航空関係の資格ってたくさんありますよね。
今回はその中から「航空工場整備士」という資格について、お伝えします。
この資格は航空機の部品の整備を行うのに必要です。
自動車に自動車整備士の職業の方がいるように、航空機にもそれ専用の整備士がいます。
どのような資格なのでしょうか。
Contents
適用する仕事
航空工場整備士とは、飛行機を構成するパーツの整備を行うスペシャリストのことです。
飛行機の整備が終わった後に、その飛行機がちゃんと飛行に耐えられるかどうかの基準を満たしているかのチェックを行います。
この仕事は非常にハイレベルな知識とハイレベルのテクニックが必要ですし、些細な間違いをも見つけ出す繊細な観察眼を持っていることも求めれます。
少しの欠陥でも、大きなアクシデントになりかねませんので、高いスキルが必要です。
飛行機自体もどんどん進化しているので、航空工場整備士側もその進化に適応して技能を高めることが重要になります。
航空工場整備士の資格を持っていると、航空機が飛行に耐えられる基準を満たしているかを確認でき、航空機事故を防ぐことができます。
それによって、乗客の命を守り、航空会社の信頼性を守ることにもつながります。
似たような資格に航空整備士があります。
航空整備士は大型機や小型機の整備と検査をするのに対し、航空工場整備士は部品の整備を行うのが仕事です。
航空工場整備士は下記のような現場で働くことに適しています。
- 航空機会社系列の整備会社
- 航空機の製造会社
- 航空機に使用する計器類を作る会社
- 警察や消防(救助用の小型機やヘリコプターを所有しているため)
- テレビ局や新聞社、病院など(こちらも小型機やヘリコプターを所有しているため、就職・転職に有利に働く場合がある)
おおよその年収とキャリアパス
航空工場整備士の年収は勤務する会社によって、異なってきます。
民間の整備会社の場合ですと30代で400万円前後、40代で600万円前後が多いです。
しかし、空港勤務の場合は早朝~深夜のシフト制の仕事ですので、体力を使うしハードです。
夜勤があるということで、残業代が付くと給料額は少し増えます。
航空機工場整備士は資格を取得したら、前項目で挙げたような現場で勤務するのが一般的です。
あるいは、取材用のヘリコプターを使用するテレビ局や官公庁で活動することもあり得ます。
この資格を保有しているからといって、独立できるわけではありません。
しかし、昨今では格安エアラインが台頭してきていますから、飛行機の発着数はどんどん増えてきています。
それに飛行機も進化し、パーツも細かく複雑になってきていますのでこの資格の需要はあります。
将来的にも、グローバル化が進んでいますから航空業界が縮小する可能性は少ないです。
今後はハイテクの知識と技術を習得し、それを実行できる航空工場整備士のニーズが高まると予想されるでしょう。
認可団体
航空工場整備士は国家資格なので、認可団体は国土交通省です。
受験条件
18歳以上で、なおかつ各種別(限定作業)に関する業務について2年以上の実務作業経験を有する者
- 機体構造関係
- 機体装備関係
- ピストン発動機関係
- タービン発動機関係
- プロペラ関係
- 計器関係
- 電子装備品関係
- 電気装備品関係
- 無線通信機器関係
合格率
合格率は近年80%ほど
1年当たりの試験実施回数
学科試験は年2回、3月と7月に実施されます。
実地試験は学科試験合格者に対して、合格通知日から2年以内に受験者の受験希望日などを考慮して試験が実施されます。
試験科目
学科試験と実地試験があります。
学科試験
- 航空力学・取扱知識
- 機体知識
- 整備・改造・点検知識
- 法規
学科試験は1問5点の配点です。
実地試験
- 機体の装備品の取扱
- 整備・検査
- 搭載重量配分・重心位置の計算
採点方式と合格基準
学科試験は複肢択一式です。
実地試験は受験者の技量をみて試験を行います。
学科試験に合格しなければ実地試験は受けられません。
学科試験の合格基準は100点満点中70点以上が合格です。
合格した科目は1年以内に行われる試験までは、免除扱いになります。
実地試験の合格基準ですが、以下の3つのうち1つでも該当すると不合格になります。
