地下タンク等定期点検技術者について

地下タンク等定期点検技術者について

今回は地下タンクに関する資格を取り上げます。
身近にあるガソリンや灯油などは、換気の良いところに保管するのを勧められます。
しかし、その保管場所が地下タンクということもあります。
地中に埋められたタンクや配管は、場所の性質上腐食がしやすいところです。

ガソリンや灯油などは消防法で指定された「危険物」ですから、腐食しやすい場所に保管しておいても安全に取り扱いができる専門家が必要です。
そのために、この「地下タンク等定期点検技術者」の資格があります。
取得するには「全国危険物安全協会」が実施する講習を受けて、修了考査に合格しなければいけません。

適用する仕事

地下タンク等定期点検技術者 ガソリンスタンド1地下タンク等定期点検技術者とは、地下タンクや地下埋設配管などの危険物が置かれている施設を定期的に点検する専門家のことです。
万が一、地下タンクに穴が空いて、危険物が漏れるような事態になったら大変なことになります。

施設からの危険物の流出事故では、事故の原因の大半が腐食と劣化によるものだそうです。
こうした事故が起こらないように定期的な点検が消防法で義務づけられています。

この定期的な漏れの点検を行える従事者が「地下タンク等定期点検技術者」です。
地下タンク等定期点検技術者は、危険物の漏れの点検を適正に行えるスキルを持ち、精度の高い点検機材を扱える人材です。
それ以外の人は点検作業が困難といわれています。

地下タンクや地下配管についての点検方法は、告示で定められています。
具体的には、位置や構造、設備が技術上の基準に適合しているかを確認します。

このように、地下タンク等定期点検技術者の資格は人命や環境を守るために必要不可欠なものなのです。

おおよその年収とキャリアパス

地下タンク等定期点検技術者 ハートマーク求人情報を見ても、年収は企業の規模にもよりますから一概にいえません。
地下タンク定期点検スタッフで年収580万~730万と提示してあるものもあれば、月収26万~31万のものもあります。
しかし、地下タンク等定期点検技術者の資格を保有していると、経験を積んでいけば昇給も期待できます。

この資格を持っていると、地下タンク設備などの施工メンテナンス会社で活躍できます。
そうした会社から工場、病院などの大型施設やガソリンスタンドの点検に向かう勤め方になるでしょう。

地下タンク等定期点検技術者の資格はこれからも需要があります。
繰り返しますが、地下タンクの定期点検は法律で義務付けられているからです。
この資格は定期点検のみならず、タンクの清掃などのメンテナンスにも使えます。
適切にメンテナンスを行えばタンクの設備の寿命も変わってきますので、企業側にとってはコスト削減にもつながります。

つまり、地下タンクや地下埋設配管などに危険物を保管する施設がなくならないかぎり、今後も安定した仕事の依頼が見込めるでしょう。
資格取得者にかかる期待は大きいと思います。

認可団体

地下タンク等定期点検技術者 ロゴ地下タンク等定期点検技術者の資格を運営・管理している団体は、「一般財団法人全国危険物安全協会」というところです。

一般財団法人全国危険物安全協会
〒105-0021 東京都港区東新橋1-1-19 ヤクルト本社ビル15階
電話:03-5962-8921(代表)
FAX:03-5962-8929
主な沿革
昭和34年10月 消防法の改正が契機となり、都道府県単位の広域的な危険物安全協会連合会が組織される
昭和45年6月 危険物災害を未然に防止するために、全国危険物安全協会連合会が設立される
昭和63年4月 全国危険物安全協会として財団法人化する
平成25年4月 一般財団法人へと移行。現在に至る

受験条件

受講資格はありません。

合格率

この資格は講習と修了考査で取得できます。
講習者数や合格率は非公開です。

1年当たりの試験実施回数

講習は1ヶ月に1回のペースで、全国のさまざまな箇所で開催されているようです。
受講はオンラインで勉強できます。

ただし、対面講習で学習する場合は、札幌、東京、大阪、福岡の4ヶ所で開催されます。
対面講習の場合は2日間にかけて受講します。

試験科目

地下タンク等定期点検技術者 パソコンこちらは講習科目を挙げます。
受講するには、オンライン講習と対面講習の2通りの形式から選べます。
対面講習はオンライン講習を受講できない人向けの講習です。
オンライン講習ができる人は、できるかぎりそちらを選択するようにしてください。

