製菓衛生師とは、菓子の製造業に携わる人の能力を向上させて、公衆衛生を良質に保つことを目的とした国家資格です。
今回はその製菓衛生師についての記事をお伝えします。
Contents
適用する仕事
製菓衛生師の主な仕事は、菓子の製造です。
製菓衛生師としての知識や技能を使った菓子作りが求められます。
衛生という言葉の通り、製品の安全面も考えます。
別の資格である、菓子製造技能士は和菓子と洋菓子の資格が分かれています。等級も1級、2級があります。
しかし、製菓衛生師には和菓子と洋菓子に分かれておらず、等級もありません。
ですので、どのような菓子をつくるかは、働く会社やお店によって異なります。
例えば、和菓子店なら和菓子の製造や安全性に関する業務になります。
洋菓子についても同様です。
また、製菓衛生師は、パン作りについても基礎から応用まで学びます。
製菓衛生師には、知識や技術を活かして質の高い菓子作りが求められます。
その際に衛生管理も徹底したものが求められます。
菓子作りのための下準備であったり、材料の選定、新商品の提案や試作をすることもあります。
おおよその年収とキャリアパス
パティシエとして働かれるのであれば、製菓衛生師のおおよその年収は19歳までで年収200万円強、20代で350万円弱、30代で400万円ほどです。
年収に男女差はあります。女性の場合は40代で300万円弱です。
パティシエとして経験を積んで、独立開業するのであれば年収も変わってきます。
独立のときに、製菓衛生師の資格が役に立ちます。
独立開業して自分の店舗をもつオーナーになると、年収は600万円以上となることが多いです。
しかし、開業してもお店が続かなくなるというケースもよくあります。
ヒット商品が出たり、お店の経営が上手くいったりすると年収1000万円以上となることもあります。
認可団体
都道府県知事が認定する国家資格です。
認定団体は厚生労働省です。
製菓衛生師は「都道府県知事の免許を受けて、菓子製造業に従事する者」という定義です。
受験条件
受験資格としては、都道府県知事が指定する製菓衛生師養成施設で1年以上、知識と技能を習得した者でなければなりません。
学歴としては、中学校卒業以上です。
また、製菓を学べる学校か、そういった専門学校で1年以上学ぶか、現場で実務経験を2年以上積むことも条件としては必要です。
製菓を学べる学校に通う場合、学校で洋菓子や和菓子、パン作りの基礎から応用まで学ぶことが出来ます。
さらに、菓子作りだけではなくて製菓理論や販売まで学ぶこともできます。
しかし、学費は安くありません。
それに、学校がある場所も限られるので、一人暮らしなどをする必要も出てくる場合が多いです。
合格率
合格率は60%~80%程です。
都道府県ごとに試験が異なるともあり、合格率も都道府県によって異なります。
地域によっては、合格率が90%を超えることもあります。
1年当たりの試験実施回数
製菓衛生師の試験は、年に1回実施されています。
各都道府県の管轄で実施されますが、受験場所は受験者の住所などによらずに、お好きな所で受験することが出来ます。
試験科目
試験科目は、全ての都道府県で7科目に統一されています。
基本的には出題数は60問ですが、一部の都県では異なります。
問題は四肢択一方式です。解答はマークシート方式か、番号記入方式です。
- 衛生法規(3問)
- 公衆衛生学(9問)
- 栄養学(6問)
- 食品学(6問)
- 食品衛生学(12問)
- 製菓理論(18問)
- 製菓実技(選択6問)
実技試験では、製パン、洋菓子、和菓子の中から1つを選びます。実技試験とありますが、ペーパー試験です。
試験科目の内容は、次の通りです。
・衛生法規
法学の基礎的事項、衛生行政に関する基礎的事項、日本の衛生行政機関、製菓衛生師法の沿革、製菓衛生師法の概要、食品衛生法の概要、衛生関係法令の概要
・公衆衛生学
公衆衛生の意義、公衆衛生の現状、衛生統計、環境衛生の意義、環境と健康、感染症の予防、生活習慣病の予防、労働と健康、安全衛生管理など
・栄養学
栄養の意義、栄養素の分類、栄養素の機能など
・食品学
食品の種類と成分、食品の変質、食品の変質の防止、食品の生産と輸入、食品の流通と価格、食品の消費構造の変化など
・食品衛生学
食品衛生の意義、食品衛生の現状、食中毒の発生状況、食中毒の病因物質と予防対策、菓子と食中毒、食品添加物の種類と使用方法など
・製菓理論
製菓理論、菓子の分類、菓子の原材料、菓子の包装
・製菓実技
洋菓子、和菓子、製パンの基礎
採点方式と合格基準
四肢択一なので、採点は正誤判定です。
