「建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者」というのは、建築物の骨組みや高さが5m以上ある金属製の部材で構成される組立てや解体、あるいは変更の作業を行う場合に現場の監督や安全指導を行うための資格です。
建設するうえで危険も伴いますから、そうした監督する方が必要になるわけです。
皆さん、タイトルを見てすごく長いと思ったことでしょう。
とても長くて専門的なこの資格を今日は見ていきます。
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適用する仕事
冒頭でも記したとおり、「建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者」という資格は建設工事現場で建物の根幹となる鉄骨の組立てや解体などの作業が行われる際に、作業方法や安全確保などについて監督や指導をするための資格です。
建築物の鉄骨組立作業は安全に作業を進めるのが必須のため、作業の主任責任者を配置することが法令で義務付けられています。
この資格の定義は、高さ5m以上の金属製の部材を使用する建築物の組み立てや解体などを行う際となっていますが、もちろん5m未満の現場であっても資格を保有する人がいた方が作業の安全性が高まります。
「建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者」の作業内容は、次の3つといわれています。
- 作業の方法を決定し、作業を直接指揮する
- 材料の欠点の有無ならびに器具及び工具を点検し、不良品を取り除く
- 作業中は安全帯や保護帽などの使用状況を監視する
上記の職務を担うことで、ひいては労働災害を防止することにもつながります。
おおよその年収とキャリアパス
「建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者」は鉄骨構造の建物や橋の建設には、必須の資格です。
主な就職先は、工務店などの土木や建築企業です。
その平均年収は2021年のデータで、男性が406.8万円で、女性が262.8万円でした。
この資格はとび職の方が持っておくべき資格の1つです。
資格を持っていると収入アップが期待できます。
建築物の根幹となる鉄骨の組立て、解体や変更などの作業に必須の資格ですので、将来的にも安定した需要が見込める資格です。
とび職では職長へのキャリアアップ、それ以外の土木・建設現場ではマネジメント職が考えられます。
しかし、「建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者」の資格だけだと独立は難しいです。
独立するためには、建設や解体作業に必要な資格を取得すれば、独立も視野に入れることができるでしょう。
例をいえば、玉掛け技能資格や足場の組立等作業主任者などといった資格が挙げられますね。
認可団体
建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者は講習を受けて取得します。
講習を運営している団体は2つあります。
「建設業労働災害防止協会(建災防)」と「一般社団法人 日本鳶工業連合会」です。
建設業労働災害防止協会(建災防)
こちらは昭和39年9月1日に設立されました。
日本鳶工業連合会
こちらは、昭和41年5月に現在の国土交通省から許可を受けた公益法人です。
東京都港区芝公園3-5-20 日鳶連会館
E-mail:jtci@nittobiren.or.jp
- 組織、広報対策活動
- 経営対策活動
- 技術や技能の向上と安全対策活動
- 福祉対策活動
受験条件
- 21歳以上で建築物等の鉄骨の組立て等の作業に3年以上従事した経験を有する者
- 20歳以上で大学、高専、高校において土木または建築に関する学科を専攻して卒業し、2年以上の実務経験を有する者
- その他、厚生労働大臣が定める者
あとは講習会ごとに受講資格が設けられていますので、そちらを参考にしましょう。
合格率
こちらは試験ではなく、講習を受ける仕組みなので合格率はほぼ100%です。
1年当たりの試験実施回数
講習は全国各地で行われているので、頻度は常時です。
年に4回以上試験があるといわれています。
試験科目
こちらは講習内容になります。
講習の内容
講習時間は2日間で12時間です。
- 建築物の鉄骨の組立て等に関する知識(建築物および塔の種類、材料、構造、設計図、工作図、鉄骨の組立て等の作業方法と点検)
- 工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識(工事用設備や機械の取り扱い、器具や工具電気、墜落防止のための設備、落下物による危険防止のための措置、悪天候時における作業方法、服装や保護具)
- 作業者に対する教育などに関する知識(作業者に対する教育や指導方法、作業標準、災害発生時における措置)
