浄化槽管理士について

浄化槽管理士について

浄化槽管理士とは、浄化槽の保守点検や修理業務を行うための資格で、専門知識を持っていることを証明するものです。

浄化槽の管理業務に従事するためには必須の資格となります。
浄化槽は私たちが生活するうえで生じる生活雑排水を、微生物の働きによりきれいにする施設です。
ですので、いつも清潔な水を使用するためには浄化槽の保守点検は欠かせないのです。

そうした水を管理する大事な資格である浄化槽管理士という資格を、今回みていきます。

適用する仕事

浄化槽管理士 浄化槽
浄化槽管理士の仕事内容は、スーパーや老人ホーム公園などの大型施設や個人宅の小型浄化槽の保守点検業務を行うことです。

点検を行う前に周囲の清掃を行なった後、処理が済んでいる水の確認をします。
透明度、温度、ph値、塩素濃度、アンモニアや大腸菌が処理されているかなどを確認し、消毒の薬を補充します。

水質に異常があれば、ブロワーの強弱を変えて水質改善につなげます。
そして、汚泥の堆積量や詰まることなく水が流れているか、ブロワーが正常に作動しているかの確認をします。

全ての確認が終わったら、ブロワーのフィルターの掃除や浄化槽の軽い水洗いを済ませて終了となります。

大型施設の浄化槽の確認は、大きさに応じて週2回、週1回、月1回など点検する頻度が異なります。
個人宅の小型の浄化槽の場合は3ヶ月に1回の頻度で行われます。

浄化槽は生活排水の処理を行なっているものなので、蓋を開けると汚泥(糞尿)があります。
汚いし臭いもあります。
また、虫がわいている場合もありますので、そうした点はきついといえます。

おおよその年収とキャリアパス

浄化槽管理士 点検浄化槽管理士の平均年収は340万円です。
日本の平均年収(445万円)と比較すると低い傾向ではあります。

浄化槽管理士の資格取得後に、目指せる勤務先は「浄化槽設備会社」です。
下水道の整備がされていない地域において設置された浄化槽が、現場となるでしょう。

これは大都市圏では下水道がすでに整備されていますし、地方の農村や山間部では農業集落排水や特別環境下水道といった仕組みが整備されているからです。

しかし、浄化槽管理を行う企業では、各家庭に小型浄化槽がある場合など、顧客を掴むために多数の浄化槽管理士を社員として採用しています。
現在では浄化槽管理士の数は不足気味ですので、資格があれば就職には有利に進むでしょう。

認可団体

浄化槽管理士 ロゴ
公益財団法人 日本環境整備教育センター

〒130-0024
東京都墨田区菊川2-23-3
電話:03-3635-4880(代表)

主な沿革
昭和41年8月 社団法人日本浄化槽教育センター創立
昭和50年2月 社団法人日本環境整備教育センターに名称変更
昭和55年2月 社団法人日本環境整備教育センターを解散し、財団法人日本環境整備教育センターを設立
平成24年4月 財団法人日本環境整備教育センターを解散し、公益財団法人日本環境整備教育センターを設立
平成25年7月 浄化槽システム国際協力センターを新設

受験条件

浄化槽管理士の資格は環境大臣が行う国家試験に合格するか、環境大臣の指定する指定講習機関が行う浄化槽の保守点検に関して、必要な知識と技能に関する講習の課程を修了すると取得できます。

いずれの受験条件や受講条件はありません。
学歴、実務経験など一切問いません。

合格率

2021年度 20.8%
2020年度 31.1%
2019年度 20.3%

1年当たりの試験実施回数

国家試験は年1回、10月に実施されます。
宮城、東京、愛知、大阪、福岡の5県で行われます。

試験科目

浄化槽管理士 浄化槽2

  1. 浄化槽概論
  2. 浄化槽行政
  3. 浄化槽の構造や機能
  4. 浄化槽工事概論
  5. 浄化槽の点検、調整および修理
  6. 水質管理
  7. 浄化槽の清掃概論