合格ラインとなっているのは、得点率60%以上です。
ただし、0点の科目が1つでもあると不合格になります。
合計の得点が60%を超えていても、0点の科目があると不合格です。
取得に必要な勉強などの費用
まず【受験条件】で述べたように学費です。
学費は学校によって様々ですが、こちらでは都内の学校の卒業までの学費の例を挙げさせて頂きます。
ここで例として挙げるのは、製菓衛生師養成施設として認められている学校のものです。
2年制:約360万円
3年制:約525万円
次に受験に役立つ参考書を一例ですが、ご紹介していきます。
これで合格 製菓衛生師試験問題集 2022
出版社名:GAKKEN
商品名:これで合格 製菓衛生師試験問題集 2022
価格:¥1,815(税込)
各都道府県の製菓衛生師試験問題の過去3年分を分析して、各科目を出題割合に応じて収録されたものです。
別冊解答には、頻出問題を中心に解説が収録されています。
改訂版 解いてわかる製菓衛生師試験の手引き
出版社名:柴田書店
商品名:改訂版 解いてわかる製菓衛生師試験の手引き
価格:¥3,300(税込)
製菓衛生師になるための問題集付きの参考書です。
前回の2010年出版の新版を約12年ぶりに内容を一新しました。
最新の法改正や制度変更を反映させ、各種統計データや調査・動向などを最新版にアップデートしています。
受験料
受験料は県によって異なります。基本的には9,500円前後です。
また受験料とは別に、試験に合格したときに製菓衛生師の免許の登録手数料として、平均で5,600円が必要になります。
この料金も県によって異なります。
受験申込方法
製菓衛生師の試験は県によって異なりますが、居住地や勤務地に関係なく、どの都道府県でも受験することが出来ます。
受験日が重複しなければ、複数の都道府県でもできます。
受験の手続き
受験の手続きとしては、各都道府県によって願書配布、出願、合格発表から免許申請までの手続きが異なります。
受験予定の都道府県庁の生活衛生課にお問い合わせください。各都道府県のホームページでも確認できます。
こちらでは、厚生労働大臣が指定する製菓衛生師養成施設の卒業者の場合の受験手続で解説します。
受験手続には次の書類などが必要です。
- 受験願書
- 養成施設の卒業を証明する書類(養成施設の卒業証明書の原本)
- 最終学校の卒業を証明する書類(養成施設に入学する以前の、中学校、高等学校、短期大学、大学のいずれかの最終学校の卒業証明書または卒業証明書の原本。ただし都道府県により不要の場合あり)
- 写真(6ヶ月以内に撮影した、上半身脱帽のもの。ただし受験地によって有効期間やサイズが異なる)
- 印鑑(朱肉を使用するもの。スタンプ式のものは不可の場合もあり。押印を廃止した都道府県もある)
免許を申請するには
試験に合格した後に免許を申請するには、次のものを準備して住所地の都道府県知事に申請する必要があります。
窓口は都道府県庁または保健所です。
- 免許申請書(申請地の都道府県庁または保健所で配布)
- 合格証書
- 戸籍抄本(外国籍の場合は外国人登録証明書の写しなど)
- 診断書(麻薬、あへん、大麻、覚せい剤の中毒者でない証明)有効期間は3ヶ月以内
- 登録手数料は平均5,600円
- 印鑑
上記と重複しますが、次の者は登録できません。
- 麻薬、あへん、大麻、覚せい剤の中毒者
- 食中毒など衛生上の重大な事故を起こし、すでに取得していた免許を取消された日より1年を経過していない者
まとめ
製菓衛生師という資格についてでした。
その名の通り、菓子製造に関する資格です。
働く場所は、洋菓子店、和菓子店の他にホテルやレストランもあります。
最初はパティシエとして働かれている方も多いですが、その後に独立開業する人も多いです。
独立するときに、製菓衛生師の資格が役立ちます。
自分のお店を持つと、収入が大幅に増えることもありますが、店が続かなくなるという場合も少なくありません。
受験条件として、都道府県知事が指定する製菓衛生師養成施設で学ぶか、現場での実務経験のどちらかが必要です。
ただし、製菓を学ぶ学校は学費も安くはありません。
試験は都道府県によって異なります。
合格率も都道府県によって異なりますが、60%~80%であることが多いです。
試験は年に1回です。入念な勉強が必要です。
試験は住んでいる都道府県でないといけないというわけではなく、お好きな所で受験できます。
実技試験もありますが、実技もペーパー試験です。
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