陸上特殊無線技士は電波法で政令に定めるものとしています。
無線従事者国家試験に合格することで取得できます。
等級は第一級、第二級、第三級、国内電信級があり、これらは一陸特、二陸特、三陸特、国内電信とも呼ばれます。
一般の方にはあまり知られていない陸上特殊無線技士試験ですが、これから詳しく述べていきたいと思います、
Contents
適用する仕事
希望する級により電波の取扱いが異なるので、就職できる企業や職種に違いがあります。
一級
携帯電話会社などの通信インフラ関係の仕事に、就くことができます。
特に携帯電話会社の無線基地局は、5G回線の普及やエリアの拡大のため増加傾向にあります。
自動車やテレビなどの産業機器がインターネットでつながり、通信網が私たちにはなくてならない存在になっています。
安定した通信網の実現のために、通信設備の点検・修理などの作業をします。
携帯会社、警備会社、基地局メンテナンス会社、移動体通信エンジニアなどの企業で資格を活かせます。
二級
二級取得を採用後の初任教育課程で義務付けられているのが警察官です。
速度取り締まりに使用している無線レーダー及び連絡手段で使用する無線機の周波数・電波が、二級の範囲に含まれるからです。
警察官の他に、高速道路の監視室、衛星通信を取り扱う会社、ラジオ局などで活躍している人が多いです。
三級
消防士
消防無線を使用するために必要な資格です。
タクシー運転手
タクシー運転手として働くのであれば必要はありません。
ただ、基地局には有資格者が必要です。
ドローン操縦士
無線局として開局している業務用ドローンが一部にあります。
この無線局を使用するためには、三級の資格が必要です。
空撮、農薬散布、警備など将来性のあるドローン操縦士ですが、その多くがアルバイト及び派遣としての仕事となりますので、就職を希望されている方は気を付けて下さい。
国内電信級
この資格を生かせる仕事は自衛隊です。
試験を受ける方もほとんど自衛隊関係の方です。
おおよその年収とキャリアパス
一級の仕事の幅は広がっていて、なおかつ求人も多い傾向がみられます。
また求人には、一級以上の資格を条件にしているところも多いです。
残念なことに二級を取得しても仕事は限られてしまうため、社員募集をする企業は多くはありません。
さらに三級になると、資格保有者を求人条件にしている企業はほぼありません。
タクシー会社は入社後に資格手当を支払って、取得をさせているところがほとんどです。
国内電信級はモールス信号に興味のある方が取得しますが、この資格での求人は殆どありません。
一級
平均年収は300~600万円です。
年収の幅の広さは就職する企業により給与に差があること、実務経験や会社の規定により異なるからです。
二級
平均年収は300~480万円です。
二級の方が給与が低いのは、二級は通信設備の操作はできますが、一級のように無線設備の保守・点検はできないからです。
認可団体
公益財団法人日本無線協会は、電波利用の健全な発展に寄与することを目的にしています。
無線従事者の講習業務及び養成課程業務などを行い、更には電波法の規定に基づいて無線従事者国家試験事務も実施しています。
陸上特殊無線技士も、23ある資格の中のひとつです。
〒104-0053 東京都中央区晴海3-3-3
TEL:03-3533-6022
受験条件
受験条件はありませんので、どなたでも受験できます。
合格率
一級は2021年は受験者数7,281人で合格者数2,763人ですので、合格率は約37.9%です。
二級は2021年は受験者数6,294人で合格者数5,241人ですので、合格率は約83.3%です。
三級は2021年は受験者数2,124人で合格者数1,871人ですので、合格率は約88.1%です。
国内電信級は2021年は受験者数45人で合格者数6人ですので、合格率は約13.3%です。
1年当たりの試験実施回数
一級・国内電信級は年3回です。2月期、6月期、10月期
一級・国内電信級の試験地
東京、札幌、仙台、長野、金沢、名古屋、大阪、広島、松山、熊本、那覇
二級・三級は随時実施しています。
また、二級・三級の試験地は、全国の共通会場において実施しています。
試験科目
級別に項目を見てみましょう。
一級
多肢選択式で3時間です。
無線工学 24問
法規 12問
二級、三級
四肢択一式で1時間です。
無線工学 12問
法規 12問
国内電信級
四肢択一式で30分です。
法規 12問
送受信で3分です。
電信術 75字
採点方式と合格基準
級別に項目を見てみましょう。
