公認心理師について

公認心理師について

国家資格の公認心理師についてです。
試験を受けるために必要なものと、試験自体についてまとめさせて頂きました。

適用する仕事

公認心理師は、心理職のプロです。
心理学の知識や技術を使って、心の問題を抱える相談者に助言や指導などを行います。
働く場所としては、学校や病院、児童相談所、一般企業など幅が広いです。

まだ始まったばかりの心理系の国家資格なので、世間的な知名度は高くはないですが、今後広がっていくことが期待されます。

おおよその年収とキャリアパス

公認心理師の平均年収は、300万円から400万円ほどです。
フルタイムではなくて、パートや派遣社員の場合は、時給1,000円から2,000円ほどになります。

キャリアパスですが、最初から公務員や企業の正社員として働いているのがベストだとは思いますが、それは難しいと思います。
その場合は、非常勤のスクールカウンセラーであったり、企業の保健室での相談業務などで働くことが多いようです。
そういった場所で経験を積んでから再び就職活動することで、常勤に就くことができるといったケースもあります。

公認心理士.1

認可団体

国家資格になります。
文部科学省と厚生労働省の管轄です。
制度全体としては、厚生労働省が所管しています。
公認心理師は、2018年9月9日に第一回試験が実施された資格です。

受験条件

第5回の試験資格としては、次の区分Aから区分Fまでのいずれかを満たしている必要があります。

区分A

大学で施行規則第1条の2で定められた科目を履修していて、大学を卒業してのちに大学院で施行規則第2条で定められた科目を履修した者。施行規則第4条第1項で定める者。
2022年の本試験の受験対象者は、区分Aでは基本的には想定されていません。
大学で施行規則第1条の2で定める科目を履修していて、さらに、大学院で施行規則第2条で定める科目の履修をして修了した者。ここでは、定められた科目を似た科目で代用することは認められません

区分B

大学で、施行規則第1条の2で定める科目を履修していて、その後に卒業した者。その他施行規則第4条第2項の条件にあっていて、施行規則第5条で定める文部科学大臣、厚生労働大臣が認める各施設で2年以上、法第2条第1号から第3号までに示されている業務に従事した者。
第1号から第3号は、簡潔に説明すると次の通りです。

第1号の行為:心理の支援を要する者を観察して、その結果の分析
第2号の行為:心理の支援を要する者の、心理に関わる相談に応じて、助言や指導その他援助を行う
第3号の行為:心理の支援を要する者の関係者の相談に応じて、助言、指導その他の援助を行う

第5回の公認心理師試験を受ける者は、区分Bではほぼ想定されていませんでした。
大学で施行規則第1条の2で定める科目を修めている必要があり、いわゆる科目の読替えは適用されません。
施行規則第5条で定めるそれぞれの施設は、大学院以上の知識技能を身に付けられるものと文部科学大臣及び厚生労働大臣が認めるものです。

ここでの各施設に関しては、厚生労働省のホームページで確認できます。

区分C

海外の大学で心理に関する科目を修めて卒業し、さらに、海外の大学院において心理に関する科目を学習して、課程を修了した者等。
文部科学大臣及び厚生労働大臣の受験資格認定を受けた人が対象となります。

ある大学での公認心理師の必要科目は以下の通りとなっています。

  1. 公認心理師の職責
  2. 心理学概論
  3. 臨床心理学概論
  4. 心理学研究法
  5. 心理学統計法
  6. 心理学実験
  7. 知覚・認知心理学
  8. 学習・言語心理学
  9. 感情・人格心理学
  10. 神経・生理心理学
  11. 社会・集団・家族心理学
  12. 発達心理学
  13. 障害者・障害児心理学
  14. 心理的アセスメント
  15. 心理学的支援法
  16. 健康・医療心理学
  17. 福祉心理学
  18. 教育・学校心理学
  19. 司法・犯罪心理学
  20. 産業・組織心理学
  21. 人体の構造と機能及び疾病
  22. 精神疾患とその治療
  23. 関係行政論
  24. 心理演習
  25. 心理実習

