銀行業務検定について

銀行業務検定について

銀行業務検定とは金融機関に従事している職員を対象に、技能向上を目的として実施されている試験です。
実務能力水準の向上に寄与することを願って1968年からずっと続けられている検定です。
実はこの資格は1つの試験ではなく、法務、財務、税務など多くの種目からなる資格名になっているのです。
正確には銀行業務検定というのは、銀行、保険、証券業務などを行う際に必要になるスキルアップのための総称の資格試験です。
どのような中身になっているのか詳細を見ていきましょう。

適用する仕事

冒頭でも紹介したように銀行業務検定とは、経済法令研究会が実施している教育研修事業のフォローや最終ゴールとして設けられた資格です。
この資格の対象は金融業界に勤務している人向けです。
金融機関に従事している職員を対象に取得するよう設けられた検定なので、もし銀行内で働き続けるなら取得しておいた方が良いでしょう。

他の使い方としてこの資格は法務、財務、税務などいろいろな種類の試験が設定されているので、民法や商法の基礎知識を問う問題が多いです。
行政書士、司法書士、宅地建物取引主任者などの資格取得を目指す方が基礎の力試しのように受験されることもあります。

融資の相談をする男性

おおよその年収とキャリアパス

銀行業務検定を取得すると、資格手当として月額5千円以上が給料にプラスされます。
年換算だと6万円になるので資格を持っているのと持っていないとでは手取り額が変わってきます。

ちなみに、2021年8月に発表された「平均年間給与」調査によると、国内78銀行の2021年3月期の平均年収は606万6,000円でした。
メガバンクと呼ばれる大手都市銀行に勤める総合職の社員(役職)の場合は30代後半で年収1,000万円を超えるケースもあります。

銀行業務検定は銀行内で働いている時に役立つ資格です。
となると、銀行内でキャリアアップするのが良いでしょう。

ゼネラリストとして経験を積む

銀行員は一般的に、まず法人営業部に配属されます。
そして、3年ほどで異動となるケースが多いです。

その後は企画部や審査部などの部署を回り、異動のたびに異なる業務を担当してゼネラリストとして成長していくのです。
銀行に関するさまざまな業務を経験することでキャリアアップをする方法です。

ちなみに、出世しているような銀行員は2、3回目の異動で花形な印象のある店舗や業務に就いていることが多いです。

管理職を目指す

また、支店長や執行役員などの管理職を目指すこともキャリアパスの1つです。
店内業務の担当者をマネジメントする業務を経て、管理職へ昇進するパターンです。
課長や次長クラスになってくると、営業として成果を出すこととマネジメントできることの証明が管理職になる大きなカギです。

女性マネージャー

認可団体

銀行業務検定を主催している団体は「銀行業務検定協会」というところです。

所在地
銀行業務検定協会/検定試験運営センター
〒162-8464
東京都新宿区市谷本村町3-21

TEL:03-3267-4821
FAX:03-3267-4999

1967年7月 銀行業務検定協会設立(東京都千代田区神田)
1968年2月 第1回銀行業務検定試験(法務3級)スタート
1998年3月 新社屋完成

受験条件

受験条件はありませんので、どなたでも取得可能です。

合格率

こちらの試験は種目がたくさんある資格です。
ですので、分類が細かくなります。

法務

融資管理3級 2021年3月 47.50%
法務2級 2021年10月 27.31%
法務3級 2021年10月 21.05%
法務4級 2021年10月 66.84%

財務

財務2級 2021年10月 26.75%
財務3級 2021年6月 34.23%
財務4級 2021年6月 62.34%

税務

税金のイメージ

税務2級 2021年3月 26.09%
税務3級 2021年10月 28.58%
税務4級 2021年3月 71.87%

年金

年金アドバイザー2級 2021年3月 21.87%
年金アドバイザー3級 2021年10月 35.16%
年金アドバイザー4級 2021年3月 66.47%

DCプランナー・DCアドバイザーについて

信託・証券

証券3級 2021年10月 56.11%
信託実務3級 2021年6月 63.84%

マネジメント

金融リスクマネジメント2級 2020年10月 29.64%
営業店マネジメントⅠ 2021年10月 23.42%
営業店マネジメントⅡ 2021年10月 55.24%

