総合無線通信士試験について

総合無線通信士試験について

総合無線通信士の資格は、国際電気通信連合により国際標準化された制度に準拠した資格で、無線従事者免許のうちの1つです。
この資格は第一級、第二級、第三級と分かれています。
総合無線通信士とは、海上・航空・陸上とあらゆる無線設備を広範囲にわたって扱うことができる無線通信のスペシャリストです。
のちほど合格率を掲載しますが、難関の資格だそうです。
どうすれば取得できるのかをご紹介していきます。
この資格を目指している人は必見ですよ。

適用する仕事

総合無線通信士は、海上・航空・陸上の無線局で無線設備の通信や技術操作を行うのが主な仕事です。
この資格は第一級、第二級、第三級と分かれていて、持っている級によって扱える無線設備が異なります。

通信士 業務範囲
第一級総合無線通信士 遠洋漁船の無線通信や、漁業用途の無線局における無線設備を操作する
第二級総合無線通信士 日本近海を航海する商船や比較的規模の大きい漁船の無線通信や、漁業用の無線局での無線設備を操作する
第三級総合無線通信士 遠洋漁船の船舶局や漁業用海岸局での無線設備を操作する

総合無線通信士のスキルは、航空機船舶、さらには携帯電話やテレビ局の機器などにも役立ちます。
ですので、幅広い団体や企業での就職が目指せます。

  • 官公庁勤務の場合は、例えば総務省関東総合通信局における携帯電話の電波やテレビ・ラジオの電波などの適切な利用や運用などに従事できます。
  • 民間の無線メーカーの場合は、無線機器や無線通信装置の検査や保守点検などを任されることが多いです。
  • 船舶関係の企業の場合は、船舶の無線通信業務に従事するのが一般的です。(例:日本郵船や商船三井などの海運業)
  • 電気や通信系の企業の場合は、天気予報といった気象情報サービスを行なっている企業やテレビ業界などで、放送電波の適切な利用や運用に従事できます。

おおよその年収とキャリアパス

UPの状態を目立たせているボード総合無線通信士の平均年収は、約500万~700万円です。
なかには、最大で1,000万円の収入を得ている人もいます。

これは勤務先によって異なりますが、総合無線通信士というのは、非常に高度で専門的な無線の知識が必要となる仕事に就くことが多いです。
その専門性が高いゆえに、年収も高い傾向です。

似たような仕事に陸上無線士や海上無線士もありますが、総合無線通信士よりも年収は低めです。

一般的な企業では、総合無線通信士としてよりも、普通の社員と同じように勤務します。
その中でこの資格を活用して仕事をしますので、勤務している企業によっては資格に対して手当が支払われることもあります。

キャリアパス
総合無線通信士は三級、二級、一級とレベルが分かれていますので、それぞれの級をクリアしていくことがキャリアパスのうちの1つです。
一級まで取得できると、無線通信士の資格では最上位になります。
仕事の範囲も広がりますし、給与も高い水準になります。

認可団体

総務省

総務省

ただし、試験の実施は日本無線協会が行います。

受験条件

受験条件はありません。
どなたでも受験できます。

合格率

総合無線通信士は三級、二級、一級の3つのレベルがありますが、いずれも合格率は低いです。

第一級

実施年  受験者数 合格者数 合格率
2021年 207 10 4.8%
2020年 229 13 5.7%
2019年 250 14 5.6%

第二級

実施年  受験者数 合格者数 合格率
2021年 91 1 1.1%
2020年 102 4 3.9%
2019年 115 5 4.3%

第三級

実施年 受験者数 合格者数 合格率
2021年 197 3 1.5%
2020年 203 2 1.0%
2019年 238 1 0.4%

1年当たりの試験実施回数

試験は年2回、9月と翌年3月に実施されます。
第三級は2日間、第一級と第二級は3日間かけて行われます。

試験科目

携帯の無線機第一級と第二級は試験科目が同じです。

第一級・第二級

1.無線工学の基礎
2.無線工学A
3.無線工学B
4.法規
5.地理
6.英語(英文和訳と和文英訳が5問、英会話が7問)
7.電気通信術

第三級

1.無線工学の基礎
2.無線工学
3.法規
4.英語
5.電気通信術

採点方式と合格基準

試験問題の形式は多肢選択式です。
電気通信術のみ実技試験です。

合格基準ですが、こちらも第一級と第二級は同じ基準です。

第一級・第二級

1.無線工学の基礎:125点満点中、75点以上
2.無線工学A:125点満点中、75点以上
3.無線工学B:125点満点中、75点以上
4.法規:125点満点中、75点以上
5.地理:200点満点中、120点以上
6.英語:105点満点中、60点以上(英会話の得点数が15点未満の場合は不合格)
7.電気通信術:
モールス信号(送信):300点(各100点)満点中、210点以上。ただし和文、欧文暗語、欧文普通語の中で1種目30点未満があると不合格
モールス信号(受信):300点(各100点)満点中、210点以上。ただし和文、欧文暗語、欧文普通語の中で1種目30点未満があると不合格
電話送話:100点満点中、80点以上
電話受話:100点満点中、80点以上

