家電製品エンジニア試験について

家電製品エンジニア試験について

家電製品エンジニア資格は、AV情報家電と生活家電の2つに部門が分かれています。
家電量販店で製品を選ぶとき、この資格を持った方にアドバイスを貰うこともあると思います。

適用する仕事

パソコンやデジタルテレビなどの情報家電、燃焼機器、家電製品関連製品の設置や接続、セットアップ、トラブル対応、故障の修理、その他不具合状態の解消などに従事するプロフェッショナルです。

家電製品エンジニアの資格には有効期間があり、5年です。
資格を保持するためには、有効期限が切れるまでに学習し、資格更新試験に合格しなければなりません。
学習するには、資格更新学習用テキスト(電子ブック)が勧められています。
合格すると、また5年間資格を保有できます。

資格が失効する前に更新試験に合格しなかった場合は、資格を失ってしまいます。

家電製品エンジニア

おおよその年収とキャリアパス

平均年収は、400万円から600万円くらいのようです。
資格のない販売員よりは、年収が優遇されている場合が多いです。

家電製品エンジニア試験の資格を取った人がよくいる職場は、家電を販売する店舗になります。
販売現場だけでなく、メンテナンスなどのアフターサービスの仕事も期待されます。
この資格がなくても、業務そのものは可能ですが、求人の仕方によっては資格を明記して募集しています。
よって、転職には有利になります。職場によって資格手当が出るところもあります。

認可団体

一般財団法人 家電製品協会
一般財団法人家電製品協会」が運営管理しています。
一般財団法人家電製品協会とは、皆さんの身近にある様々な家電製品の安全性の向上や、充実したアフターサービス、製造物責任に関する検討、環境問題と繋がる使用済み家電製品対策、省エネルギーや省資源対策など、家電製品に共通する様々問題を調査や研究、政策の立案、実施を行なっている機関です。

受験条件

受験資格は特にありません。
誰でも受験することができます。

しかし、エグゼクティブ等級というものもあります。
これは家電関連の業務の人が目標とすべき人材に付与される特別称号です。

エグゼクティブ等級には、EXチャレンジの受験申込をしなければなりません。
それには、家電製品エンジニアか、家電製品アドバイザーの有資格者でなければなりません。

合格率

第35回の「AV情報家電」と「生活家電」の合格率
「AV情報家電」
受験者数:228人
合格率:35.5%

「生活家電」
受験者数:225人
合格率:42.2%

これらの他にエグゼクティブ等級というものもあります。
このエグゼクティブ等級において、その保有知識が最上級レベルの証となります。
家電関連の業務の人が目標とすべき人材に付与される特別称号です。

1年当たりの試験実施回数

2という数字
年に2回実施されています。
毎年3月と9月です。

試験科目

試験科目は以下の2つです。

  • AV情報家電(基礎技術・応用技術)
  • 生活家電(基礎技術・応用技術)

この資格の習得知識、技術は次の通りです。

  • 各種家電製品の基礎理論と動作原理を理解している。
  • 不具合の原因を、ハードウェアかソフトウェアに判別ができる。
  • 不具合の原因を、要因ごとに分けて考えることができる。
  • 論理的かつ合理性のある診断と処置の仕方を理解し、実行できる。
  • 必要な治工具・測定器を使うことができる。
  • 電気安全に関連する知識と係る法規の知識があり、適切な運用ができる。
  • 家電製品の安全で上手な使い方等について適切な技術的なアドバイスをすることができる。
  • 家電に関する技術流行を認識して、市場に出ている先端テクノロジーの概要や実務への適用方法、あるいはその可能性などを理解して、消費者などにわかりやすく説明ができる。

AV情報家電の基礎技術については、理論や動作原理に関する知識の有無と理解度が問われます。

1.修理の基礎 基本となる部品、電子回路、電源回路
テレビの点検、測定器・治工具の取扱
デジタル放送の測定
など
2.デジタル信号処理技術 オーディオ信号、静止画像/動画像の圧縮方法
MPEG4 AVC/H.264
MPEG-H HEVC/H.265(HEVC)
など
3.ネットワーク技術 TCP/IP、インターネット
セキュリティ対策
無線LAN(IEER802.11シリーズ、Wi-SUN)
ブルートゥース、Zigbee、PLC
DLNA
クラウドサービス
など
4.デジタル放送と受信機 周波数再利用計画
4K・8Kテレビ放送
著作権保護
など
5.ディスプレイ 液晶ディスプレイ
液晶プロジェクター
画質を評価するパラメーター
など
6.オーディオシステム Compact Disc
可逆圧縮、非可逆圧縮
ホームシアター
など
7.デジタルスチルカメラ・デジタルビデオカメラ 手ブレ補正
CMOSセンサー
AVCHD方式ハイビジョンデジタルカメラ
など
8.デジタルディスクレコーダー BD/DVD/HDDレコーダー
ディスクレコーダーの音声形式、著作権保護
など
9.映像機器の接続・設定 各種接続規格と端子、ケーブル
HDMI
など
10.電話機/ファクシミリ DECT電話機
ファクシミリの規格と基本動作
など
11.カーナビゲーション ナビゲーションの種類(PND など)
準天頂衛星
など
12.電池 一次電池と二次電池
太陽電池
など
13.スマートハウス HEMS、ECHONET Lite
電力システム改革
など
14顧客対応 接客マナー
アフターサービスにおけるCS
など
15.関連法規/規格 電気用品安全法、電気通信事業法 など
防じん・防水
お知らせアイコン
など

