こちらは溶接の技術力や溶接に関わる知識を持っていることを証明する資格です。
溶接管理技術者には、3種類の等級があります。(特別級・1級・2級)
取得している等級によって、業務範囲や役職等に違いがあります。
Contents
適用する仕事
溶接管理技術者の資格を取得して携われる業種は、製造業と建設業が大半です。
製造業の場合は、自動車や機械部品等の溶接を扱う管理業務が多いです。
建設業の場合は、鉄骨や鉄材に熱や圧力を加えて繋ぎ合わせする等の業務指導があります。
こちらの資格は、等級がありますので、それに合わせての仕事内容についてもご紹介します。
自分が取得するべき等級を検討して、ご確認ください。
特別級
事業者から直接委任された溶接業務全てを担当します。
1級や2級の方と同じく、施工計画や施工基準を決定する現場監督等を行います。
他にも、施工計画書や溶接施工報告書の作成等も含まれます。
1級
事業者又は特級の方から割り当てられた仕事をこなします。
溶接製作や限定された技術範囲で、施工計画や現場管理、溶接部材の材質確認、溶接に関わる業務の監督等を行います。
2級の方と比べて、正確なお仕事や決定を任せられます。
2級
事業者経由で、特級や1級の人から仕事を割り当てられることが多いです。
基礎的な溶接構造物に関しての施工計画や現場管理、溶接ワイヤーの選定、溶接部の測定等を行います。
溶接管理技術者1級の方のお仕事を、お手伝いするケースが多いです。
おおよその年収とキャリアパス
溶接管理技術者の等級と合わせて職種、仕事内容によって年収は様々です。
例えば、1級の資格取得済みで大手自動車メーカーの年収は、約500~600万円以上です。
2級の資格取得済みで工場勤務では、年収は約300~400万円前後です。
無難に年収を稼ぎたい方は、大手自動車メーカーや大企業の製鉄工場で働くことをおすすめします。
あるいは、特に年収1000万以上を目指している方もいるでしょう。
そういう方は「水中溶接工」がおすすめです。
水中溶接工とは、ダムや水族館等の水中で専用道具を駆使しながら溶接作業することを示します。
地上での溶接と比べて感電死が起きたり、密閉空間のため酸欠事故が多くあったりと危険ですが、その分お給料に反映されます。
水中溶接工になるために必要な資格も紹介しますので、気になっている方は下記の資格をご確認ください。
ただ、水中溶接の際に用いられる工法が必要です。
水中溶接に向けて知識を深めるための練習をします。
あるいは実践経験が必要になることもあります。
認可団体
一般社団法人 日本溶接協会
受験条件
受験する等級によって、条件の違いがあります。
それぞれの等級に合わせた条件に、1つでも該当すれば受験可能です。
詳しくは、⼀般社団法⼈⽇本溶接協会ホームページ等で評価試験概要をご確認ください。
合格率
直近の3年分の合格率を載せました。参考程度にご確認ください。
特別級の合格率
2016年:約24%
2017年:約22%
2018年:約18%
1級の合格率
2016年:34%
2017年:21%
2018年:22%
2級の合格率
2016年:約59%
2017年:約63%
2018年:約57%
1年当たりの試験実施回数
筆記試験は毎年、6月上旬と11月上旬の2回行われます。
口述試験は毎年、7月上旬と12月上旬の2回行われます。
試験科目
1級と2級は、筆記試験と口述試験があります。
特別級では、筆記試験2つ(筆記試験Ⅰと筆記試験Ⅱ)と口述試験があります。
口述試験とは、試験官が口頭で問題を言い、受験者が口頭で受け答えする試験方式のことを示します。
各等級の筆記試験と口述試験の内容について、説明していきます。
1級・2級の試験内容
1級と2級の試験内容は同じです。
- 溶接法
- 溶接機器
- 溶接冶金
- 溶接材料
- 溶接力学
- 溶接設計
- 溶接施工及び管理
- 安全衛生
最後に試験検査
特別級の試験内容
- 筆記試験Ⅰ:1級と2級の試験内容と同じです。
- 筆記試験Ⅱ:4単位の試験(下記の①~④を参照)
①材料と溶接性(低合⾦鋼、ステンレス鋼等の性質について)
②設計(設計の基礎やフレーム系、ベッセル系の設計について)
③施工と管理(品質管理⼀般とフレーム系やベッセル系の施⼯・管理)
④溶接法と機器(各種溶接法と自動・ロボット溶接) - 口述試験:上記の筆記試験Ⅱの試験内容と同じ内容です。
採点方式と合格基準
各級の合格基準をお伝えします。
特別級
筆記試験Ⅰ:全問の総得点が70%以上
筆記試験Ⅱ:4つの単位で各単位得点が40%以上、全問総得点が70%以上
口述試験 :充分な責務能力、知識と職務能力を有すると認められること
1級
筆記試験:全問の総得点が70%以上
口述試験:充分な責務能力、知識と職務能力を有すると認められること
2級
筆記試験:全問の総得点が60%以上~69%以内
口述試験:充分な責務能力、知識と職務能力を有すると認められること
取得に必要な勉強などの費用
テキストや研修会等の特徴について説明します。
新版改訂 溶接・接合技術入門
出版社名:産報出版
商品名:新版改訂 溶接・接合技術入門
価格:4,125円(税込)
溶接管理技術者2級の試験に向けたテキストです。
溶接・接合技術総論
出版社名:産報出版
商品名:溶接・接合技術総論
価格:9,350円(税込)
溶接管理技術者1級の試験に向けたテキストです。
1級及び特級対象者研修会
費用:52,800円(税込)
研修会に出席して修了証書を取得者は、溶接管理技術者1級の試験の口述試験が免除されます。
2級対象者研修会
費用:41,800円(税込)
研修会に出席して修了証書を取得者は、溶接管理技術者2級の試験の口述試験が免除されます。
演習問題集
費用:無料
日本溶接協会が認めた研修会に参加された方のみ、当日会場で無料配布されます。
受験料
・特別級
筆記試験:26,400円(税込)
⼝述試験受験料:27,500円(税込)
1級認証者取得で筆記試験Ⅱのみ受験者:13,200円(税込)
・1級及び2級
筆記試験:13,200円(税込)
⼝述試験受験料:22,000円(税込)
受験申込方法
受験申請書の用意及び申し込みする方法は、2つあります。
1つ目
1つ目は、研修会に参加して、会場で配布される受験申請書を貰う方法です。
申し込み⽅法の詳細については、研修会後のガイダンスで説明されます。
2つ目
2つ目は、⾃⾝で受験申請書を用意する方法です(番号を付けて説明します)
- ⽇本溶接協会ホームページにアクセスしてください。
- トップページにある『溶接資格』の項目を探してください。
- マウスカーソルを合わせると『溶接管理技術者』の項目が出てきます。
- 『溶接管理技術者』にマウスカーソルを合わせてください。
- 『「研修会」「評価試験」申込書送付願』の項目が出ますので、クリックしてください。
- その後、表示されたページを記入及び印刷してください。
- 印刷した書⾯を事務局へ、FAXで送信してください。
まとめ
「溶接管理技術者」を調べてみて、独学で筆紙試験と口述試験に合格するのは難しいと思いました。
特に口述試験が難しいという意見が多いので、研修会に参加して口述試験の免除を受けることをおすすめします。
職場の支援制度を利用して、取得に挑戦してみても良いかもしれませんね。
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