視能訓練士試験について

視能訓練士試験について

今日は視能訓練士という職業についてお話していきます。
視能訓練士とは、眼科で患者さんの視機能の検査や矯正訓練を行う目のスペシャリストのことです。
眼科は眼科医だけでなく、こうした専門職の方もいます。
今回は視能訓練士になるための試験内容を紹介します。
眼科や医療方面に進みたい方へは、ぜひご覧いただきたい記事となっています。

適用する仕事

視能訓練士とは、眼科で患者さんの視機能の検査や矯正訓練を行う目のスペシャリストのことです。

視力や視野に問題のある人に対して、どのような治療を進めていくべきか医師が判断する材料となるデータを出すために、例えば測定機器を用いて検査を行うのが仕事です。
視能を回復するための訓練やリハビリの指導、健康診断のサポートなどを行うのが主な役割です。

視能訓練士は主に、眼科の治療を受けている人や目に障害のある人に対してサポートします。
ですが、集団検診の場合は眼科に通院していない子供や高齢者に接するときもあります。

視能訓練士の業務分野は、主に4つあります。

視能矯正

対象となるのは視機能が発達中の子供です。
視機能検査が必要な低年齢の小児に対して、弱視や斜視だった場合に視力向上や正常な両眼視機能が得られるようサポートしていきます。
両眼視機能・眼位・眼球運動検査や斜視および弱視の視能訓練などを行います。

視機能検査

これは眼科で視機能を測るさまざまな検査を行なって、医師が的確な診断や治療ができるようサポートする仕事です。

検査の種類はいろいろあります。

代表的な検査
  • 視力検査
  • 屈折検査
  • 眼圧検査
  • 視野検査
  • 眼底や前眼部の写真撮影および画像診断検査
  • 角膜形状検査
  • 電気生理検査
  • 超音波検査

など

健診/検診

3歳児健診就学時健診定期検診などで視機能検査を行う仕事です。
子供の場合は上記に挙げた、発達を妨げる斜視や弱視を早期に発見します。
大人の場合は生活の質を大きく左右する眼の疾病を、早期に発見します。
そして、適切な治療につなげます。

ロービジョンケア

ロービジョンとは、眼の疾患や外傷などによって視機能が低下した状態を指します。
そうした眼の見えにくさを、さまざまな方法で補って生活の質を改善し、支援していく仕事です。

ロービジョンによる日常生活での悩みや学業・仕事の継続などへの影響を聞き取って、視覚補助具(拡大鏡、遮光眼鏡、拡大読書器など)を選定したり、見え方を補う様々な工夫を施したり、あるいは視覚リハビリテーション施設との連携などのアドバイスを行います。

機械を使って目の検査

おおよその年収とキャリアパス

視能訓練士の平均年収は341万円です。
日本の平均年収(437万円)と比較すると低い傾向ですが、この中には非正規雇用で働いている人も含まれるのでこのような数値となっています。
ちなみに、アルバイト・パート雇用の平均時給は1,355円のようです。

視能訓練士は資格を取得すると、大学病院や総合病院、クリニックへ就職します。
運営母体が「眼科診療所(医療法人や個人)」で働いている人がもっとも多いです。
同じ職場で働き続けると、だんだんとリーダーになったり、昇進していったりします。

この職業は転職も多いです。
年齢が上がるにつれて転職率は高くなります。
「一度も転職していない」という人は、65歳以上では全体の22.5%しかいないようです。

視能訓練士は女性もいますから、結婚や出産で一度退職して、復職のときは非正規雇用で働く人もいます。

認可団体

厚生労働省

認可団体は厚生労働省です。

視能訓練士はもとは小児の弱視や斜視の視能矯正や視機能の検査を行う専門技術者として、日本で1971年に誕生しました。

眼科医1名に対して、2~3名の視能訓練士が必要とされています。
現在の視能訓練士の総数は1万9,210人のようです。
ちなみに、眼科医の数は1万3,328人なので視能訓練士の数は多いと思いがちですが、まだまだ足りていません。

