警備業務検定(警備員検定)について

警備業務検定(警備員検定)について

警備業務検定とは、名前の通り警備業務に関して一定以上の知識および技能を有することを公的に認定する資格のことです。
警備をする現場によってはこの資格を持っていないと、警備員として就業できない場合もあります。
警備員といったらよく求人欄に出てきそうな職業ですけど、専門的なことを学ぶ資格があるのです。
今回はこの警備業務検定について学んでいきましょう。

適用する仕事

警備業務検定に合格した人に適用する仕事は、文字通り警備の仕事です。
勤め先は警備保障会社が多いです。
交通誘導や航空保管、核燃料物質等運搬、貴重品運搬までと警備を行う対象は広いです。

警備員の仕事は資格がなくても務めることができますが、警備会社の中には警備業務に関連する資格取得を必須としているところがあります。
そういう理由のため、資格を持っていると有利になります。

警備の仕事は警備業務法という法律により、4種類に分けられます。

施設警備

施設警備というのは、ビルや商業施設病院空港など施設内で警備を行うことです。
そうしたところを常駐・巡回し、トラブルを防いだり、緊急が起きた際には対処に努めます。
入退出管理やモニターの監視、施設内の施錠管理の業務もあり、幅広いです。

交通誘導

赤いポールを前に出している男性警備員こちらは工事現場や駐車場などで交通整理をする警備のことです。
工事現場では大型トラック重機も出入りしますので通行人の安全を確保することが大事です。
また、商業施設や公共施設では駐車場で駐車スペースへの案内なども行います。

ちなみに、この中には雑踏警備も含まれています。
雑踏警備というのはイベントやお祭りなど、人が集まる場所での事故を防ぐために人員整理・誘導・案内を行う警備のことです。

輸送警備

扉の前で警備をしている青い制服の男性これは現金や美術品などを輸送する際に盗難や襲撃を防ぐための警備です。
現金輸送車に乗っている警備員がこれに該当します。
また、核燃料の移送のときも警備が必要になります。
いずれのどの対象物をとっても、強固な警備が求められる業務になります。

身辺警備

これはいわゆるボディガードと呼ばれる警備の種類です。
依頼人およびその財産を守るのが務めです。
著名人や政治家などについている裕福な警備を想像しますが、最近ではストーカーやDV対策、子供や高齢者の見守りといった利用も増えてきています。

アルバイトの求人では輸送警備と身辺警備は募集されませんが、警備にはこのように4つの種類があります。

おおよその年収とキャリアパス

警備員の年収は全体として350万円くらいでしょう。
男女別で見ると男性が約355万円、女性が330万円です。
全産業の合計の年収が約490万円ですので、警備員の年収は他の職業に比べて低めです。

上記で警備の種類ごとに解説しましたが、警備の種類ごとでも年収は違います。
年収の違いは以下の表になります。

施設警備 機械警備業務に携わる資格保持者は約450万円、その他は約300万円
交通誘導警備 約220万円~(時給や派遣で働いている人が多いため)
輸送業務 約200万~400万円
身辺警備 約420万~550万円(危険度が高い業務のため)

もちろん警備業務検定の資格を取得すると年収がアップするでしょう。

キャリアパスとして、警備業務検定の資格を取得すれば専門性向上や業務の幅が広がります。
そうして業務を務めたのち、実務経験3年以上経験すれば警備員指導教育責任者を取得できます。
そうして徐々に管理職になっていくのが理想のルートです。

警備員としての階級は次のようになります。

警備士→上級警備士→警備長→上級警備長→警備司令補→警備指令→警備司令長

階級は入社年数や業務上の実績、試験の結果などによって上がる場合があります。
資格を持っていると、年収アップや昇級に有利になるので取得した方が良いでしょう。

認可団体

警備業務検定は国家資格で、資格を運営している団体は都道府県公安委員会です。

受験条件

試験会場になっている会議室資格を取得するには公安委員会が行う検定を受験する方法と、登録講習機関が行う講習会を受講して修了考査に合格する方法の2通りがあります。

直接検定の場合

1級…受験しようとする同一検定種別の2級検定合格証明書の交付を受けた後、当該種別に係る警備業務に従事した期間が1年以上である者

2級…年齢、学歴などに制限なし

講習の場合

1級…受けようとする種別の2級の合格証明書の交付を受けた後、当該種別の警備業務に1年以上従事している者

2級…年齢、学歴などに制限なし

合格率

警備業務検定は法令によって6種類あります。

  1. 空港保安警備業務
  2. 施設警備業務
  3. 雑踏警備業務
  4. 交通誘導警備業務
  5. 核燃料物質等危険物運搬警備業務
  6. 貴重品運搬警備業務

資格の取得方法には、公安委員会による直接検定と特別講習指定機関による特別講習の修了があります。

以下の合格率は警備員特別講習事業センターの2021年の合格率データです。(空港保安警備業務と核燃料物質等危険物運搬警備業務はデータなし)

施設警備業務
1級 64.7%
2級 75.8%

雑踏警備業務
1級 70.4%
2級 83.0%

交通誘導警備業務
1級 70.0%
2級 66.4%

貴重品運搬警備業務
1級 82.4%
2級 80.9%

1年当たりの試験実施回数

頻度は都道府県の実施機関によって違いますし、上記に挙げた警備業務の種類によっても変わります。
しかし、毎月どこかの地域で開催しています。
月に2~3回は開催しています。