- 基本技術などに関して1科目でも判定基準に達しないとき
- 実機に関して1科目でも判定基準に達しないとき
- 専門技術に関して1科目でも基準に達しないとき
取得に必要な勉強などの費用
資格を取得するには、航空保安大学校や航空関連の専門学校で航空機整備の養成を受けるのが効率の良い勉強法でしょう。
航空保安大学校は学生ですが、国家公務員になるため入学金や授業料といった学費を納入する必要はありません。
他には下記のような専門学校があります。
学校名 | 学費 |
日本航空大学校3年制(航空整備科) | 計333万円 |
国際航空専門学校3年制(航空整備科) | 計347万円 |
成田国際航空専門学校(航空整備学科) | 2年間で220万円 3年間で350万円 |
大阪国際航空専門学校2年制(航空整備士学科) | 273万6千円 |
また、国土交通省のホームページに航空工場整備士の過去問が載っています。
そちらも利用して勉強しましょう。
「航空工場整備士」向けの公式テキストはありませんが、学科試験に関しては「航空整備士」の勉強と重なる部分があります。
いくつかおすすめの書籍をご紹介します。
航空整備士になる本
出版社名:イカロス出版
商品名:航空整備士になる本
価格:¥1,834(税込)
こちらの書籍は現役航空整備士や航空会社の採用担当者、航空整備士を養成する学校の教官などを取材し、航空整備士への道筋や航空整備士に必要な資格、求めている人材像、そして仕事の醍醐味にも分かりやすく紹介しています。
きちんと知りたい!飛行機メカニズムの基礎知識
出版社名:日刊工業新聞社
商品名:きちんと知りたい!飛行機メカニズムの基礎知識
価格:¥2,200(税込)
飛行機を対象に、そのメカニズムを丁寧に図解で解説している書籍です。
飛行機のメカニズムを学びたい人はもちろん、機械制御やメカニズム関連の技術者でも興味を持って読めるよう工夫されています。
2ページ見開き構成で、サクサク読める本格的な内容になっている図解本です。
改訂版 航空機整備作業の基準 AC43(第2版)
発行元:日本航空技術協会
商品名:改訂版 航空機整備作業の基準 AC43(第2版)
価格:¥5,500(税込)
米国民間航空規程第18部「機体、動力装置、プロペラ及び装備品の整備、修理及び改造」の改訂版というもので、米国連邦航空局が航空機および装備品の検査、整備および改造に関するマニュアルとして、作られた書籍です。
航空機の検査業務に携わる方はもちろん、整備・修理・改造に従事する方たちにも常識として身に付けていただきたい書籍です。
航空機の基本技術(第8版)
発行元:日本航空技術協会
商品名:航空機の基本技術(第8版)
価格:¥5,170(税込)
こちらは航空整備士試験の実地対策に向けた書籍ですが、航空工場整備士にも充分参考になるかと思われます。
実地試験に必要な項目をすべて網羅している書籍です。
受験料
学科試験:5,600円
実地試験:50,100円
それと、受験合格後に登録免許税が9,000円がかかります。
受験申込方法
航空従事者は技能証明等学科試験の申請を、東京航空局保安部運航課検査乗員係または大阪航空局保安部運航課検査乗員係にて受け付けます。
申込期間内に、学科試験受験申請書を提出してください。
その他、ご不明の点は下記の連絡先へ問い合わせてみてください。
航空局 安全部 安全政策課 学科試験担当
03-5253-8111
東京航空局 保安部 運航課 検査乗員係
03-5275-9321
大阪航空局 保安部 運航課 検査乗員係
06-6949-1090
または国土交通省の航空:航空従事者関連のホームページを、ご確認ください。
まとめ
今回は航空機の部品を整備する「航空工場整備士」という資格を、ご紹介しました。
航空機に関わる資格はいくつかあります。
航空工場整備士の資格を持っていると、航空機が飛行に耐えられる基準を満たしているかを確認でき、航空機事故を防ぐことができるため乗客の安全にもつながります。
勉強方法として「航空整備士」と内容が重なります。
ぜひ、そういった関連の書籍を調べていただき、勉強してみてください。
認可団体は国土交通省ですので、わからないことがあったらそちらから情報を確認しましょう。
関連する記事はこちら
航空管制官について