融資・渉外

経営支援アドバイザー2級 2021年3月 51.63%
窓口セールス3級 2021年6月 43.4%
法人融資渉外2級 2020年10月 22.42%
法人融資渉外3級 2020年10月 24.04%
事業性評価3級 2021年6月 51.29%
個人融資渉外3級 2020年10月 42.15%
デリバティブ3級 2021年6月 35.76%
事業承継アドバイザー3級 2021年10月 55.89%

外為

外国為替2級 2021年3月 27.36%
外国為替3級 2021年10月 45.11%

金融経済

金融経済3級 2021年6月 49.18%

預かり資産等

投資信託2級 2021年10月 41.93%
投資信託3級 2021年3月 56.69%
金融商品取引3級 2021年10月 27.31%
預かり資産アドバイザー2級 2020年10月 26.01%
預かり資産アドバイザー3級 2021年10月 72.7%
保険販売3級 2021年10月 46.33%

相続

相続の相談をする家族

相続アドバイザー2級 2021年3月 44.33%
相続アドバイザー3級 2021年10月 38.44%

1年当たりの試験実施回数

原則1回です。
ただし、下記の試験だけは年2回のチャンスがあります。

年2回受験できる種目
  • 法務3・2級
  • 財務3・2級
  • 税務3級
  • 年金アドバイザー3級
  • 外国為替3級
  • 相続アドバイザー3級

試験科目

資格にチャレンジ!

種目ごとに違います。
なお、金融リスクマネジメント2級は2022年6月5日、投資信託2級は2023年3月5日が最終実施日となります。

融資管理3級

  1. 融資管理通則
  2. 倒産の予知と対応
  3. 倒産時の対応
  4. 任意回収
  5. 担保権の実行による回収
  6. 仮差押え・仮処分
  7. 強制執行による回収
  8. 整理手続による回収
  9. 債権償却
  10. その他

法務2級

  1. 預金
  2. 手形・小切手(手形交換を含む)
  3. 融資(担保・保証・管理・回収を含む)

法務3級

  1. 預金(定期積金、内国為替を含む)
  2. 融資(管理・回収を含む)
  3. 手形・小切手(手形交換を含む)
  4. 銀行取引関連法(銀行法、民法、商法、会社法、金融商品販売法、消費者契約法、個人情報保護法、金融商品取引法ほか)

法務4級

必須科目
  1. 預金
  2. 手形・小切手
選択科目

以下1と2のどちらかを選択

  1. 融資
  2. 内国為替

財務2級

財務諸表・財務分析(非財務的要素を含む)

財務3級、財務4級

それぞれ

  1. 財務諸表
  2. 財務分析

税務2級

  1. 所得税
  2. 相続税・贈与税
  3. 法人税など

税務3級

  1. 所得税
  2. 相続税・贈与税
  3. 法人税
  4. その他の税金

税務4級

  1. 税も常識
  2. 所得税(金融商品と税金・不動産所得・譲渡所得等)
  3. 相続税・贈与税
  4. 法人税
  5. その他の税金(地方税・登録免許税・印紙税・消費税等)

年金アドバイザー2級

  1. 社会保険制度の概要・沿革
  2. 公的年金制度の仕組み
  3. 年金給付と支給要件・年金額計算
  4. 企業年金・個人年金の仕組み
  5. 雇用・医療・介護保険制度
  6. 年金・退職一時金の税金
  7. 年金相談とその対応の仕方

など

年金アドバイザー3級

  1. わが国の社会保険制度とその仕組み
  2. 年金制度とその仕組み
  3. 年金給付の種類と支給要件
  4. 企業年金個人年金の仕組みの要点
  5. 裁定請求手続きと年金受給者の手続き

