皆様こんにちは。今日はボイラー取扱者試験についてお伝えします。
ボイラー取扱者とは「ボイラー取扱技能講習」「小型ボイラー取扱業務特別教育」「小規模ボイラー取扱者」のいずれかを修了した者を示します。
ボイラーは、四つの区分があります。
四つの区分とは「簡易」「小型」「小規模」「通常ボイラー」のことです。
ボイラー取扱技能講習を修了すれば、小規模ボイラーが取り扱えます。
小型ボイラー取扱業務特別教育を修了すれば、小型ボイラーが取り扱えます。
ちなみに、簡易ボイラーを取り扱うのに資格は必要ありません。
Contents
適用する仕事
ボイラー取扱者試験では、簡易、小型、小規模に区分されるボイラーを取り扱う仕事であれば、適用します。
区分の違い
- 「ボイラー取扱技能講習」は、小規模、小型、簡易の三つが扱えます。
- 「小型ボイラー取扱業務特別教育」は、小型、簡易の二つが扱えます。
そして、「小規模ボイラー取扱者」は、以下の条件のいずれかを満たすボイラーが扱えます。
- 胴の内径が750ミリメートル以下、かつ、全長1300ミリメートル以下の蒸気ボイラー
- 伝熱面積が3平方メートル以下の蒸気ボイラー
- 伝熱面積が14平方メートル以下の温水ボイラー
- 伝熱面積が30平方メートル以下の貫流ボイラー
- 伝熱面積が30平方メートル以下の気水分離器がある貫流ボイラー、(汽水分離器が或る者の場合は分離器の内径が400ミリメートル以下、加えて、分離機の内容積が0.4立方メートル以下)
ボイラー取扱者の仕事内容とは
空調、発電タービン、加熱・保温器などに、ボイラーが用いられています。
ボイラー取扱者として、ボイラーの点検・調整・清掃を行い、正常運転の維持を目的に管理を努めます。
また、ボイラーの業務に関わらない他所の従業員が出勤するまでに、ボイラーを稼動させておきます。
必要な熱源が供給されているかどうか、計器を監視します。
時には、目視で確認する場合もあります。
ボイラー取扱者は、人々の生活を支えているわけですね。
オフィスビル、ホテル、病院、学校などに、給湯設備や空調設備を稼動させるため必ずボイラーが設置されています。
また、ボイラーメンテナンスを請け負うビルメンテナンス会社に就職できる可能性もあります。
簡易・小型・小規模ボイラーであれば、これらの職場にボイラー取扱者として携われます。
多くの場合、「大型」ボイラーや「大規模」ボイラーを地下室に設置しています。
これらを扱うには、ボイラー技士の資格が必要です。
しかし、なかには、「小型」の燃料切替専焼ボイラーを設置している所もあります。
災害の影響でガスか重油のどちらかが断たれた非常時に、断たれていないほうの燃料に切り替えて稼動を続けられるのが利点の小型ボイラーです。
これは小型ボイラーですので、ボイラー取扱者試験の資格があれば扱えます。
つまり、ボイラー取扱者も一定の需要が見込めます。
おおよその年収とキャリアパス
「簡易ボイラー」
「小型ボイラー」
「小規模ボイラー」
上記の語でそれぞれ検索して出てきた、求人例をいくつかご紹介します。
「時給1,500円:医療機器メーカー 医療従事者向け研修センタ内 電気・空調・給排水設備などの保守、点検、管理」
「月給20.7万:産業用小型貫流ボイラ メンテナンス」
一方、キャリアパスに関しては、残念ながらめぼしい情報は見つかりませんでした。
小規模ボイラー取扱者は、講習を受けて修了試験をパスするだけで取得できます。
実務経験も必要ないため、この資格だけで就職につながるとは言い切れません。
簡易ボイラー、小型ボイラー、小規模ボイラーを取り扱う業務内容の求人に着目しましょう。
また、「通常ボイラー」も取り扱えるようになる「ボイラー技士資格」の取得の足がかりとして、ボイラー取扱者試験を取得しておくのもよいでしょう。
認可団体
主催しているのは、「一般社団法人 日本ボイラ協会」です。
受験条件
先ほど紹介した区分では、受験条件は全てありません。
合格率
全て公表されていません。
1年当たりの試験実施回数
ボイラー取扱技能講習は、各支部ごとに異なります。
試験科目
試験科目はボイラー取扱技能講習と小型ボイラー取扱業務特別教育があります。
