水泳指導管理士は財団法人日本スポーツ施設協会(Japan Sport Facilities Association)が認定する民間資格です。
基本泳法はもちろん救助法・救急法の実技と、プール施設の維持管理、運営に関する必要な知識を判定します。
「公認プールや標準プールを運営する際、いずれかの資格を有する者をプール管理者として置かなければならない」という規定があるのですが、その一つに指定されています。
それでは資格を取得した上で、仕事へのメリットなども含めて見ていきましょう。
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適用する仕事
各種プールのある施設が主な就職先となります。スイミングスクールやフィットネスクラブも含まれます。
具体的にいくつかのサイトで「水泳指導管理士」で求人情報を調べてみると、プール監視員の募集が多く見受けられましたが、コーチまたはインストラクターとして募集しているところもありました。
雇用形態は様々で、正社員の募集もあります。
就職のために資格が必須というわけではないものの、とりわけプール監視員などは保持していると重宝されるようです。
プールでの監視とインストラクターを含めた全体的な業務を行う、プール施設のスタッフを募集している企業が多いのが現状です。
水泳指導職全般的に言えることですが、仕事として携わるなら以下の能力が求められます。
- 体力および、水泳の泳力に自信があること
- 指導を行うため、コミュニケーション能力が人並み以上であること
- 子供と接することが苦ではないこと
- トラブルが起きても慌てずに対処できること(応急救護を行う可能性があるため)
こういった能力のある方は向いていると言えるでしょう。
向き不向き問わず常にプール利用者が安全に利用できるよう、注意深くチェックすることも求められます。
全国の水泳人口は少子化により青少年では減少傾向にありますが、成人においては一定の範囲内で増減を繰り返す状態にあり、少なくとも減少傾向にはないようです。
そのため将来の見通しも比較的良好です。
おおよその年収とキャリアパス
年収は正社員で250~300万円程度、パート・アルバイトであれば地域により異なりますが、時給1,000円程度が相場のようです。
企業により資格保持者への特別手当が出ることもあります。
収入面だけを考慮すると、他の職に比べて少ない傾向にあります。
好きなことを仕事にするという思いを大切にしながら、働いている方が多いのだろうと想像できます。
キャリアパスとしては、もしもパート・アルバイトとして入社した場合は、まずは正社員または契約社員を目指して働くとします。
それらの立場までなったら、その後サブマネージャー、マネージャーへと昇進していくことが考えられます。
とはいえ、一定期間企業や団体に所属した後にフリーとして働く方もたくさんいます。
その場合は1レッスンごとの契約になります。
フリートレーナーとしての収入は、1レッスンで3,000円から4,000円が相場のようです。
認可団体
認可団体は「公益財団法人日本スポーツ施設協会(Japan Sport Association)」です。
〒170-0002 東京都豊島区巣鴨2-7-14 巣鴨スポーツセンター別館3階
TEL:03-5972-1982 FAX:03-5972-4106
受験条件
以下の4点全ての条件を満たしている方
- 受講初日時点で満20歳以上
- 競泳4泳法と横泳ぎができる(特に平泳ぎができていること)
- 同一泳法で200メートル以上泳げる
- 立泳ぎ(足のみ)が3分以上できる
また、近年ではコロナワクチンを接種した方という条件も追加されています。
この条件については、事前に問い合わせていただくことをお勧めします。
合格率
合格率は90%と言われています。
講習の内容が身についていれば、さほど難しい試験ではなさそうです。
1年当たりの試験実施回数
年に一度(5月)に講習会があり、その中に試験も含まれています。
ちなみに、令和4(2022)年度では5月17日(火)から20日(金)の4日間開催され、初日に実技試験(基本泳法)、最終日に理論試験全般と実技試験(救助法)が行われました。
試験科目
試験科目は以下の通りです。
理論
- 基本泳法
- 監視法と救助法
- スポーツ施設の事故防止と救急対応
- プール施設のマネジメント
- 水泳事故と法的責任
- 利用者サービスの向上と顧客満足度
- プール施設の安全管理
- プール施設・設備の維持管理
実技
- 基本4泳法(クロール・平泳ぎ・バタフライ・背泳ぎ)と横泳ぎ、立泳ぎ
- 救助法
公益財団法人日本スポーツ協会公認「水泳教師・上級教師」、「水泳コーチ1(旧指導員)」、「水泳コーチ2(旧上級指導員)」、「水泳コーチ3(旧コーチ)」、「水泳コーチ4(旧上級コーチ)」の資格所有者は、申し込みの際に認定カードを添付すると、基本泳法に関わる試験が免除となります。
採点方式と合格基準
採点方式は非公開でした。講習会で講師が泳法をチェックする方式が予想されます。
合格基準は理論では、正解率がおおよそ6~7割が合格ラインのようです。
なお、この資格は指導力の維持とさらなる向上のため、4年毎に更新が必要です。
その際、日本スポーツ施設協会が定める更新要件のいずれか1つを満たすことが必要です。
詳しくは協会のWebサイトに掲載されています。
取得に必要な勉強などの費用
講習の内容と試験科目がほぼ同じことから、講習会で習った範囲から出題されます。
講習会がいかに重要かがわかります。
試験実施回数でも触れたとおり、講習会は年に1回、4日間(実技講習が11時間、理論講習が8時間30分、計19時間30分)となっています。
受験料
受験料(講習会会員及び学生は10,000円、一般は15,000円)
養成講習会の受講料(講習会会員及び学生は27,000円、一般は34,000円)
資格認定登録料(20,000円)
受験申込方法
日本スポーツ施設協会のWebサイト内「公認水泳指導管理士養成講習会」のページの申し込みフォームに従って、お申込みください。
申込期間は講習会開始日の約1か月半前までとなっています。
まとめ
水泳関連の資格は複数あり、どの資格が良いという優越の比較はできません。
水泳コーチ1、2(旧:水泳指導員・上級指導員)や水泳教師といった、水泳の普及や技能向上、人材育成に重点を置いている資格とは趣旨が異なっており、これらの資格は主に水泳インストラクター職で効力を発揮します。
それに対し、水泳指導管理士の資格は資格を保持することで、水泳インストラクター・コーチとプール監視員どちらの職にも資格を生かすことができます。
そのため、水泳指導者を目指すのであれば、必須ではないとはいえ、ぜひ取得しておきたい資格です。
資格を保有していることで特別手当がもらえる以外にも、水泳人口も安定しており一定数の需要があることから、比較的将来性があることもプラス面と考えてよいでしょう。
水泳はウォーキングやランニング同様、非常に多くの人に親しまれているスポーツです。
けれども、一歩間違えると生命に関わる事故が起こりうるため、救助・救急に当たる人材は不可欠です。
この資格を取得しようと考えている方は、水泳を教えることだけでなく、救助や安全管理などについても念頭において講習や試験に臨んでいただければと思います。
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