古民家鑑定士について

古民家鑑定士について

古民家鑑定士とは、文字通り古民家を文化的観点から評価し、その価値を鑑定する仕事であり、検定です。
古民家というのは築50年以上の日本の住宅、もしくは昭和25年の頃までにすでに建てられていた「伝統的建造物の住宅」(すなわち伝統構法)であると定義されています。
そうした建造物を理解し、次世代につなげていくのが役目です。
古民家の造りを活かしてカフェや店舗などのリノベーションが行われているのを見かけると、古民家の鑑定士はなくてはならない存在でしょう。
今回、古民家鑑定士という資格はどう取得していくのかみていきます。

適用する仕事

古民家

古民家鑑定士は、古い民家の保存・活用・再利用を目的に、建築的見地および環境保全の見地に立って専門的知識と技術を持って適切な助言をできる能力があると見なされている資格です。

どんな人が受験しているかというと、住宅メーカーや工務店など建築関係や不動産関係の方が多いです。
そうした方は古民家鑑定士として鑑定した物件の改修・改装、または売買を請け負う目的のために古民家の「知識の習得」と「肩書き」として受験する人がほとんどです。
大手ハウスメーカーの新築やリフォームを担当される営業職の方も多く取得しています。

古民家鑑定士の主な業務は大きく分けて3つあります。

古民家の調査・判定・提案

これは築50年以上の古民家や在来工法の木造住宅を実際に鑑定するということです。
建築的見地ならびに文化的な住環境など総合的な判断に基づいて、「古民家鑑定書」を発行します。
この業務をすることによって、古民家物件の新たな価値の創造を行い、利用者に提案していきます。

古民家再生、活用の促進・流通経路の構築

これは古民家の移築や再生事業を通じて再利用可能な住文化を利用者に提案します。
これと同時に古民家の流通経路を築きます。
他には、適正価格での古民家や伝統資材の流通システムを伝統資材施工士と協力して構築します。

古民家の社会的認知を促す

古民家が長期的住宅であることを利用者へ伝え、可能な限り残していけるように社会的認知を促します。
また、伝統資材を活用した住宅や店舗の設計、施工など提案を行います。

おおよその年収とキャリアパス

古民家アドバイザー

古民家鑑定士が活躍できる就職先は住宅・不動産・リフォーム関係です。
平均年収は300万~400万円程度です。

上記の【適用する仕事】でも触れたように、古民家鑑定士は住宅メーカーや工務店など建築関係や不動産関係の方が自身の業務のために受験しています。
つまり、本業はそうした企業にお勤めの方です。
そうしたところで扱う物件の知識や技術を習得させるために資格を目指します。

住宅メーカーでのキャリアパスは、例えば長く働くことによって基本的な営業活動方法を一人でこなせるようになり、営業のプロフェッショナルとして後輩の模範となっていきます。
そして、主任や係長、店長や出張所長といった管理職への道へと進んでいきます。
あるいは、仲介の業務を行う職場に転職したり、前職とは異なる職場を選んだりする道もあります。

工務店のキャリアパスも役職へステップアップするのが1つの道と考えられます。
ある企業では新入社員(係員)から始まり、副主任→主任→現場所長→統括所長へと昇格するそうです。

認可団体

一般財団法人職業技能振興会

古民家鑑定士という資格を主催している団体は「一般財団法人職業技能振興会」というところです。
その中に古民家鑑定士の試験情報が掲載されています。
昭和23年6月に設立されました。

この団体は技能労働者の養成を図り、この国の労働環境の整備に協力することを目的にしています。

受験条件

20歳以上
古民家や伝統的な建築・資材に興味のある方ならどなたでも受験可能

合格率

全体として約80%の方が合格されています。

1年当たりの試験実施回数

1

全国各地で実施されているようなので、場所を問わなければ2~3日に1回の頻度で実施されています。

試験科目

試験範囲は最新の公式テキスト内より出題されます。
試験科目は総論、伝統構法、在来工法の3つに分かれています。
試験では最新の公式テキストのみ、持ち込みが可能です。

採点方式と合格基準

試験問題は二者択一式で全60問です。
内容は大きく分けて総論20問、伝統構法20問、在来工法20問で構成されています。

合格科目によって取得できる資格が決まります。

古民家鑑定士1級 総論、伝統構法、在来工法すべて合格
古民家鑑定士2級(伝統) 総論と伝統構法が合格
古民家鑑定士2級(在来) 総論と在来工法が合格
不合格 総論が不合格(その他の科目が合格点に達していたとしても不合格)

取得に必要な勉強などの費用

試験は最新の公式テキストの内容に沿って出題されますから、そのテキスト代が費用になります。

古民家の調査と再築

出版社名:出版文化社 共同出版事業部
商品名:古民家の調査と再築
価格:¥9,000(税込)

建築に携わる建築士や大工の方をはじめ、不動産業の方や不動産鑑定士や土地家屋調査士、解体屋の方など幅広い方が受講している「古民家鑑定士」や「伝統再築士」取得のための教本です。
古民家鑑定書作成のためのマニュアルとしても活用できます。
他にも伝統再築士、古材鑑定士、新民家プランナー取得のための教本でもあります。

受験料

試験のみは9,000円です。
この他にも試験対策の講習を全国各地で開催していますので、受講も含めた受験料もあります。

受講・受験費用
一般 受験料(9,000円)+14,000円
⇒合計23,000円
再受験
(6ヶ月以内)
受験料(9,000円)+11,000円
⇒合計20,000円

※講習のみの申し込みはできません。

そして、この資格は3年ごとの更新が設けられています。
更新する際は、年2回(5月・11月)開催される更新講習を有効期間満了までに受講しましょう。

受験申込方法

申込

古民家鑑定士の公式サイトを検索していただき、「試験申し込み」の欄に受験願書がダウンロードできるようになっています。
そこからダウンロードし、印刷してください。

受験料は支払った後、振込明細のコピーを「受講・受験料払込の証明」(4枚目)に全面のりづけして貼り付けて下さい。
そして、受験願書と受講・受験料払込の証明(3枚目と4枚目)を郵送します。

<書類送付先・問い合わせ先>
〒106-0032
東京都港区六本木3-16-14 KYビル4階
内閣府認可 一般財団法人職業技能振興会
TEL 03-5545-5528
FAX 03-5545-5628

まとめ

お読みいただきましたとおり、古民家鑑定士という資格は不動産業界や工務店のような建築関係にお勤めの人が多く受験されているようです。
そのような業界に携わっている方ならこの資格も活かせてアピール材料となるでしょう。

古民家鑑定士は全国で18,000名以上いて活躍しているそうです。
古民家は全国各地でその価値が見直されていて、リノベーションも進んでいます。

この試験の対策方法は最新の公式テキストです。
書籍としては高価ですが、この資格のみならず、伝統再築士、古材鑑定士、新民家プランナー取得のための教本でもあります。
そうした資格も目指したい方、あるいは古民家に興味のある方はテキストだけ購入しても意義がありそうです。

こちらの試験は講習会も開催されていますので、資格を取得したい方は受講と共に申し込んだ方が良いですよ。
頑張ってみてくださいね!

古民家

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