応用技術では実務に必要な知識が問われます。機器のセットアップや故障診断、修理などです。

全項目共通
  • 取扱い
  • 使用上のトラブルとその対応
  • 故障または不具合症状とその故障診断 など
  • 設置と調整
  • 故障症状と問題切り分け
  • 信号波形と故障診断
  • 回路の動作判定
  • 受信障害の防止と改善処置
  • 修理実務
  • デバイスの良否判定
  • 関連法規
  • 製品安全
  • 安全な修理、安全点検、機器設置の方法

など

採点方式と合格基準

基準のイメージ

選択形式の試験のため、採点方式は正誤判定と思われます。

合格基準は60%以上の得点率です。
2021年9月の試験は200点満点でしたが、その場合ですと合格ラインは120点以上です。
エグゼクティブ等級の合格基準だと、85%以上の得点率になります。

審査基準を以下に記します。審査側から期待される水準となります。
家電製品の不具合診断と処置を的確に素早く行うために、次の幅広い知識と実践能力が求められています。

  • 各種家電製品の基礎理論と動作原理を理解している。
  • 不具合の原因をハードウェアとソフトウェアに切り分けることができる。
  • 不具合の原因を製品要因とその他要因に切り分けることができる。
  • 論理的で合理性のある診断と処置の方法を理解し、実行できる。
  • 必要な治工具測定器を適切に使える。
  • 安全点検の知識および関連する法規の知識を有し、実行できる。
  • 消費者に家電製品の安全で上手な使い方等について適切な指導をすることができる。
  • 家電関連の技術トレンドを認識し、市場に顕在化している先端技術の概要や実務への応用方法、あるいはその可能性などを理解し、消費者等に分かりやすく説明できる。

取得に必要な勉強などの費用

以前の試験では、過去問と同様の問題が見られるようです。この試験では過去問は効果的な勉強になるようです。
多いに越したことはないですが、少なくても3年分くらいはやったほうがいいと思います。

1年分の解説付きの問題集で、2200円ほどです。
3年分そろえると6600円になります。
受験費用を無駄にしないために、このくらいの費用はかけて勉強した方がいいと思われます。

受験料

費用

「AV情報家電」と「生活家電」の両資格を受験する場合(4科目) 18800円
「AV情報家電」と「生活家電」のいずれかを受験する場合(2科目) 9400円
試験科目の免除により2科目を受験の場合 12400円
試験科目の免除により1科目を受験の場合 6200円

受験申込方法

一般財団法人家電製品協会 認定センターで「マイページ」を作成します。
「マイページ」から受験申込手続きです。

受験申請のとき

「家電製品エンジニア」の受験申請をします。
その際に、受験日時、会場を予約します。
顔写真の画像データのアップロードが必要です。
そして、受験料の支払い方法を選択します。

試験を受けるとき

試験ですが、会場で本人確認のために、写真付きの身分証明できるものが必要です。
身分証明ができないと受験はできません。

合否判定のとき

合否判定ですが、試験結果は認定センターホームページのマイページで確認できます。
合格の場合、協会より「認定証」が交付されます。

既に資格を持っている方でも、上の等級を受験することができます。
AV情報家電と生活家電の試験は併願できます。
両方を取得すると「家電製品総合エンジニア」になれます。

まとめ

家電修理

家電製品エンジニア試験についてでした。
この資格はAV情報家電と生活家電に分かれています。

この資格を持っている人は、家電製品の不具合の解消のプロフェッショナルとなります。
家電製品は日々進化して、昔にこの資格を取った人では、現状についていけなくならないかと不安に思う人もいらっしゃるかとおもいますが、この資格の有効期間は5年間です。

資格を維持するためには、また学習して資格更新試験に合格しなければなりません。
よって、この資格を持っている人は、比較的新しい製品まで対応できるはずです。

この資格試験に合格するには、6割以上の得点を取らなければなりません。
2科目合格点を満たさなければなりませんが、不合格になった場合でも前回合格点を取っていた科目は免除されますよ。

 

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