家政士検定について

家政士検定について

皆さんは家政士という言葉をご存知でしょうか。
家政士とは「公益社団法人日本看護家政紹介事業協会」が認定している資格で、2016年にできたばかりの資格です。

新しい資格ではありますが、厚生労働大臣が認定している公的資格でもあります。
家政婦や家政夫をまとめて「家政士」と呼ぶのでしょう。
看護婦が看護師という呼び名に変わったような感覚ですが、今回この家政士の資格を見ていきます。

適用する仕事

家政士検定 食事家政士検定試験は家政サービスや家事支援業務に関する知識と技術を測って能力を認定する試験で、家政サービス関係職業の専門性社会的認知度を高めることを目的としています。

家政婦と家政士のちがい
お金持ちの家にだけいる使用人の女性が家政婦と思われがちですが、家事代行サービスとしてこうしたことを行うスタッフが増えてきました。
家政婦ではなく家政“士”としたのは以下のような理由があるからです。

  1. 一定の経験や職能を評価して認定する資格目的であるため
  2. 女性の社会進出が進む近年、家政の仕事が男性がしてもおかしくないよう考えられ「男女雇用機会の均等」目的に差別のない名称としたため

適用する仕事

適用する仕事は介護や支援の必要な高齢者の方や働く女性達などに日常的な家事のほか、介護、ペットなどの多種多様な家政サービスを行うことです。

  • 掃除や片付け
  • 調理や食事の準備
  • 買い物(遅くまで働いている場合に必要)
  • 話し相手(高齢者宅に多い)
  • 子供の世話や相手

など

家政婦紹介所や家事代行サービスに登録して活躍します。
いわゆる家事代行スタッフというのは資格・経験不問で募集が行われていますが、こういったスタッフは利用者と直接契約を結ぶため、資格があれば利用者の信用が得やすいです。

家事代行スタッフの流れ

家政婦関係の会社に入ったら、まず研修・トレーニングをします。
ここで依頼主の自宅に訪問する時のマナーや家事に関する知識、注意点などを学びます。
それが終わると仕事を紹介されます。

そして、依頼主の自宅を訪問します。
ここからはプロとしてのモラルと十分な配慮が必要になります。
1回あたりの家事代行サービスは1~3時間くらいです。

作業が終わったら、依頼主と会社に報告をして現場の作業は終わりとなります。
現場によっては報告の際に清掃後の写真を求められることもあります。家政士検定 拭き掃除

住み込み家政婦とは

住み込みの家政婦(夫)は一緒に生活を共にしながら家事や介護を行なってくれるスタイルです。
住み込みの家政婦さんと通いの家政婦さんとのサービスの違いはほとんどありません。
しいていえば、住み込みの家政婦さんでは早朝や深夜の作業に融通が利くということです。

しかし、依頼主と一緒に暮らすので個人情報の取り扱いに十分注意したり、家政婦側のプライバシーもきちんと守られなくてはなりません。

おおよその年収とキャリアパス

家政婦(夫)の2021年の平均年収は382万円でした。
あるデータでは家事代行スタッフの場合は424万円の年収らしいです。
これがアルバイト・パート雇用だと1,000円~1,200円の時給です。

アルバイト・パート雇用だと正社員にキャリアアップする制度で昇格するかもしれません。
他にもフリーランスで働いている人もいるでしょう。

【適用する仕事】で紹介したように、家政婦として働くにはまず家政婦紹介所や派遣サービスへの登録が欠かせません。

家事代行サービスや家政婦登録所などの登録を済ませ、仕事を紹介してもらいます。
もし依頼者から気に入ってもらえれば専属で直接契約を結ぶことも可能です。

認可団体

家政士検定 ロゴ家政士検定を主催している団体は「公益社団法人 日本看護家政紹介事業協会」というところです。

公益社団法人 日本看護家政紹介事業協会
〒162-0064
東京都新宿区市谷仲之町3-2
TEL:03-3353-4641
FAX:03-3353-4326
主な沿革
平成18年7月 日本臨床看護家政協会、日紹連看護家政福祉協会、全日本民営職業紹介事業福祉協会の看家3団体が統合し設立
平成22年6月18日 「公益社団法人」への移行のため認定申請を行う
平成23年4月1日 法務局へ移行登記を行い「公益社団法人 日本看護家政紹介事業協会」となる

受験条件

家政士検定 洗濯次の(1)から(4)のいずれかの要件を満たせば受験できます。

(1)協会の会員紹介所の求職登録者であり、職業安定法施行規則附則に規定する家政婦(夫)の業務に5年以上従事した者
ただし、従事した各年の実勤務日が100日以上ある者に限る

(2)協会の会員紹介所が介護保険制度における指定事業所として認定を受けており、当該指定事業所に雇用されている者で当該介護業務を5年以上従事した者
ただし、これも従事した各年の実勤務日が100日以上ある者に限る