詳細は厚生労働省のホームページを確認してください。

区分D1

2017年9月15日より前に大学院を修了していて、施行規則附則第2条で示された科目を修めた者。
2017年9月15日より前に大学院を修了していて、いわゆる科目の読替えが証明されている者。

区分D2

2017年9月15日より前に大学院に入学していて、その後に施行規則附則第2条で定められた科目を修めて大学院を修了した者。
2017年9月15日時点で大学院に在学中であって、その後に大学院を修了し、いわゆる科目の読替えが証明されている者。

区分E

2017年9月15日より前に大学に入学し、施行規則附則第3条に示さている公認心理師になるのに必要な科目を修めて卒業した者。その他施行規則附則第4条で定める者であり、2017年9月15日以後に大学院で、修了するまでに施行規則第2条で定める科目を修めた者。

大学では、いわゆる科目の読替えができますが、大学院では、施行規則第2条で定める大学院で修めるべき科目の修得が必要となります。
大学院では読替えは認められません。

区分F

2017年9月15日より前に大学に入学して、施行規則附則第3条に示されている公認心理師となるために必要な科目を修めて卒業した者。
その他施行規則附則第4条で定める者であり、施行規則第5条で定める各施設において、2年以上、法第2条の第1号から第3号までに掲げる行為の業務に従事した者。

ここでいわれる各施設とは、文部科学大臣、厚生労働大臣が認めるものです。
大学については、いわゆる科目の読替えができます。

合格率

公認心理師試験の、第1回から第4回までの合格率は以下の通りです。

第1回試験:2018年9月9日:受験者35,020人:合格者27,876人:合格率79.6%

第2回試験:2019年8月4日:受験者16,949人:合格者7,864人:合格率46.4%

第3回試験:2020年12月20日:受験者13,629人:合格者7,282人:合格率53.4%

第4回試験:2021年9月19日:受験者21,055人:合格者12,329人:合格率58.6%

第5回試験:2022年7月17日:受験者33,296人:合格者16,084人:合格率48.3%

1年当たりの試験実施回数

本試験は1年に1回実施されています。

公認心理士.3

試験科目

試験範囲は、公認心理師として具有すべき知識及び技能です。
問題数は150問から200問で、全問マークシート方式です。

弱視等受験者と点字等受験者は、時間割が異なります。
一般受験者は1回に120分の試験時間ですが、弱視等受験者は160分点字等受験者は180分の試験時間となっています。
一般受験者は、午前に120分、午後に120分の試験があります。

試験内容はこちらです。

    1. 公認心理師としての職責の自覚
    2. 問題解決能力と生涯学習
    3. 多職種連携・地域連携
    4. 心理学・臨床心理学の全体像
    5. 心理学における研究
    6. 心理学に関する実験
    7. 知覚及び認知
    8. 学習及び言語
    9. 感情及び人格
    10. 脳・神経の働き
    11. 社会及び集団に関する心理学
    12. 発達
    13. 障害者(児)の心理学
    14. 心理状態の観察及び結果の分析
    15. 心理に関する支援(相談、助言、指導その他の援助)
    16. 健康・医療に関する心理学
    17. 福祉に関する心理学
    18. 教育に関する心理学
    19. 司法・犯罪に関する心理学
    20. 産業・組織に関する心理学
    21. 人体の構造と機能及び疾病
    22. 精神疾患とその治療
    23. 公認心理師に関係する制度
    24. その他(心の健康教育に関する事項等)

採点方式と合格基準

公認心理師の試験は、4択または5択からなる多肢選択方式の筆記試験です。正誤判定での採点と思われます。
問題は、150問から200問ほど出題されます。

公認心理師試験の合格基準は、次の通りです。
「合格基準は総得点の60%程度以上を基準とし、問題の難易度で補正するという考え方を基に決定する。」

2019年から2021年の合格基準は以下の通りでした。

・2021年
143点以上/230点。割合:62.2%以上
・2020年
138点以上/230点。割合:60.0%以上
・2019年
138点以上/230点。割合:60.0%以上

取得に必要な勉強などの費用

学校に通うときの費用と、試験の参考書の価格は次のようになっています。

大学での費用は?