- 関係法令(労働安全衛生法ほか)
その後修了試験になります。
免除について
3科目免除が適用
「作業の方法に関する知識」「工事用設備、機械、器具等に関する知識」「作業環境等に関する知識」の部分が免除になります。
[建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者技能講習規程第1条各号に掲げる者]
(1)職業能力開発促進法第27条第1項の準則訓練である普通職業訓練のうち、職業能力開発促進法施行規則に定める建築施工系とび科の訓練を修了した者
(2)職業能力開発促進法第27条第1項の準則訓練である高度職業訓練のうち、職業能力開発促進法施行規則定める居住システム系建築科または居住システム系住居環境科の訓練を修了した者
(3)職業能力開発促進法の一部を改正する法律による改正前の職業能力開発促進法第27条第1項の準則訓練である養成訓練のうち、職業能力開発促進法施行規則等の一部を改正する政令による改正前の職業能力開発促進法施行規則に掲げるとび科の訓練(職業訓練法の一部を改正する法律による改正前の職業訓練法第10条の準則訓練である養成訓練として行われたもの、および職業訓練法の一部を改正する法律による改正前の職業訓練法(第8条第1項の養成訓練として行われたものを含む)を修了した者
(4)旧能開法第27条第1項の準則訓練である養成訓練のうち、旧能開法規則に掲げる建築科の訓練(訓練法第10条の準則訓練である養成訓練として行われたもの、および旧訓練法第8条第1項の養成訓練として行われたものを含む)を修了した者
(5)職業能力開発促進法第27条第1項の準則訓練である普通職業訓練のうち、職業能力開発促進法施行規則に掲げるとび科の訓練(旧能開法第27条第1項の準則訓練である能力再開発訓練として行われたものや訓練法第10条の準則訓練である能力再開発訓練として行われたもの、および旧訓練法第8条第1項の能力再開発訓練として行われたものを含む)を修了した者
(6)職業訓練法施行規則の一部を改正する省令附則第2条第1項に規定する専修訓練課程の普通職業訓練(平成5年改正省令による改正前の同項に規定する専修訓練課程の養成訓練を含む)のうち53年改正省令による改正前の職業訓練法施行規則にとび科の訓練の例により行われる訓練を修了した者、または旧訓練法第8条第1項の養成訓練のうち旧訓練法規則に掲げるとび科の訓練を修了した者
4科目免除が適用
「作業方法に関する知識」「工事用設備、機械、器具等に関する知識」「作業環境に関する知識」「作業者に対する教育等に関する知識」が免除
2科目免除が適用
「作業環境に関する知識」「作業者に対する教育等に関する知識」が免除
- 鋼橋架設等作業主任者技能講習を修了した者
- コンクリート橋架設等作業主任者技能講習を修了した者
採点方式と合格基準
不明
けれども、合格率が100%であることを考えると、受講資格を通過してきちんと講習を受ければ合格できると思われます。
取得に必要な勉強などの費用
建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者の勉強方法はお伝えしているとおり、講習です。
それを受けてしっかり勉強すれば他の勉強はいりません。
講習でテキストも配られます。
全国には都道府県労働局長を受けた機関・団体が実施する技能講習がありますが、実施先により受講料が異なります。
受講料は次の欄でお伝えします。
受験料
お伝えしている通り、こちらでは受講料になります。
講習機関はたくさんあるので、一例になります。
埼玉県 | ¥11,780(内訳:受講料¥9,900、テキスト代¥1,880) |
東京都 | ¥14,190(内訳:受講料¥12,100、テキスト代¥2,090) |
神奈川県 | ¥13,410(内訳:受講料¥11,530、テキスト代¥1,880) |
群馬県 | ¥14,530(税込)受講料+消費税+テキスト代込み |
受験申込方法
認可団体である「建設業労働災害防止協会(建災防)」や「一般社団法人 日本鳶工業連合会」の公式サイトを開くと、建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者の技能講習の日程が載っていますので、受講したい地域に申し込みましょう。
電話番号や問い合わせ先が載っています。
まとめ
今回は長い名前になっている「建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者」についてお伝えしてきました。
高さ5m以上の金属製の部材を使用する建築物の組み立てや解体などを行う際に必要になる資格です。
とび職にはキャリアアップにつながる資格です。
取得するには各地で開催されている技能講習を受けることが鉄則です。
講習をまじめに受けていれば合格できます。
受講資格に気をつけて講習を受けてくださいね!
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