受験条件

  • 視能訓練士の養成所を卒業
    高校卒業後、指定された視能訓練士養成施設で3年以上必要な知識や技術を修得した者。
  • 短大卒以上で、視能訓練士養成所(1年以上)に修業
    大学や短大、または看護師や保育士の養成機関で指定科目を履修した後、指定の視能訓練士養成施設で1年以上必要な知識や技術を修得した者。
  • 外国の視能訓練士の学校を卒業
    外国の視能訓練士の学校を卒業した者。または外国で視能訓練士の免許に相当する免許を受けた者で、日本の養成学校で学んだのと同等の技術があると厚生労働大臣が認定した者。

合格率

2022年:91.8%
2021年:91.1%
2020年:96.1%

試験自体の合格率は高いですが、養成所では一定の成績に達しないと受験許可が降りないそうです。
試験が易しいのではなく、受験条件の段階で厳しくなっているのです。

1年当たりの試験実施回数

年1回、例年2月に実施されます。
試験地は東京都および大阪府です。

メガネをかけた女性

試験科目

  • 基礎医学大要
  • 基礎視能矯正学
  • 視能検査学
  • 視能障害および視能訓練学

採点方式と合格基準

試験は多肢選択式です。

一般問題を1問1点とし、臨床問題を1問2点としています。
一般問題は129点満点、臨床問題は40点満点で合計が169点満点です。
2022年の試験は169点中102点以上が合格基準でした。

取得に必要な勉強などの費用

取得するには、視能訓練士について学べる大学や養成所での学費が必要になります。
学費の一例をご紹介します。

大学や短期大学

帝京大学 医療技術学部 視能矯正学科 4年間合計655万6千円
北里大学 医療衛生学部 リハビリテーション学科視覚機能療法学専攻 4年間合計705万円
国際医療福祉大学 保健医療学部 視機能療法学科 4年間合計610万円
大阪人間科学大学 人間科学部 医療福祉学科視能訓練専攻 4年間合計612万円
平成医療短期大学 リハビリテーション学科視機能療法専攻 3年間合計360万円

専門学校

東京医薬看護専門学校(視能訓練士科) 3年間合計で471万3千円
東京医薬看護専門学校(視能訓練士科1年制) 178万7千円
日本医歯薬専門学校 視能訓練士学科 1年目で160万~165万円
浦和専門学校 視能訓練士科 初年度納入金138万500円

受験料

15,800円
受験料の額に相当する収入印紙を受験願書に貼ること。

目の検査

受験申込方法

次の3点を「視能訓練士国家試験運営本部事務所」に郵送します。

受験願書

受験願書に記載する氏名は、戸籍に記載されている文字を使用します。
ただし、中長期在留者については在留カードまたは住民票を、特別永住者については特別永住者証明書または住民票を、短期在留者については旅券その他の身分を証する書類を参考にしてください。

写真

出願前6ヶ月以内で、脱帽で正面を向いた写真を用意してください。
サイズは縦6cm、横4cmです。
その裏面に撮影年月日と氏名を記載し、厚生労働省あるいは視能訓練士国家試験運営本部事務所、もしくは視能訓練士国家試験運営臨時事務所において交付する受験写真用台紙に貼り付け、同台紙に所定の事項を記入して提出します。

返信用封筒

縦23.5cm、横12cmのものを用意します。
表面に、郵便番号と宛先を記載します。
そして、529円(定形郵便94円+一般書留435円)の郵便切手を貼り付けて、書留の表示をします。

その他、修業証明書もしくは修業見込証明書、卒業証明書もしくは卒業見込証明書が必要であったり、外国で免許を受けたのなら視能訓練士国家試験受験資格認定書の写しを提出しなくてはいけない人もいます。

まとめ

皆さんも眼科へ行ったことあるかと思いますが、スタッフの中に視機能訓練士として働いている方もいます。
視機能訓練士は患者さんの視機能の検査や矯正訓練を行なっている専門職です。
人間はほとんどの情報を目から得ています。
普段たくさん使っている目がケガや疾病で不具合になるのはイヤですが、そうなってしまった患者のサポートをするのが視機能訓練士の役割なのです。

医療方面に進みたい方、眼科は眼科医だけだと思っていませんか。
こちらの職業は眼の悩みに寄り添い、改善させることに貢献できます。
それに目を酷使しがちになる現代では、眼に関する新たな情報や技術を学び続けるのが必須になってきているため、自らの知識や技術を向上させることもできます。

まだまだ視機能訓練士は不足しています。
視機能訓練士という職も検討してみてはいかがでしょうか。

 

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