昇降機検査資格者とは、エレベーターやエスカレーターなどの昇降機、およびジェットコースターや観覧車などの遊戯施設の安全確保のために定期検査を行い、その結果を特定行政庁へ報告する職務を担う職業です。
よく街中でエスカレーターを点検している人を見かけますが、そうした方が身に付ける資格なのですね。
昇降機や遊戯施設は人を乗せて高所を移動する乗り物なので、定期検査をしっかりしないと大事故になってしまいます。
こちらのメンテナンスに関わる資格は、どのように取得していくのかみていきましょう。
Contents
適用する仕事
昇降機検査資格者が適用する仕事は、昇降機検査員です。
こちらは昇降機と呼ばれるエレベーターやエスカレーター、または遊戯施設にあるジェットコースターや観覧車などを検査することができる専門家のことを指します。
これら以外にも、フロアタイプの小荷物専用昇降機や観光用エスカレーター、観光用エレベーターも検査の対象です。
主な業務内容は、メンテナンススタッフとして建築基準法に規定されている昇降機全般の点検や調整、改修工事などをおこなって、特定行政庁へ報告することです。
活躍する場所は昇降機設備・設計会社、エレベーター保守会社など、あるいは遊園器具や施設などの保守メンテナンス会社が考えられます。
エスカレーターやエレベーターはいたるところにありますから、高層ビルやマンション、病院や福祉施設、官公庁の施設などさまざまな場所で、昇降機の安全を守るスタッフとして活躍できます。
おおよその年収とキャリアパス
いくつか求人を見てみると、昇降機検査員の年収はおおよそ300万~500万円くらいのようです。
それに加えて、資格手当も支給されます。資格手当の額は5,000円~10,000万円程度です。
前項目で挙げたとおり、昇降機設備・設計会社、エレベーター保守会社などのメンテナンス関係の会社でこの資格は活かされます。
メンテナンス会社へ未経験で入社しても、資格取得を支援している会社が多いので、資格取得後経験を積んでいけば収入アップが期待できます。
昇降機等検査資格者は講習を受講して、修了試験に合格すれば資格を得ることができます。
しかし、それには受講資格として、昇降機や遊戯施設に関する実務経験がなければなりません。
つまり、転職のために資格を取得するのではなく、勤務している会社で実務経験を積んで資格を取るルートになるでしょう。
資格はキャリアアップやステップアップとして、取得する人が多いです。
取得すると、資格保有者として昇降機点検作業をしっかり(例えば責任者に)任されるようになるでしょう。
認可団体
講習会を実施しているのは「一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター」です。
昭和48年1月5日に設立されました。
<所在地>
〒105-0003
東京都港区西新橋1-15-5 内幸町ケイズビル
TEL : 03-3591-2426(代表) / FAX : 03-3539-7442
Mail:shokoki@beec.or.jp
受験条件
こちらは受講条件に該当します。
条件は細かく設定されています。
受講条件
学歴や条件 | 実務経験 |
大学で機械工学もしくは電気工学などの課程を修めて卒業した者 | 2年以上 |
3年制短期大学(夜間以外)で、機械工学もしくは電気工学などの課程を修めて卒業した者 | 3年以上 |
2年制短期大学、高等専門学校などで機械工学もしくは電気工学などの課程を修めて卒業した者 | 4年以上 |
高等学校、旧中等学校で、機械工学もしくは電気工学などの課程を修めて卒業した者 | 7年以上 |
実務経験のみ | 11年以上 |
建築行政(昇降機又は遊戯施設に関するものに限る) | 2年以上 |
なお、一級建築士と二級建築士は受講も修了考査もなく、昇降機検査資格者を取得できます。
実務経験とは
こちらの実務経験は、建築基準法に基づく昇降機および遊戯施設に関する実務を指します。
建築基準法に定めるエレベーターやエスカレーター、コースターなどの実務に携わった方や行政に関する実務に関わった人が対象です。
クレーン、人が乗り込んだ状態で運転できない機械式駐車場、カーリフト、舞台装置、ゲーム機、都市公園における遊具等に関する実務は対象となりませんので、注意して下さい。
また、昇降機や遊戯施設関係に勤めていても、点検・検査等の立会いのみを行う方や昇降機や遊戯施設の知識・技能を必要としない方(庶務、会計、労務、営業など)、アルバイト・パートタイム就労者等は実務経験に含まれません。
合格率
過去5年の合格率は平均で70%以上です。
2021年では71.9%でした。
しかし、講習受講後に試験を受けるタイプの資格としては、難易度が高いようです。
1年当たりの試験実施回数
講習は東京と大阪で行われます。
それぞれ2回ずつ実施されます。
試験科目
こちらは講習科目です。
下記の内容を学んだ後、修了考査を実施します。
全部の講習科目を受講しなければ、修了考査は受けられません。
- 昇降機・遊戯施設定期検査制度総論
- 昇降機に関する建築基準法令等
- 建築学概論
- 昇降機・遊戯施設に関する機械工学
- 昇降機・遊戯施設に関する電気工学
- 昇降機概論
- 昇降機の検査標準
- 遊戯施設概論
- 遊戯施設に関する建築基準法令等
- 遊戯施設の検査標準
- 昇降機・遊戯施設に関する維持保全
※「建築学概論」に関しては、建築設備士、建築設備検査員、特定建築物調査員、防火設備検査員の資格をお持ちの方は、受講を免除することができます。
採点方式と合格基準
出題形式は多肢選択式です。
マークシート方式です。
講習の全科目を受講し、修了考査に合格すれば取得できます。
30問中、おおよそ20問以上正解で合格です。
取得に必要な勉強などの費用
勉強の費用は受講料だけで済むと思います。
受講料にはテキスト代も含まれています。
受験料
こちらは受講料です。
46,200円(テキスト代を含む)かかります。
再受講の場合はテキスト代なしが11,000円、テキスト代含む場合が19,800円です。
受験申込方法
申し込みはインターネットのみで行えます。
手順1 申込情報入力
申込時には顔写真を登録する必要があります。
申込後に開催地や受講方法の変更はできませんので、ご注意下さい。
手順2 申込完了メールの受信
支払方法のお知らせを含んだ申込完了メールが受信されます。
申込み完了後に申込書の内容の修正はできません。
手順3 支払方法の選択
支払方法はコンビニまたはPay-easyです。
どちらで支払うのか選択します。
Pay-easyはネットバンキングのみの対応となります。
支払方法(決済方法)の選択後は、変更できませんのでご注意下さい。
そうしたら、14日以内にお支払いしていただき、受講申込書類一式(受講資格を証明する書類含む)を郵送して下さい。
書類は簡易書留やレターパックなど、追跡可能な方法で送付した方が良いでしょう。
まとめ
今回はエスカレーターやエレベーターといった昇降機を定期検査する「昇降機検査資格者」を取り上げました。
この資格には遊園地にあるジェットコースターや観覧車といった遊戯施設も含まれます。
取得の仕方は講習会を受けて、修了考査に合格することです。
ですが、講習を受けるには、細かな受講条件があります。
それには実務経験が伴います。
実務経験の長さによって求められる学歴や職歴、資格も異なるので、講座を受ける前には、ご自身がどの条件に当てはまっているかを確認しましょう。
エスカレーターやエレベーターは街のいたるところに存在しますので、これからも仕事はなくならないですよ。
メンテナンス会社に就職して点検作業に携わっている方は、自身のキャリアのためにも「昇降機検査資格者」を取得しましょう!
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