大学に通って、卒業後に大学院へ進学する場合の費用です。

・国立大学の場合
大学で約500万円かかり、大学院で約250万円かかるので、計で約750万円かかります。

・私立大学の場合
大学で約650万円、大学院で約400万円で、計で約1050万円かかります。

公認心理士.4

参考書の費用は?

試験の参考書の価格です。

公認心理師試験対策標準テキスト’22~’23年版

公認心理師試験対策標準テキスト’22~’23年版
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出版社:秀和システム
商品名:公認心理師試験対策標準テキスト’22~’23年版
価格:3,300円

ムリなくムダなく要点をしっかり学習できると謳っています。

赤本 公認心理師国試対策2022 (KS心理学専門書)

赤本 公認心理師国試対策2022 (KS心理学専門書)
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出版社:講談社
商品名:赤本 公認心理師国試対策2022 (KS心理学専門書)
価格:4,070円

過去5回分の試験の問題が全て載っています。河合塾KALSの模試も加えて解説されています。
ブループリントのキーワードも完全解説されています。
2022年7月に実施される第5回国試を受験される方に対応しています。

心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版

心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版
created by Rinker

出版社:翔泳社
商品名:心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 第2版
価格:3,520円

公認心理師試験の合格に必要な基本の知識を身につけられる本です。
ブループリントや試験の傾向をふまえた説明で、苦手分野を対策した学習であったり、知識の振り返りにも活用できます。

公認心理師の資格を持つ大学教員であったり、臨床心理士、医師、薬剤師、社会福祉士など、各分野に精通した方々が丁寧に解説しています。

2022年版 一発合格! 公認心理師対策テキスト&予想問題集

2022年版 一発合格! 公認心理師対策テキスト&予想問題集
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出版社:ナツメ社
商品名:2022年版 一発合格! 公認心理師対策テキスト&予想問題集
価格:3,080円

公認心理師、臨床心理士、指定大学院の受験に役立ちます。
公認心理師の試験範囲を、各分野ごとに平易な文章と図解を用いてわかりやすく解説されています。

公認心理師必携テキスト 改訂第2版

公認心理師必携テキスト 改訂第2版
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出版社:学研メディカル秀潤社
商品名:公認心理師必携テキスト 改訂第2版
価格:5,280円

試験対策だけでなく、資格を得た後の実務にも活かせる内容です。
公認心理師の業務に必須の知識と技術が満載しています。

受験料

試験受験手数料:28,700円(税込)
登録手数料:7,200円(税込)
登録免許税:15,000円(税込)

受験料は安くはないですが、資格の更新の必要がないため、更新料がかかりません。
ただし、それが問題視されていることもあるので、今後変わる可能性はあります。

受験申込方法

受験申込送付用封筒(緑色)を使用し、不着等を防止するため、必ず簡易書留で郵送する必要があります。
簡易書留の控えは、受験票を受け取るまで保管してください。
簡易書留以外の方法で郵送すると、不着等の事故が発生してもセンターは責任を負いません。
期日までに払込まないと、受付されませんのでご注意ください。

振替払込請求書兼受領書は領収書となります。保管しておく必要があります。領収書の再発行はされません。
受験申込書の受付後は、受験手数料の返還はされません。

まとめ

心理職のプロである国家資格、公認心理師についてでした。
心理学の知識や技術を使って助言や指導を行う人の資格です。
学校や病院、児童相談所、一般企業など幅広く公認心理師の方は居ます。

公認心理士.2

2018年に第1回目の試験がありました。
まだ始まったばかりなので合格率などは上下していますが、2019年から2021年の試験ではだいたい50%前後の合格率となっています。
試験は年に1回です。

試験時間は、一般受験者は午前に120分、午後に120分あるので体力の要る試験です。全問マークシートです。
受験料も28,700円(税込)するので、しっかり対策をして受けたい試験だと思います。
現時点では、資格の更新の必要がなく、更新料がかかりません。

 

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