試験科目

防犯を表現している模型こちらは直接検定での試験科目です。
試験は学科試験・実技試験ともあります。

空港保安警備業務

2級

  1. 警備業務に関する基本的な事項
  2. 法令に関すること
  3. 乗客などの接遇関連
  4. 手荷物等検査に関すること
  5. 空港に関すること
  6. 航空の危険を生じさせる恐れのある物件および不審者を発見した場合における、応急の措置に関すること

1級

  1. 警備業務に関する基本的な事項
  2. 法令に関すること
  3. 乗客などの接遇関連
  4. 手荷物等検査に関すること
  5. 空港に関すること
  6. 空港保安警備業務の管理に関すること
  7. 航空の危険を生じさせる恐れのある物件および不審者を発見した場合における、応急の措置に関すること

施設警備業務

2級

  1. 警備業務に関する基本的な事項
  2. 法令に関すること
  3. 警備業務対象施設における保安に関すること
  4. 警備業務対象施設の破損等の事故が発生した場合における、応急の措置に関すること

1級

  1. 警備業務に関する基本的な事項
  2. 法令に関すること
  3. 警備業務対象施設における保安に関すること
  4. 施設警備業務の管理に関すること
  5. 警備業務対象施設の破損等の事故が発生した場合における、応急の措置に関すること

雑踏警備業務

2級

  1. 警備業務に関する基本的な事項
  2. 法令関係
  3. 雑踏の整理に関すること
  4. 人の雑踏する場所における負傷などの事故が発生した場合における、応急の措置に関すること

1級

  1. 警備業務に関する基本的な事項
  2. 法令関係
  3. 雑踏の整理に関すること
  4. 雑踏警備業務の管理に関すること
  5. 人の雑踏する場所における負傷などの事故が発生した場合における、応急の措置に関すること

交通誘導警備業務

2級

  1. 警備業務に関する基本的な事項
  2. 法令関係
  3. 車両などの誘導に関すること
  4. 工事現場その他の人または車両の通行に危険のある場所における、負傷などの事故が発生した場合における応急の措置に関すること

1級

  1. 警備業務に関する基本的な事項
  2. 法令関係
  3. 車両などの誘導に関すること
  4. 交通誘導警備業務の管理に関すること
  5. 工事現場その他の人または車両の通行に危険のある場所における、負傷などの事故が発生した場合における応急の措置に関すること

核燃料物質等危険物運搬警備業務

2級

  1. 警備業務関連の基本的な事項
  2. 法令関係
  3. 核燃料物質等危険物に関すること
  4. 車両による伴走および周囲の見張りに関すること
  5. 核燃料物質等危険物に係る盗難などの事故が発生した場合における応急の措置に関すること

1級

  1. 警備業務関連の基本的な事項
  2. 法令関係
  3. 核燃料物質等危険物に関すること
  4. 核燃料物質等危険物運搬警備業務の管理に関すること
  5. 車両による伴走および周囲の見張りに関すること
  6. 核燃料物質等危険物に係る盗難などの事故が発生した場合における応急の措置に関すること

貴重品運搬警備業務

2級

  1. 警備業務に関する基本的な事項
  2. 法令関係
  3. 貴重品運搬警備業務用車両ならびに車両による伴走および周囲の見張りに関すること
  4. 運搬中の現金、貴金属、有価証券などの貴重品に係る盗難などの事故が発生した場合における応急の措置に関すること

1級

  1. 警備業務に関する基本的な事項
  2. 法令関係
  3. 貴重品運搬警備業務用車両ならびに車両による伴走および周囲の見張りに関すること
  4. 貴重品運搬警備業務の管理に関すること
  5. 運搬中の現金、貴金属、有価証券などの貴重品に係る盗難などの事故が発生した場合における応急の措置に関すること

採点方式と合格基準

直接検定の学科試験は、どれも五肢択一式の20問です。

特別講習は1級・2級とも2日間かけて行い、最後に修了考査を行います。
学科試験の採点方式は直接検定と同じです。

合格基準
合格基準は直接検定、特別講習修了考査とも
学科試験:90点以上で合格
実技試験:100点から減点方式で、90点以上で合格

取得に必要な勉強などの費用

効率よく勉強するためには特別講習を受けた方が合格しやすく、費用も抑えられます。
講習受講料金は33,000円(税込)です。

その他にも以下の図書が役立ちます。

全国警備業協会の警備業法の解説

発行元:全国警備業協会
商品名:警備業法の解説11訂8版
価格:¥3,300(税込)

受験料

空港保安警備業務 16,000円
施設警備業務 16,000円
雑踏警備業務 14,000円
交通誘導警備業務 13,000円
核燃料物質等危険物運搬警備業務 16,000円
貴重品運搬警備業務 16,000円

受験申込方法

受験するには、公安委員会が直接行う検定と講習会を受講する2つの方法があります。

直接検定の場合は各都道府県警察が受付です。
そちらより日程が告示されますので、指定された日時に試験会場に行って学科試験を受けてください。
合格者のみが実技科目にチャレンジできます。

特別講習の場合は、各都道府県警備業協会および警備員特別講習事業センターごとに講習の日程が発表されますので、それぞれお問い合わせください。

まとめ

門の前で笑顔で人差し指を上げている警備員以上、警備員の資格の1つである「警備業務検定」についてお伝えしてきました。
警備の形態にも4種類あるし、検定の中にも6つの警備の種類がありました。
それぞれ学ぶ内容が違ってくると思います。
効率よく合格するためには警備業協会が主催する講習会に参加するのが近道です。

ぜひ、該当する地域の講習会を調べて参加してみてくださいね。
警備の資格を持っていると警備会社から重宝されますよ!