※直接印刷電信は第一級のみ:250字満点中、200字以上を送信したものが合格

第三級

1.無線工学の基礎:125点満点中、75点以上
2.無線工学:125点満点中、75点以上
3.法規:100点満点中、60点以上
4.英語:70点満点中、40点以上
5.電気通信術:
モールス信号(送信):300点満点中、190点以上。ただし和文、欧文暗語、欧文普通語の中で1種目30点未満があると不合格
モールス信号(受信):300点満点中、190点以上。ただし和文、欧文暗語、欧文普通語の中で1種目30点未満があると不合格

取得に必要な勉強などの費用

勉強方法としては、過去問を繰り返し解くことです。
試験には英語も出題されます。
英語については、英検2級レベルといわれています。

実技試験への対策ですが、実践に不安がある場合はアマチュア無線を使って、実際に送受信を行いながら学んでいくのがおすすめです。
無線機は2万~3万で購入できますし、開局する際も電子申請で行うと2,900円で済みます。

次はおすすめの過去問をご紹介します。

令和2年度 第二級総合無線通信士問題解答集 プリント版

令和2年度 第二級総合無線通信士問題解答集 プリント版

出版社名:情報通信振興会
商品名:令和2年度 第二級総合無線通信士問題解答集 プリント版
価格:3,300円(税込)

無線工学版と法規版の2冊が1セットとなっています。
第三級や第一級のものも販売されています。

無線通信士(等)英会話CD(2枚組)

無線通信士(等)英会話CD(2枚組)
created by Rinker

出版社名:情報通信振興会
商品名:無線通信士(等)英会話CD(2枚組)
価格:4,180円(税込)

こちらのCDは「第一級総合無線通信士(第一・二・三級海上無線通信士)」や「第二級総合無線通信士」などの英会話の既出問題各6期分を、CD2枚に分けて収録しています。
問題と解答は、付録についている「英会話試験問題解答集」がありますのでそちらをご利用ください。

受験料

第一級総合無線通信士:21,200円
第二級総合無線通信士:18,800円
第三級総合無線通信士:13,600円

受験料の納付の方法は、クレジット決済コンビニ決済ペイジーから選択できます。
ペイジーによる決済の場合には、インターネットバンキングで払込む方法と金融機関ATMで払い込む方法があります。

受験申込方法

受検の申請はインターネットで行います。

申請方法は日本無線協会を検索して、ホームページの「無線従事者国家試験の電子申請」からアクセスします。
そして、受験資格・受験希望地を選択して、氏名、住所、メールアドレスなどの必要事項を入力します。

次に顔写真を登録します。

  • 縦横の比率が30:24の縦長
  • 無帽で正面を向いた鮮明なもの
  • 上三分身(写真の縦の長さに占める顔の大きさが概ね50%~60%で、頭頂部に余白をつけること)
  • 申請の日よりも撮影は4ヶ月以内のもの

などが条件です。

詳しくは日本無線協会を検索すれば掲載されています。
もし経歴証明書の提出に該当する人は、総務省電波利用ホームぺージから用紙をダウンロードできます。

まとめ

快晴の中で撮った無線アンテナ今回は海上・航空・陸上の無線局で無線設備の通信や技術操作を行うことができる「総合無線通信士試験」をお伝えしました。
総合無線通信士試験には三級・二級・一級の3つのレベルがあります。
一級まで取得すると、無線通信士の資格では最上位になりますから、仕事の範囲も広がりますし、給与も高い水準になります。

けれども、その合格率は低めです。
どの級も英語を含め、たくさんの科目を勉強しなければなりません。
受験勉強に不安なら、情報通信振興会から出版されているテキストや英会話CDがありますから、利用してみてください。

総合無線通信士は国際的にも評価の高い資格です。
資格取得までにかなりの勉強をしなくてはいけませんが、興味がある人は目指してみてはいかがでしょうか。
三級からコツコツ頑張ってみてくださいね!

 

関連する記事はこちら
海技士(通信・電子通信)について

航空工場整備士について

家電製品エンジニア試験について