調剤報酬請求事務専門士について

調剤報酬請求事務専門士について

近頃、院外処方が増えてきているので、調剤薬局が増えています。
調剤薬局では、薬剤師や調剤薬局事務の方が働かれていますが、薬剤師への報酬に関する仕事をしているのは調剤報酬請求事務専門士です。
国の医療費抑制政策によって、調剤報酬は年々複雑化しています。
改定も次々に行われています。
調剤報酬請求事務専門士は、これらに対応することができる専門職です。
その調剤報酬請求事務専門士について解説させて頂きます。

適用する仕事

調剤薬局などでの受付、処方せん入力や会計、レセプト処理、チェックなどが仕事です。
調剤報酬請求事務専門士は、年々厳しくなり複雑化している調剤報酬の改定に迅速に対応して、的確な算定や説明ができなければいけません。
薬剤師をサポートして、保険薬局を問題なく運営するために重要な役割があります。

調剤報酬請求事務専門士の資格を取ると、調剤薬局やドラッグストアの事務スタッフなどの職に就くことが見込めるでしょう。

薬局

おおよその年収とキャリアパス

年収はおよそ180~680万円と幅があります。全国的な平均年収は300万円前後です。
手取りの月収は14万円から20万円くらいです。
働く場所によりますが、賞与のあるところもあります。
アルバイト・パートとして働く場合、時給は1,800円から2,500円ほどのところが多いです。

調剤報酬請求事務専門士の資格を取ると、調剤薬局やドラッグストアの事務スタッフといった就職先があります。
調剤薬局事務は働き方に自由が利くところがあって、正社員以外の雇用形態で働かれている方も多いです。
全国の薬局やドラッグストアなどで、この資格を手当てや昇給の対象として見ているところも多数あります。

認可団体

専門士検定協会

調剤報酬請求事務専門士検定協会を運営しているのは、一般社団法人専門士検定協会です。
また、株式会社日本医療総合支援評議会に教材の発送と請求業務を委託しています。

調剤報酬請求事務専門士の資格は、資格をとった後も2年に1度の更新制度を導入しています。
最新の保険知識の習得を援助して、有資格者のレベルを保つようになっています。

受験条件

調剤報酬請求事務専門士の試験を受けるのに、学歴や実務経験などの条件はありません。
どなたでも受験できます。

会場で受ける筆記試験と家での通信受験があります。在宅の通信受験ではFAXを使います。
FAXを使う通信受験では、NTT回線のFAXがなければ受験できません。
他社回線、IP電話回線では受験できません。

合格率

級ごとのおおよその合格率は以下の通りです。
2級と3級には通信受験がありますが、通常受験と通信受験では合格率が少し異なってきます。

1級:15~20%
2級:40%前後
通信2級:30~40%
3級:50~60%
通信3級:50~60%

受験

1年当たりの試験実施回数

試験は1年に2回実施されています。
試験の日程は、7月と12月の第1土曜日です。

試験科目

全級共通科目と、受験する級ごとの追加問題があります。

全級共通科目

学科 基礎30問:マークシート(択一式)
学科60分:実技60分

保険薬局と薬局業務の流れ、調剤報酬(点数算定の正しい知識と解釈)、在宅業務、調剤業務補助、薬剤の基礎知識、個人情報保護法、医療保険制度、医療関連法規(医療保険の種類、医薬分業の流れ)、患者接遇

1級

調剤報酬の基礎・応用を理解し、的確に説明することができる。(教育者・リーダーレベル)
追加問題はこちらです。

学科:応用20問:マークシート(択一式)

保険薬局と薬局業務の流れ、調剤報酬(点数算定の解釈と応用)、在宅業務、調剤業務補助、薬剤の基礎知識、個人情報保護法、医療保険制度、医療関連法規(医療保険の種類、医薬分業の流れ)、患者接遇

実技

処方せん3枚の設問箇所点数をもとめる:マークシート
処方せん1枚調剤報酬明細書作成(手書き)

2級

調剤報酬の基礎応用を理解し、実務に活かすことができる。(中堅社員レベル)
追加問題はこちらです。

学科:応用20問:マークシート(択一式)

保険薬局と薬局業務の流れ、調剤報酬(点数算定の解釈と応用)、在宅業務、調剤業務補助、薬剤の基礎知識、個人情報保護法、医療保険制度、医療関連法規(医療保険の種類、医薬分業の流れ)、患者接遇

実技

レセプト明細書作成:処方せん3枚:マークシート(設問箇所の点数をもとめる)
処方せんから調剤報酬明細書の設問箇所点数を求める
設問箇所の点数を求める

3級

調剤報酬の基礎を理解している。(新入社員レベル)
追加問題はこちらです。

学科:追加問題なし

基礎問題の30問の他には問題はありません。

実技

レセプト明細書作成:処方せん3枚(設問箇所の点数をもとめる)