ボイラー取扱技能講習
二日間の座学です。
全14時間を使って5科目を学びます。
- ボイラーの構造に関する知識
- ボイラーの取扱いに関する知識
- 点火及び燃焼に関する知識
- 点検及び異常時の処置に関する知識
- 関係法令
小型ボイラー取扱業務特別教育
二日間で、一日目に学科講習、二日目に実技講習があります。
- ボイラーの構造に関する知識
- ボイラーの附属品に関する知識
- 燃料及び燃焼に関する知識
- 関係法令
- 小型ボイラーの運転及び保守
- 小型ボイラーの点検
- 小規模ボイラー取扱者
採点方式と合格基準
全て公表されていません。
取得に必要な勉強などの費用
取得に必要なテキストを紹介します。
まずは講習テキストですが、『ボイラー取扱技能講習テキスト』を1,568円(税込)で購入することができます。
その他の図書をご紹介します。
[新版]ボイラー図鑑
出版社名:一般社団法人 日本ボイラ協会
商 品 名:[新版] ボイラー図鑑
価 格:¥1,375(税込)
ボイラーの構造や種類、仕組み、附属する設備・機器をイメージすることは簡単ではないでしょう。
こちらは初心者の方が解りやすいように写真や図を多く掲載した本です。
[新版]わかりやすいボイラー及び圧力容器安全規則
出版社名:一般社団法人 日本ボイラ協会
商 品 名:[新版] わかりやすいボイラー及び圧力容器安全規則
価 格:¥1,375(税込)
法令を理解することができるように説明図を多く加え、解りやすく説明しています。
法令が苦手な方に必見のテキストです。
受験料
こちらはすべて受講料になります。
ボイラー取扱技能講習:¥19,148(税込)
小型ボイラー取扱業務特別教育:¥14,000(税込)
受験申込方法
各支部ごとに申込方法が異なります。
最寄りの支部に問い合わせてください。
方法として郵送申込ができるところもあります
インターネットでは、申込フォームから申し込めます。
公式サイトにてPDFダウンロードでできますよ。
また、FAXもできるところもあります。
提出方法としては、申込書を事務所に持参しても良い支部もあります。
まとめ
ボイラーは奥深いです。
既に知識がある方も、これからボイラーについて学ぼうと思っている方も、ボイラーについておさらいしておきましょう。
ボイラー取扱者試験に合格して、ボイラー取扱者になるわけですから、ボイラーについて知っておいて損はないし、既に知っていてもその知識について振り返っておけば、仕事が確実にこなせますよね。
それから、ボイラー取扱者として、負荷の急激な増減は、プライミング及びキャリオーバの原因となることや、最高使用圧力(MPa)を超えた圧力を掛けないことや、ボイラー水の吹き出しをし、蒸発残留物を適宜排出することや、地下水、河川水に含まれるシリカや、工業用水、水道水中のカルシウム、マグネシウムが、スケール化(析出。水から不純物が結晶化してボイラー内部にこびり付くこと)を引き起こし、水管を腐食させ、過熱、破裂事故とならないようメンテナンスを怠らないことなど、ボイラー取扱者として知っておくべきことはたくさんあります。
「低水位燃料遮断装置」がボイラーには備わっています。
低水位(安全低水面以下)が確認されたとき、燃料の供給を自動的に遮断してくれる装置で、炉筒の膨出変形や空焚きによる圧壊といった、低水位による事故を防いでくれます。
この装置を正しく動作させるには、ボイラー取扱者のメンテナンスが必要不可欠です。
機種によっては、省エネ運転や誤認運転防止のための自動制御装置である「炎検出器」が存在します。
熱電対方式、フォトダイオードセル、紫外線光電管など、炎検出器には様々な種類がありますが、いずれの方式でも経年劣化は避けられません。
もし、これが付いている機種を扱うボイラー取扱者は、炎検出器を定期的にメンテナンスする必要があるでしょう。
それにしても、いやはや、奥が深いですね。
皆様も、「ボイラー取扱技能講習」や「小型ボイラー取扱業務特別教育」に挑戦して、奥深いボイラーの世界に触れてみてはいかがでしょうか。
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