今回は皆さんの身近な職業である看護師についてのお話です。
ドクターの方ばかり目を向けがちですが、看護師だって診療補助や患者の方のお世話、手術室の補助などと医療の現場になくてはならない職業です。
看護師という職業もなるためには看護師試験という国家資格に合格しなくてはなりません。
この記事をご覧の方の中には看護学校へ行ったり、実際に看護師として働いている方もいるかと思います。
今回は看護師試験の内容について書いています。
どうぞお付き合いください。
Contents
適用する仕事
看護師試験で適用する仕事は看護師です。
看護師の仕事内容
冒頭でも少し触れましたが、看護師の仕事内容は医師の指示の下で診療の補助や病人の看護を行うことです。
具体的には問診や点滴、注射、検査などが挙げられます。
その他にも入院病棟では入院患者の食事や入浴の介助、病棟の巡回やベッドメーキングなどがあります。
病院で働くスタッフと連携をとりながら、さまざまな業務をこなしていきます。
また、病気の予防や健康維持を人々に教えることも仕事のうちの1つです。
看護師の主な活躍する場所
- 大学病院
- 一般病院
- クリニック(診療所)
- 介護保険施設
- 訪問看護ステーション
- 知的、身体、精神障害者支援施設や児童福祉施設
- 保健所・保健センター
- 看護大学や看護専門学校の教員職
その他にも保育園や幼稚園に勤めたり、臨床試験(治験コーディネータ)に関わる仕事で看護職を務めたり、ツアーやイベントを開く際に同行する看護師もいます。
おおよその年収とキャリアパス
厚生労働省の発表によると、2023年の看護師平均年収は508万円でした。
ちなみに、2019年の時点では約483万円だったため、この数年でも年収が上がっています。
調査年度によって多少変動がありますが、都市部では平均よりも年収が高いです。
総合病院や大学病院では500万円近くの年収に届きますが、民間のクリニックや介護施設は300万円後半にとどまります。
そして、男女差ですが、女性看護師の平均年収が約506万円に対し、男性看護師の平均年収は約522万円です。
これは女性が出産や育児で休職・離職することが多いのが要因です。
看護師の資格は国家資格ですので、キャリアパスの選択肢は広いです。
病棟でキャリアを積んでいく
例えば、1年目は新人で入り、だんだんキャリアを積んで3年目・4年目はプリセプターになって、主任、看護師長、看護部長と昇進していく道です。
それか専門性を深めていくのも良いでしょう。
例えば、救命救急はかなり専門的な技術や知識が必要ですから、経験を積んで試験に受かれば認定看護師や専門看護師として認められます。
その他にも終末期ケアに特化したものもあります。
地域の訪問看護師やクリニックなどで活躍する
こちらは地域に密着して看護業務を行う道です。
訪問看護ステーションには看護師がたくさん在籍していて、ケアマネジャーの資格を得て活躍している人もいます。
地域のクリニックもいろいろな診療科があります。
その中には透析の病院もありますから大きなキャリアステップになるでしょう。
また、介護施設でも看護師は重宝されます。
教育系の仕事に従事する
こちらは大学に戻って看護科の教員になったり、研究職に就く教授になるパターンです。
看護教員になるには看護師経験5年+専任教員課程を修了すればなることができます。
また、大学院に進学することもあり得ます。
海外で働く
海外に行って病院や研究所などの医療機関で働いたり、NPO法人などに協力して看護師として発展途上国に行く道です。
広い視野を養えるのがメリットである反面、英語(看護・医療関係含む)を習得したり、現地の大学や短大に通って看護教育プログラムや就職トレーニングの受講が必要なケースもあります。
認可団体
看護師試験を実施しているところは厚生労働省です。
受験条件
主な受験条件はこちらです。
- 文部科学大臣の指定した大学で看護師になるために必要な学科を履修し卒業した者
- 文部科学大臣の指定した学校で3年間以上看護師になるために必要な学科を履修し卒業した者
- 都道府県知事の指定した看護師養成所を卒業した者
- 准看護師免許を取得後、3年以上業務に従事している者
- 准看護師免許を取得後、指定大学や指定学校または養成所で2年以上修業した者
その他の条件は厚生労働省の看護師試験をお読みください。
合格率
2021年 90.4%
2020年 89.2%
2019年 89.3%
新卒のみの合格率だともっと高いです。
1年当たりの試験実施回数
年1回実施されます。
試験地は北海道、青森県、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県および沖縄県です。