オンライン講習

  • 危険物法令(危険物規制の体系、定期点検制度)
  • 危険物の概要(危険物の性質、火災予防や消火方法)
  • 基礎物理学(気体液体の一般法則、圧力に関する知識)
  • 危険物の概要(地下貯蔵タンクを有する製造所等の位置や構造、および設備の技術上の基準、腐食等の事故事例)
  • 基礎物理学(加圧法、微加圧法、微減圧法、二重殼タンクの外殻[検知]の点検方法、その他の方法)
  • 実習(ガス加圧法、微加圧法、微減圧法、その他の方法)

その後修了考査を行う

対面講習

1日目

講習科目 講習内容
危険物法令 危険物規制の体系・定期点検制度
危険物の概要 危険物の性質・火災予防や消火方法
基礎物理学 気体液体の一般法則・圧力に関する知識
危険物施設の概要 地下タンクの位置・構造・設備の基準、変遷、事故事例、流出事故
点検実施要項 加圧法

2日目

講習科目 講習内容
点検実施要項 微加圧法・微減圧法・二重殻タンクの外殻の点検方法・その他の方法
実習 点検器具を用いた点検実習・データ解析・報告書の作成

届出手続き、修了考査などについての説明の後、修了考査を行う

※甲種危険物取扱者免状、または乙種第4類危険物取扱者免状の交付を受けている方は、希望すれば「危険物法令」と「危険物の概要」の受講が免除されます。

採点方式と合格基準

講習を受けて簡単な修了考査のみで取得できるので、講習さえ受けられればどなたでも取得できるようです。

オンライン講習の場合は、オンライン講習受講期間内に必ず修了考査まで済ませてください。
期間中に修了考査が完了しない場合は、講習未了となってしまいます。
修了考査の結果、不合格になった場合は再考査を受けることができます。
その際も受講期間内に済ませてください。

対面講習の場合、修了考査が不合格になった場合は、希望者に限りオンライン上で「再考査受験」を1回選択することができます。

修了考査に合格すると、合格者には修了証が交付されます。
しかし、修了証の有効期間は5年間です。
その後は5年に1度の頻度で定期講習を受講します。
そうすることによって、修了証の有効期限を延長していきます。
定期講習には修了考査はありません。

取得に必要な勉強などの費用

この資格は講習さえ真面目に受けていれば、修了考査があっても簡単に取得できるそうです。
ですので、勉強の費用は受講料だけといって良いでしょう。
受講料は次の項目でお伝えします。

受験料

こちらは受講料です。
初回講習では39,600円(消費税含む)かかります。
一方、定期講習での料金は10,450円(消費税含む)です。
これらにはテキスト代が含まれています。

納付方法は講習申し込み画面に表示されている支払い方法から、選択して行います。
支払い期限がありますので厳守しましょう。
なお、支払いに関する手数料は受講者が負担します。

受験申込方法

まず「一般財団法人全国危険物安全協会」のホームページを検索していただき、地下タンク等定期点検技術者講習のページにて新規登録をします。
ページ下部に新規登録のボタンが設定されています。

登録したらマイページができ上がりますので、それに従って受講を申請します。
オンライン講習受講者には、テキストが送付される仕組みになっています。

地下タンク等定期点検技術者 ガソリンスタンド2

まとめ

今回は地下タンクや埋設された配管に危険物が保管されている施設を定期点検するための資格である、「地下タンク等定期点検技術者」を取り上げました。
地下タンクや埋設された配管に危険物が保管されている施設とは、ガソリンスタンドや病院、ホテルなどがあります。
この資格を持って活躍できる場所は、地下タンク設備などの施工メンテナンス会社です。

資格の取得方法は地下タンク等定期点検技術者の講習を受けて、修了考査に合格すれば取得でき、修了証が交付されます。
危険物が上記のようなところで保管されている限り、この仕事の需要はありますが、この資格は5年ごとに定期講習を受けなければなりません。
定期講習にも受講料が発生します。

しかし、人命や環境を守るために必要不可欠な資格ではあります。
メンテナンス系の企業に勤めている人は、挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

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