※上記(1)(2)は合算しても良い

(3)協会の会員紹介所の求職登録者であり、かつ(1)に定める者と同等の経験、能力があると当該紹介所長が認めた者

(4)介護関連事業、保育関連事業、家事支援サービス事業などに5年以上の実務経験がある者。

主婦(夫)等の家事、介護、育児などの経験のある者や大学・大学院、短大、職業能力開発施設等の家政関連学科・課程等の卒業生または在学生でなら、上記(1)から(3)までに定める者と同等の経験、能力をあると認められる者

合格率

63.60%(近年)

1年当たりの試験実施回数

年1回です。
11月中旬~下旬に実施されます。

試験科目

学科試験と実技試験があります。

学科試験

1. 家事サービス実務のうち衣・食・住の各生活サービスに関する詳細な知識

  1. 衣生活サービス
  2. 食生活サービス
  3. 住生活サービス

2. 介護サービス実務のうち身体介護サービスに関する詳細な知識

  1. 身体介助
  2. 認知症ケア

3. 子育て支援サービス実務のうち日常生活のサービスに関する詳細な知識

  1. 基礎知識
  2. 日常生活のケア
  3. 食事のケア
  4. 子どもの安全管理

4. 家政サービス実施に当たっての基本事項

  1. 家政サービス実施の事前準備
  2. 家政サービス実施後の記録・報告
  3. 倫理とコンプライアンス
  4. コミュニケーション
  5. ビジネスマナー
  6. 外部・関係機関との連絡
  7. 目標管理
  8. 安全確保など

実技試験

また、科目免除もあります。
学科試験または実技試験のいずれかに合格した場合、申請により合格発表日から4年以内なら合格科目の試験が免除されます。家政士検定 料理

採点方式と合格基準

学科試験は多肢択一式問題が40問出ます。
解答時間は60分です。

実技試験は1.衣生活サービス、2.食生活サービス、3.住生活サービスのうちから選択し、制限時間10分の中で採点されます。

合格基準
  • 学科試験 80%以上の正解率
  • 実技試験 70%以上の正解率

取得に必要な勉強などの費用

協会から家政士検定試験の出題範囲をまとめたテキストが販売されています。

特別会員価格(税込) 定価(税込)
第1巻 家政サービスの基本 1,760円 1,408円
第2巻 家事サービス 2,420円 1,936円
第3巻 介護サービス 1,760円 1,408円
第4巻 子育て支援サービス 1,760円 1,408円
1~4巻セット 7,700円 6,160円

※送料が掛かります。ただし3,500円以上(税込)の購入の場合は無料になります。
※こちらのテキストは書店での販売はしていませんので、ご注意ください。

そして、検定試験前の講習会もあります。
令和3年では受講料は2,000円でした。(特別会員の方は1,000円)

受験料

受験手数料は13,000円
ただし、協会の特別会員は9,000円
科目免除者は6,500円

受験申込方法

受験申込の手順は以下のようになります。

受験申請書の提出

まず「家政士検定試験受験申請書」に必要事項を記入したうえ、次の該当する証明書などを同封して提出先に郵送します。(FAXおよび電子メールは不可)

受験資格に当てはまる証明書
(1)または(2) 紹介所長が作成する「実務経歴証明書」
(3) 紹介所長が作成する「経験能力証明書」
(4) 「家政・家事関係職務経歴書」

※学生割引制度の利用を希望される方は「学生割引制度適用申請書」および学生証、在学証明書など在籍する学校、能開施設などの発行する学部、課程等が記載された書類またはその写しを同封して郵送

提出先
〒162-0064 東京都新宿区市谷仲之町3-2
公益社団法人日本看護家政紹介事業協会
「家政士検定試験 係」

なお、各試験会場の定員に到達した場合には、受験申込みを中途で締め切ります。家政士検定 掃除機かけ

受験票および受験手数料払込票

受験資格を満たしている方は、協会より受験票および受験手数料払込票が受験申請書に記した住所宛てに郵送されますのでそれから受験手数料を支払いましょう。

まとめ

以上、ここまで「家政士検定」についてお伝えしてきました。
こちらの資格は家政婦や家事代行サービスに携わる方が役立つ資格でした。

受験資格を見て自分の家事能力を客観的に示すのは難しいかもしれませんが、受験資格が満たされれば試験が受けられます。
それには協会の会員紹介所へつながるのも良い方法かと思います。

まだまだこちらの資格は新しいし、家事代行サービスも徐々に浸透してきています。
自分の家事能力に自信がある人はこのようなスタッフの道もアリかと思われます。
ぜひ、家事代行職に向けてこちらの資格も考えてみてくださいね。

 

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