試験科目
- 人体の構造と機能
- 疾病の成り立ちと回復の促進
- 健康支援と社会保障制度
- 基礎看護学
- 成人看護学
- 老年看護学
- 小児看護学
- 母性看護学
- 精神看護学
- 在宅看護論および看護の統合と実践
採点方式と合格基準
看護師試験の問題構成は次の3つです。
必修問題 全50問(1問1点)
一般問題 全130問(1問1点)
状況設定問題 全60問(1問2点)
合格基準は必修問題では80%以上(40点以上)ですが、残る2分野の合格基準は年によって変動します。
ですが、一般問題と状況設定問題の合計点を足すと130+(60×2)で250点満点です。
過去10年の平均合格基準点は約156点でした。
取得に必要な勉強などの費用
看護師試験を受けるには、大学や養成所を卒業してなくてはいけません。
その部分の学費が勉強での費用になります。
看護大学の場合
― | 入学金 | 授業料 |
国立 | 28万2,000円 | 53万5,800円 |
公立(地域内) | 23万347円 | 53万8,633円 |
〃(地域外) | 39万3,618円 | |
私立 | 26万7,041円 | 91万6,184円(施設設備費が約23万) |
国立でも公立でも4年間の授業料だけで200万円超が必要です。
私立大学は医学部看護学科を含む保健学部の平均値ですが、国公立の2倍以上の学費が掛かります。
入学金や授業料だけでなく、テキスト代や実習費なども必要になるため多めに見積もっていた方が良いでしょう。
看護専門学校の場合
今度は大学ではなく、専門学校の学費です。
「公益社団法人 東京都専修学校各種学校協会」が行なった調査によると、このような内訳になります。
- 入学金:17万8,000円
- 授業料:67万9,000円
- 設備費:13万1,000円
- 実習費:3万7,000円
- その他:6万1,000円
専門学校でも3年間通学することになるので、費用はトータルで300万円以上必要になると思われます。
ただし、これにも公立か私立かで変わってきます。
公立の専門学校だとトータルで100万円台で学費を抑えられることもあります。
看護短期大学の場合
看護の短期大学は国公立はなく、学校数も全国的に少ないです。
私立の看護短期大学の学費は以下のとおりです。
- 入学金:30万円
- 授業料:75万円
- 設備費:35万円
- 実習費:25万円
短期大学とはいえ3年間通うわけですから、トータルで400万円以上掛かります。
これにプラスしてテキスト代や白衣代などもあります。
看護専門の高校の場合
もし早い段階で看護師になりたいと決めている方は、看護師を養成する専門の5年一貫の高校へ入学するのが最短のルートです。
これは高校3年分の課程を修了すると、全員が看護専攻科の課程(2年間)に進みます。
合計5年間の課程を修了すると、看護師国家試験の受験資格が得られる仕組みになっています。
一例ですが、学費をご紹介します。
入学金 | 5,650円 |
授業料など | 77万3,796円(高校3年間分) |
41万1,231円(看護専攻科) |
受験料
5,400円
受験手数料の額に相当する収入印紙を受験願書に貼ることにより納付
受験申込方法
受験申込には次の書類などの提出が必要です。
受験願書
受験願書は各学校や養成所で入手できます。
保健師助産師看護師法施行規則(昭和26年厚生省令第34号)第2号様式により作成します。
記載氏名はに記載されている文字を使用使用します。(中長期在留者については在留カードまたは住民票、特別永住者については特別永住者証明書又は住民票、短期在留者については旅券その他の身分を証する書類)
写真
出願前6ヶ月以内に脱帽して撮影したもの
サイズは縦6センチ×横4センチ
※裏面に撮影年月日、氏名を記載
返信用封筒
縦23.5cm、横12cmのもの(長形3号)
表面に郵便番号、宛先及び宛名を記載
529円(定形郵便94円+一般書留435円)の郵便切手を貼り付け、書留の表示をすること
まとめ
ここまで看護師試験について見てきました。
看護師の資格は国家資格なため、合格するといろいろな方面で活かすことができます。
それにはしっかりした学校で勉強しなくてはなりません。
理系の学科なだけに、やはり学費は高めです。
将来設計をしている方なら、看護師を養成する専門の5年一貫の高校へ入学するのが一番お金が掛からないやり方です。
それ以外は大学や専門学校、養成所での勉強が必要ですから学費を工面しつつ看護師の資格を目指してくださいね。
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