なお、講習を受けて取得する方法でも上記と同じ科目を学びます。
講習は13日間行われ、最終日に全教科目全般にわたって考査が行われます。

採点方式と合格基準

問題数100問(午前50問+午後50問)の五択で出題されます。
マークシート方式です。
合格基準は満点の65%以上です。

取得に必要な勉強などの費用

勉強には参考書やテキストが販売しております。
市販されているものはもちろん、協会から販売されているものもあります。

浄化槽の維持管理

浄化槽管理士 浄化槽の維持管理

  • 発行元:公益財団法人 日本環境整備教育センター
  • 商品名:浄化槽の維持管理
  • 価格:¥24,090(税込)

浄化槽の点検、調整、修理といった保守点検そのものにかかわる事柄をはじめ、構造と機能、水質管理、浄化槽行政、関係法規など、浄化槽管理士として浄化槽の維持管理を行ううえで不可欠な事項を広く取り入れて、編集されているテキストです。

上下巻と浄化槽関連法規資料集がついて、3分冊となっています。

6ヵ年全問題収録 浄化槽管理士試験完全解答(改訂7版)

  • 出版社名:オーム社
  • 商品名:6ヵ年全問題収録 浄化槽管理士試験完全解答(改訂7版)
  • 価格:¥2,640(税込)

浄化槽管理士試験の全問題とその解答・解説を、2015年度から2020年度までの6年間分を収録した問題集です。
こちらでは、関連する法令(抜粋)も掲載してありますので、随時参照しながら学習できます。
その他、浄化槽管理の実務に必要な事柄を学ぶこともできるでしょう。

受験料

資格試験の受験料 20,200円
講習 129,700円

受験申込方法

受験を申し込むには、いくつか提出書類があります。

浄化槽管理士試験受験申請書

浄化槽管理士試験受験申請書に、所定の事項を記載して、裏面に受験料の「払込受付証明書」を貼り付けます。
受験申請書は1部200円です(送料別)。

浄化槽管理士試験受験写真用台紙と浄化槽管理士試験受験票

写真1枚を浄化槽管理士試験受験写真用台紙の所定の場所に貼付し、所定の事項を記入します。

写真は、申請前6ヶ月以内のもので、脱帽して正面から撮影した本人を確認できる背景、無地の上半身像(胸部から上のもの)を用意しましょう。

サイズは縦6㎝横4㎝です。
そして、台紙に貼る前に、その裏面に撮影年月日と氏名を記載して下さい。

浄化槽管理士試験受験票送付用の封筒

受験者の住所、氏名、郵便番号を記載し、84円切手を貼り付けます。

結果通知送付用シール

こちらも受験者の住所、氏名、郵便番号を記載しましょう。

まとめ

浄化槽管理士 管理士
今回は浄化槽の保守点検の業務の際に必要な「浄化槽管理士」という資格についてみてきました。

浄化槽とは、公共の下水道が配管されていない家庭に設置されている、もっとも身近な汚水処理設備です。
大都市圏では下水道が整備されているのでなじみがないかもしれませんが、浄化槽を使っている地域もあります。

浄化槽は下水道使用料金を安く抑えられたり、下水道設備にかかる工事費用よりも安いケースがあるなどのメリットがあります。

浄化槽本体やブロアー(空気を送る部品)などに寿命があるため、時期が来たら交換しなければならなかったり、1年の間に数度定期的に汲み取りをしなければならないなどのデメリットもあります。

浄化槽の点検を支えるのが「浄化槽管理士」の役目です。
資格の取り方は国家試験を受けるタイプと、講習を受けて取得するタイプの2種類があります。
どちらも学ぶ科目は同じです。

勉強方法は市販のテキストが手に入れられますし、協会から参考書が販売されています。
協会からの書籍は専門的なものが多く、価格もお高めですが、仕事へは役に立つと思います。
ぜひ、そういったものを活用して勉強してみて下さいね。

 

関連する記事はこちら
管工事施工管理技士について

建築物環境衛生管理技術者(通称「ビル管理技術者」「ビル管理士」)について

建築設備検査員(旧建築設備検査資格者)について