一級
合格基準
法規は60点中、40点以上の正解です。
無線工学は120点中、75点以上の正解です。
二級、三級
合格基準
法規は60点中、40点以上の正解です。
無線工学は60点中、40点以上の正解です。
国内電信級の合格基準
法規は60点中、40点以上の正解です。
電信術は送信・受信共に100点中、70点以上です。
目の見えない方の合格基準(三級)
法規200点中、140点以上の正解です。
無線工学200点中、140点以上の正解です。
取得に必要な勉強などの費用
初めての方がいきなり一級は難しいと思います。
書籍では
勉強方法は、テキストと主に過去問題を解くことで合格できるようです。
ネットで電波受験界 過去問と検索すると、一級・二級・三級・国内電信級の過去問題が無料で利用できます。
養成講座では
日本無線協会などが実施する公募養成に参加し、修了すると試験合格となります。
公募養成は一級から三級までで、国内電信級はありません。
一級は下記の要件を満たせば、公募養成の申込ができます。
二級・三級はどなたでも受講できます。
養成期間は一級が9日、二級が2日、三級が1日です。
【一級の養成講座の要件】
- 高等学校もしくは中等教育学校の電気科又は電気通信科を卒業した方
- 大学、短期大学、高等専門学校、高等学校又は中等教育学校の電気通信に関する課程をある学科を卒業した方
- 大学の電気通信に関する課程を有する学科を 1 年次以上修了した方
- 高等専門学校の電気通信に関する課程を有する学科を、3年次以上修了した方
- 修業年限が 3 年以上の学校の電気通信に関する課程を有する学科を、卒業した方
- 修業年限が 1 年以上の学校等の電気通信に関する課程を有する学科等を、卒業もしくは修了した方
- 第二・第三級総合無線通信士、第一・第二・第四級海上無線通信士又は航空無線通信士の資格を有する方
- 多重無線設備の保守の補助又は搬送端局設備、もしくは電力線 搬送端局設備の保守に従事した経歴を有する方
- 日本無線協会が実施する第一級陸上特殊無線技士の選抜試験に合格した方
なお、日本無線協会のホームページは、公募養成についてや一級の要件について詳しく記載しています。
ご興味のある方はご覧ください。
受験料
一級 ¥6,300(非課税)
二級 ¥5,600(非課税)
三級 ¥5,600(非課税)
国内電信級 ¥5,500(非課税)
受験申込方法
一級・国内電信級と二級・三級で申込方法が異なります。
一級・国内電信級
試験期日の2ヶ月前の1日から20日までの間が受験受付期間です。
まず、日本無線協会のホームページの無線従事者国家試験の電子申請からアクセスして下さい。
そして、必要事項を入力して自身のメールアドレスを入力します。
メールアドレスは登録確認、受験票の送付、試験結果に使用します。
写真の添付も必要ですから用意しておいて下さい。
振込手数料は自身の負担となります。
申請受付期間後は受験料は返還されません。
二級・三級
こちらはCBT方式の試験となりますが、日本無線協会の主催となります。
試験の申込は、申請日から14日以降の試験を受けることができます。
ネットで株式会社CBT-Solutionsの無線従事者国家試験を開いて下さい。
初めての方は新規登録をします。
ログイン後、必要事項を入力して下さい。
受験料の支払方法を確定すると、受験予約は終了です。
受験予約を確定しますと、キャンセルしたい場合はキャンセル手数料が発生しますのでご注意下さい。
試験終了後4週間経っても電子メールが届かない時は、日本無線協会にお問い合わせ下さい。
合格された方は、住んでいる場所を所管する総務省総合通信局まで、無線従事者免許申請書を提出して下さい。
可能な限り合格後3ヶ月以内に、手続きをするようにお願いします。
まとめ
今で言えば、ドローンに興味がある方には良い資格だと思います。
ですが、すぐに仕事と結び付けて考えるのではなく、興味を持つ心を大切にして下さい。
仕事でこの資格を活かしたいのであれば、一級の取得を目指すべきでしょう。
初めての方でも、独学で合格されている方は多くいらっしゃいます。
ただ、少しでも不安があるのでしたら養成講座の選抜試験の合格を目指すべきでしょう。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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二級 ¥30,350(税込価格)
三級 ¥22,650(税込価格)