採点方式と合格基準

基準のイメージ図

学科も実技もマークシート形式です。
合格基準は、学科と実技のどちらも得点率90%以上で合格です。

取得に必要な勉強などの費用

参考書や過去問を購入して勉強するときの参考書には、公式サイトから次のようなものが販売されています。

調剤報酬請求事務専門士 公式テキスト 第18版

公式テキスト

発行元:調剤報酬請求事務専門士検定協会
商品名:調剤報酬請求事務専門士 公式テキスト 第18版
価格:¥3,520(税込)

調剤事務と調剤業務補助の実務対応マニュアルの第18版(令和4年改定版)です。
「保険薬局と保険調剤及び調剤業務補助」と「調剤報酬点数算定」、「社会保障制度」の3部構成です。

保健調剤の業務の流れから、調剤業務補助の実務に必要な知識までが具体的な例を挙げながら説明されています。
年々複雑になっている「社会保障制度」では、図やイラストを使って丁寧に解説されています。

調剤報酬請求事務専門士 処方箋問題集 第17版

処方箋問題集

発行元:調剤報酬請求事務専門士検定協会
商品名:調剤報酬請求事務専門士 処方箋問題集 第17版
価格:¥2,750(税込)

特殊な内服薬、在宅医療(介護保険を含む)や高額療養費及び公費医療などの、多岐にわたる全30症例の処方箋問題集です。
令和4年度の調剤報酬改定にも対応しています。
保険薬局の薬局長に監修頂いて、実務に即した内容になっています。

受験料

受験料は、個人受験、法人会員、通信受験で異なります。
また、1級と2級の併願受験などもできます。
ここでの受験料は全て10%の税込です。

個人受験

1級:6,380円
2級:5,280円
3級:5,280円
1,2級併願:11,110円
2,3級併願:10,010円

法人受験

1級:6,050円
2級:4,950円
3級:4,950円
1,2級併願:10,780円
2,3級併願:9,680円

通信受験

1級:行われていません。
2級:9,680円
3級:8,580円
1,2級併願:行われていません。
2,3級併願:17,710円

受験申込方法

受験申込方法は、個人の会場受験と、個人の通信受験と、法人会員の場合で変わってきます。

学ぶ子

個人/会場受験の場合

書面で申し込む場合と、Webで申し込む場合とがあります。

書面で申し込む場合

書面で申し込む場合、願書を取り寄せて申込用紙に必要事項を記入して、374円分の切手を同封し、協会まで郵送します。

所在地

〒171-0021
東京都豊島区西池袋5-17-1
ルート西池袋ビル5F
一般社団法人 専門士検定協会

願書は紀伊国屋の新宿本店、ジュンク堂の池袋本店にも置かれています。
書店にある願書を使う場合は、切手等の手順が異なります。同封の書店用受験要綱をご確認ください。

また、ホームページから申込用紙をダウンロードすることもできます。
ダウンロードできない場合は、別紙で指名と住所、連絡先及び「願書取り寄せ希望」と記載して374円分の切手を同封し、検定協会まで郵送してください。

Webで申し込む場合

Webで申し込む場合、専用ページで受験料+願書セットを購入してください。

Webの場合、「一般社団法人専門士検定協会」のホームページから申込みができます。
会場は、北海道、仙台、東京、名古屋、大阪、兵庫、福岡と通信受験があります。
第1希望会場でお申込みください。
その会場が定員に達した場合は、願書に記載された第2希望会場になります。会場決定は願書到着順となります。

個人/通信受験の場合

通信受験は、NTT回線のFAXを利用します。試験問題はおおよそ、7枚から15枚です。
試験の当日の指定された時間に、受験者各自で指定された時間に試験問題を受験します。
解答を返信するのも、指定された時間に解答用紙を送信します。

まとめ

ガッツポーズ

調剤薬局での調剤に対する報酬に関する仕事をする、調剤報酬請求事務専門士についてでした。
調剤報酬は年々厳しく複雑化されています。
それもあって、この資格を取っても2年に1度の更新制度があります。
最新の保険知識をおさえていなければならない仕事なので、こういった制度が必要になります。

この資格試験を受けるのに、学歴や実務経験などの条件はなく、どなたでも受験することが出来ます。
3級から1級まであり、学科と実技があります。学科も実技もマークシートでの試験です。
家で受験ができる通信試験がありますが、そちらはNTT回線のFAXがなければ受験できません。

 

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