など

年金アドバイザー4級

  1. 年金の基礎
  2. 老齢給付
  3. 障害・遺族給付
  4. セールス・その他

証券3級

  1. 証券業務
  2. 証券発行市場
  3. 証券流通市場
  4. 資金調達・運用、その他

信託実務3級

  1. 信託の基礎
  2. 定型的な金銭の信託
  3. 従業員福祉に関する信託
  4. 証券に関する信託
  5. 資産流動化に関する信託
  6. 動産・不動産に関する信託
  7. その他の信託・併営業務

金融リスクマネジメント

  1. リスクマネジメントの基本
  2. 金融商品に関するリスク
  3. 営業店におけるリスク

営業店マネジメントⅠ

  1. 経営の基本
  2. 人事・組織管理
  3. 事務管理
  4. 営業推進
  5. 業績管理
  6. リスク管理
  7. 経営関連一般常識

営業店マネジメントⅡ

  1. 人事・組織管理
  2. 業務管理
  3. 営業推進
  4. 一般常識(金融・経済等の時事的問題)

経営支援アドバイザー2級

  1. 金融機関と企業支援
  2. 企業支援と財務改善・経営革新
  3. 企業支援手法
  4. 企業支援と中小企業金融検査マニュアル
  5. 企業支援と法律・税金

窓口セールス3級

  1. 窓口対応
  2. 業務知識
  3. 技能・応用

法人融資渉外2級

  1. 資金ニーズの把握
  2. 資金使途の検討
  3. 業界動向・特性の見方
  4. 財務分析・資金繰り分析
  5. 担保・保証
  6. コンプライアンス
  7. 保証協会の利用による融資推進

など

法人融資渉外3級

  1. 融資推進
  2. 情報収集と活用
  3. 企業の実態把握
  4. 資金ニーズの把握
  5. 融資プラン
  6. 融資の実行と管理・回収
  7. コンプライアンス
  8. 保証協会の利用による融資推進

など

事業性評価3級

  1. 事業性評価の必要性と理解
  2. 取引先企業を取り巻く環境の理解
  3. 取引先企業が属する業界の理解・分析
  4. 取引先企業の定量的・定性的把握と分析
  5. 策定計画の実行に伴う支援(業績改善のための金融支援等)

など

個人融資渉外3級

  1. 使途別各種資金ニーズの把握
  2. 情報収集と活用
  3. 零細企業の資金ニーズの把握
  4. 融資プラン
  5. ローン商品知識
  6. ローン実行手続き
  7. 担保・保証

など

デリバティブ3級

  1. 基本知識
  2. 先物取引・フォワード取引
  3. オプション取引
  4. スワップ取引
  5. リスクほか

事業承継アドバイザー3級

  1. 事業承継の基本知識
  2. 事業承継と金融実務
  3. その他関連知識など

外国為替2級、3級

  1. 基本問題(3級のみ)
  2. 輸出為替
  3. 輸入為替
  4. 予約・為替相場
  5. 貿易外取引
  6. 資本取引・国際金融

金融経済3級

  1. 金融
  2. 経済
  3. 財政

投資信託2級

  1. 投資信託の仕組み
  2. 投資信託の運用
  3. 投資信託のセールス・窓口業務
  4. マーケット感覚の養成

など

投資信託3級

  1. 投資信託の仕組み
  2. 投資信託の運用
  3. セールス上の留意点
  4. マーケット感覚の養成

など

金融商品取引3級

  1. 金融商品取引法等の基礎知識
  2. 金融機関のリスク性商品
  3. 金融機関が販売・仲介できるリスク性商品
  4. リスク性商品取扱いに関する行為規制
  5. 罰則規定など

預かり資産アドバイザー2級

  1. 預かり資産の商品知識・事務知識
  2. マーケットの見方
  3. 預かり資産セールスの展開
  4. 預かり資産セールスとコンプライアンス

預かり資産アドバイザー3級

  1. 資産運用の考え方と預かり資産の商品知識
  2. マーケットの見方
  3. 預かり資産セールスの基本
  4. コンプライアンスとトラブルの防止
  5. アフターフォローのポイント

