当の収入印紙を貼付)
- 住民票(本籍が記載されたもの)
- 学科試験結果通知書の写し
まとめ
今回は運“航”管理者という資格についてお伝えしました。
航空関連企業への就職がこの資格への第一歩です。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で空の便も減便となり、採用人数も例年並みとはいかない数年となりましたが、それらもやがて回復に転じるでしょう。
これから就職を目指す方も、すでに航空業界で活躍されている方も、ぜひ運航管理者の取得を検討してみてください。
実務経験や学科試験の勉強など、越えるべきハードルは決して低いとは言えませんが、取得すれば必ず役立つ資格であることは間違いありません。
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