保険販売3級

  1. 保険業務の基礎知識
  2. 生命保険商品取扱いの知識
  3. 損害保険商品取扱いの知識
  4. 保険販売業務知識

相続アドバイザー2級

  1. 相続知識
  2. 相続対策(生前対策)
  3. 相続アドバイス
  4. 相続手続

相続アドバイザー3級

  1. 相続の基礎知識
  2. 相続と金融実務
  3. その他周辺知識
  4. 上記範囲での事例問題

採点方式と合格基準

ボーダーライン

試験はCBT方式で行われます。

種目 採点方式
融資管理3級 五答択一式
法務2級 三答択一式
法務3級 五答択一式
法務4級 三答択一式
財務2級 記述式
財務3級 五答択一式
財務4級 三答択一式
税務2級 三答択一式と記述計算式
税務3級 五答択一式
税務4級 三答択一式
年金アドバイザー2級 記述式
年金アドバイザー3級 基本知識は五答択一式、技能・応用10事例
年金アドバイザー4級 三答択一式
証券3級 五答択一式
信託実務3級 五答択一式
金融リスクマネジメント2級 四答択一式と記述式
営業店マネジメントⅠ 事例付記述式
営業店マネジメントⅡ 金融・経済等の時事的問題は四答択一式、他は記述式も含む
経営支援アドバイザー2級 四答択一式と事例付記述式
窓口セールス3級 五答択一式
法人融資渉外2級 記述式
法人融資渉外3級 五答択一式、事例付記述式、記述式
事業性評価3級 四答択一式、事例付四答択一式
個人融資渉外3級 五答択一式、記述式
デリバティブ3級 五答択一式
事業承継アドバイザー3級 四答択一式、事例付四答択一式
外国為替2級 記述式
外国為替3級 五答択一式
金融経済3級 五答択一式
投資信託2級 記述式
投資信託3級 四答択一式、事例付四答択一式
金融商品取引3級 四答択一式、事例付四答択一式
預かり資産アドバイザー2級 四答択一式、計算・記述式
預かり資産アドバイザー3級 四答択一式
保険販売3級 四答択一式
相続アドバイザー2級 四答択一式、記述式
相続アドバイザー3級 四答択一式、事例付四答択一式

合格基準は法務2級が満点の50%の得点率で、それ以外は60%以上の得点率です。

取得に必要な勉強などの費用

試験は種目によって違います。
その種目ごとのテキストや問題集が販売されています。
費用は1冊3,000円台です。

受験料

受験料

受験料も種目や各級ごとに違います。
受験料は税込です。

4,950円

法務4級、財務4級、税務4級、年金アドバイザー4級

5,500円

法務3級、金融商品取引3級、融資管理3級、財務3級、税務3級、デリバティブ3級、預かり資産アドバイザー3級、保険販売3級、投資信託3級、年金アドバイザー3級、相続アドバイザー3級、金融経済3級、窓口セールス3級、法人融資渉外3級、事業性評価3級、個人融資渉外3級、事業承継アドバイザー3級、外国為替3級、信託実務3級、証券3級

8,250円

法務2級、財務2級、税務2級、預かり資産アドバイザー2級、投資信託2級、年金アドバイザー2級、相続アドバイザー2級、法人融資渉外2級、外国為替2級

8,800円

営業店マネジメントⅡ

9,350円

経営支援アドバイザー2級、金融リスクマネジメント2級

9,900円

営業店マネジメントⅠ

受験申込方法

銀行業務検定協会の公式ホームページを検索していただき、右上の「試験申し込み」をクリックして申し込んでください。

まとめ

銀行

ここまで長くなりましたが「銀行業務検定」についてお伝えしました。
銀行業務検定は11の種目からできています。
それを全部ではなく、ご自分の必要な種目を選んで受験しましょう。
たくさんの種目がありますから、試験科目はどれかいくらの受験料が必要か確認しながら受験してくださいね。

 

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